マックもケンタもコンビニすら無いド田舎から上京したカッペは… (´-`).。oO
プロローグ
貴方も一度は見聞きした事が在るだろう、ドラマに映画、アニメや小説に端役の様に描かれ、有史以来、否、其れより遥かに昔からかも知れないが、情報を欲する者達が活用していた任務が存在した。
そんな太古の昔から現代と呼ばれる少し前迄利用し続けていた任務は存在した、未だ記憶に残る程に最近の出来事と言った方が良いかも知れない。
脚に通信用の筒や胸に小箱を装着し其処に納められた小さな通信文やフィルム、素の通信文だったり知られては為らぬ極秘の暗号文、起きた出来事や援軍の要請等多岐に渡る情報や写し撮られた画像、其れを持ち帰る任務に従事した者達が居た事を…。
其の小さな身体で己の帰巣本能に従い羽搏き続け、任務遂行中は一粒の粟は疎か一滴の水すら口にすること無く、只管に羽搏く小さな者が居た事をどれ程の人が憶えて居るだろうか…。
荒天の嵐の中、好天でも猛禽類に追われ、災害現場や戦火の空の下も、唯只管に我が帰るべき処を目指して羽搏き続けた彼等を、伝書鳩、レース鳩、軍用鳩と人々は呼ぶ。
其れは悠久の永き歴史を羽搏き続け1960年代迄此の東京の空の下を飛び続け任務の終焉を迎える…。
其の終焉は彼等の名を引き継ぐ者が現れた事で確定する、嵐の中をも恐れず勇猛に挑む者達に彼等は其の任務を譲る、その猛者は鋼鐵で出来た翼を持ち、己の技量で必ず間に合わせる!、其の尊厳に全てを掛け二つの車輪を持つ愛馬で不可能と思われる時間に挑み続ける。
だが今此の現代に彼等の勇姿を見る事は二度と無いだろう、彼等も又時代の流れに存在意義を失う、貴方が之を読む小さな板やキーボードの付いたモニターで瞬時に知る事も送り出す事も出来る現代では、到底彼等が太刀打ち出来ぬ速度で其れは送り出されるから…。
之は其れが確立される迄の僅かな隙間の様な時間に確かに存在し、渡すべき其の情報は人が人の手を介して運ぶしか手段が無かった頃の話で在る。
彼等の輝きはホンの半世紀の程の隙間の時間、其の束ノ間に強烈な輝きを放ち、徒花の様に人々の記憶から消えて行った。
腕自慢のライダー達ですら鬼が来たら道を譲れと口伝えで言われ、人々は彼等のを事を…
「地を駆ける伝書鳩」と呼んだ。
如何にも重厚そうな書き出しっぽいんだが、唯ね…、問題なのは其れに挑んだ主人公が渋滞すら存在しないとんでもないド田舎から上京したカッペだった事…。
此奴は絹ごし豆腐並みのメンタルしか持ち合わせて無いヘタレだし、然も何故か次々とトラブルを招き寄せる体質らしい…、この先一体如何なる事やら…。
考えるだけでも、嗚呼…頭が痛い…。
(¯―¯٥)…
嗚呼…頭が痛い…
(¯―¯٥)…