1. 初対面
お楽しみいただければ幸いです。
2011年3月29日。僕は舞った。
スマホのひどいアラーム音で目が覚めた。僕は起き上がり、部屋の扉を開けた。
僕の家は2階建てで、僕は四畳半の部屋を持っている。階段を下り終えると、
朝食をとる両親がいた。
「お前、何時に起きているんだ。また夜ふかしをしてたのか」
うん、と返事をすると父はため息をついた。
「別にいいじゃない」
母は弾む声で答えた。
僕は、母の靴や鞄が置いてある半開きのクローゼットが目に入った。
中には前にはなかった派手な赤い鞄があった。どうりで機嫌が良いのだろう。
今日は火曜だが学校はない。震災があったから。
僕は、朝食の食パンにジャムを塗って食べた。
そして僕は部屋に向かった。狭い部屋にたくさんの本が置かれている。
だが今はとても読む気分でなかった。部屋の扉を閉めたとき、冷たい床に寝そべった。
もう一度眠りにつこうというところで、17日前のことを思い出し僕は落涙した。
昼になり、母から買い物に行ってきてと言われた。
スーパーは家のすぐ近くでここから歩いて10分。
身支度をして、もらったフードをかぶった。
道にあるプールが目に入る。スーパーが見えた。
めんどくさいとぼやいた僕が渡ったのは赤に変わった信号機だった。
いつもとは見慣れない光景があった。
白。それがどこまでも続いていた。
――あれ、僕は死んだよね......。
僕は、さっきトラックに当たってふっ飛ばされたはず。
自分の体を見た。服は着て......体が透けてる⁉ しかも、手の指、足、首などが動かない。
すると、すぐ目の前に黒いデコボコした壁と黒い霧が現れた。それは大きすぎて全体が見えなかった。
だが、それは僕からゆっくりと離れていき全体が見えたときには、ぼくはこれは夢なのかと疑った。
それは、人でもなく動物でもなかった。
目のようなものはなく、口が何個もあった。
口はさけて鋭い牙が並び、無数の触手と不定形な体をくねらせていた。
周りの黒い霧が、怪物を覆うと、姿が一変した。
その姿は、きれいな女性の姿だった。
「大丈夫ですか。」
とその女性に化けた怪物は言った。しかし、その声は美しく穏やかだった。
「はい......。大丈夫で......す」
「怖がらなくても大丈夫」
すると、動かなかった手や足が動くことが出来た。
女性に化けた怪物は
「まず自己紹介ですね。はじめまして、わたしは最高神ヴァル・レイアと申します。
信じられないと思います
が、あなたの世界で言う神に等しい存在です。ヴァルと呼んでください。赤井 海さん」
「......えっ」
突然、ぼくの名前を呼んできた。
「実はあなたに頼みたいことがあるのです」
とにっこり微笑んで言った。
いきなり単刀直入にヴァル・レイアと名乗る怪物は言った。
そして、ヴァルは手を僕の頭に触ろうとした。
ぼくは思わず避けようとすると、さっきのように体が動けなくなった。
そして、僕の頭に触れたとき、何かが光った。
そして、頭が激しい頭痛がした。
動けるようになったとき、僕は頭をおさえて叫んだ。そのくらい痛かった。
「私の記憶をコピーしてあなたに移しました。大丈夫。痛みはすぐにおさまります」
とヴァルは僕の頭を撫でながら言った。
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