あんぱんとメロンパン
一体如何したんだ?
冬の便りも届きもう直ぐに本格的に寒くなる、是で少しは有難い何より大して汗を掻かずに済む、乗務では寒いのは少々辛いが此の気候に身体が慣れて仕舞えば大して問題に為らぬ話、俺みたいに温かい所で育った人間じゃ中々身体も馴れないが、最初の職場じゃ完全な防寒装備で吐く息が白くなる工場内や屋外作業、次は気を緩めると眠気が襲うような暖房が効いてるコンビニの店内、今年はバイクに乗り冬空の下だが気合が入れば寒さも大丈夫とは思うのだが…、如何なんだろう…?
(´ε`;)ウーン…
今居るのは涼しくなった河川敷、コースを回ると汗でぐっしょりに成って居たが、大分涼しい嫌寒いくらいでコースを回っても薄っすら汗が浮く位で快適快適!。
雨の日以外の休日は大体此処に居る、本日は国民的休日で例によってトランポで来ているモトクロッサーに交じって邪魔に為らぬように練習中、俺の目的はバイクの挙動とスロットルワークの体得、XTでコースを回り、5週廻って一旦休憩とバイクのチェック其れを繰り返す、何故かって?、結構転倒んでますからチェックしないと帰れなくなっても困るでしょ、積載車無いですからね。
( ^ω^ )ニコニコ
「今日はいらしてたんですね?」
「嗚呼此の間の、今日もいらしてたんですね」
「日曜日は何時も来てますよ」
「日曜日に…、何時も見学ですか?」
「そうですね暫く此処に来て無かったんですが…、先日懐かしい物見かけてからは毎回ですね」
二回目の休憩で一休みしていたら声を掛けられる、此の間のお姉さんだけど来た時には居なかったと思うんだよね?、確か此の間は何時も来てるって言ってたよな、もう昼に近い時間だし俺が此処に着いたのは10時くらいだと思う、だとすると俺がコースを回ってる時に来たんだろうな。
「何時も来てるって言ってましたけどどちらかのグループとご一緒ですか?」
「グループじゃ無いですが、前はよく転んで彼方此方怪我しちゃう人の手当で通ってましたね…」
「今は違うんですか?」
「暫く此処に来れなくて、今は家庭持っちゃうと怪我する訳にも行かないって言ってますからね…」
「そうなんですね…」
話はしてますがずっとコース見てこっち見てくんないですし、誰かと通ってたっても言ってる、手当もしてたって言ってるしソコソコの御年齢みたいだし、家庭持っちゃうとって言ってますもんね、よそ様の物って事でしょうコレは脈無しって事ですね…。
「さっきバイク見てましたけど何処か故障ですか?」
「何処も壊れて無いですよ、結構転倒んでますからチェックして直せる内に手を打たないと気付かずに重症化すると家に帰れなく成りますからね」
「直せる内って此処で直すんですか?」
「軽症なら!」
「重症なら如何するんですか?」
「家に帰れば大概の事は直せるんで、自走で帰れる程度には応急処置しますよ」
「そう何だ…」
「ええ」
そう言い終わるとコースを見ていた眼を伏せ俯いて何か考えて居られる様子、なにも変な事言った覚えは無いんだけどな…、よそ様の家庭事情など分からんし深入りしてトラブルに態々足を踏み込む心算も無いし、危うきに近寄らぬのが吉!。
「XT見せて貰っても良いですか?」
「もう暫く休憩してますんで御自由に」
「有り難う御座います♥」
言い終えると立ち上がりバイクに歩み寄り嬉しそうに眺めてる、ボロいバイクが珍しんじゃ無くてXTに何か思い出でも有るんだろうな…。
護岸の擁壁に背を預け眼を閉じる、気持ち良いなこうやってノンビリ時間を過ごすのも、目を閉じると浮かんでくる村上先輩の背中何でも無い事の様にDTを操る背中、アノ領域に成る迄にはどれだけ踏ん張れば届くのだろうか、此処を走る事できっと体得出来る物が在る筈だ早く近付きたいアノ背を追え見失わない様に…。
「触っても良いですか?」
眼を閉じていたので気付かなかったが何時の間にか戻って来て声を掛けられる。
「構いませんよ、何なら乗って見ます?」
「其れは嬉しいですけど免許無いから…」
「此処は公道外ですから免許は要りませんよ?」
「今は良いです、機会が在れば又今度お願いします」
「では御随意に、昼飯兼ねてもう暫く休憩してますんで!」
「ハイッ♥」
ホントに嬉しそうだな、俺のバイク見てて嬉しそうにされると何と無く此方も気分が良い、良い思い出でがXTに在るんだろう、あんなに嬉しそうな顔を見せられると連れて着て上げたかったな悠美を…。
きっと弁当作って呉れて此処に座って見てたんだろうなあんな風に…。
でも考えて見れば俺が夢を掴んだ今なら、もし何も障害が無くなったと解った今なら如何するのか?、俺が住む場所は今も変わらない、もし其れに気付いて呉れたなら戻って呉れるのか?、またあの過ごした時間に戻れる可能性も有る、何も言わずに、ハッキリと別れも告げずに消えたんだ若しかしたら…。
そうだな未だ可能性は捨てずに居よう、ハッキリと告げられるその日迄は。
コンビニに立ち寄り買ったあんぱんとメロンパンをジンジャーエールで胃に流し込む、此れも何時ものスタイル気取った物等買いやしない、是で良いんだよ俺は…。
眼をバイクの方に向けるとさっき迄あんなに嬉しそうだったのに俯いてる、手はXTのシートに触れて微動だにしない、一体如何したんだ?。
俺は視線を外せなく為っていた。
何が有ったの?
(。´・ω・)?