第87話 番外編 その5
「しかし……
ほんとに、この店は、うまいな!」
「だろ?
それに……この値段だから、ほんとに素晴らしいよ。
今度、浩司くんと来ようかな?」
「いいんじゃないの。
おごってやってくれ。」
「ははは。
もちろんだよ。
キミは、来ないのかい?」
「遠慮しとくよ。」
「相変わらずだね。キミも。」
「お互い様だろ。」
「……まぁね。
ああ~。ひとつ、思っていることがあるんだ。」
「……なんだよ?
あらたまって……。」
「いや、なに……
今度、浩司くんに、ウチの庭の剪定をおねがいしたいんだけど?」
「ウチって、室見が丘の?」
「うん。
ちゃんとしたアルバイトとして。」
「いいんじゃねぇの。
あいつは、ビンボーだから、喜んですると思うよ。」
「よかった。
それに、浩司くんは、あのときに、だいぶ鍛えられたみたいだね?」
「ああ。
引きこもるよりは、働け!
……ってな。
まぁ、本人もかなりやる気があったしな。」
「重松造園だったね。
重松クンのところには、ウチも助かっているよ。」
「あいつも、苦労して今の力があるからな。」
「彼は、まさに職人だよね。
キミといっしょだよ。」
「若いうちは、買ってでも苦労をしろ!
……ってね。」
「やっぱり、職人魂だね。」
「ああ。
だから、今がある。」
「ふふ。
浩司くんが今時の若者にしては、ぼくたちの感性に近い意味がわかったよ。」
「チャラチャラ軽いよりは、いいだろう?」
「うん。
だから、カヤちゃんを任せられる。」
「ふふふ。」
ふたりは、何気なく、うなずき合った。
浩司が中学生のとき、学校に行けなくなって、アルバイトをしていたところが、浩一郎の友達である「重松造園」なのだ。
そのときの造園アルバイトが、賢一郎の新規事業だったゴルフ場の造園工事だったのだ。
だから、賢一郎は、浩司の働き具合を把握していた。
中学生ながらにも、いい働き具合だった。
だから、賢一郎からの評価が高い浩司だった。
浩司の方は、何も知らないけど。
「……ああ。
……賢一郎。
あらためて言うが……浩司を頼む。」
「……浩一郎くん。
……わかった。
ぼくにできることがあれば、なんでも力になるよ。
それに……
こちらこそ、カヤちゃんを頼むよ。」
「ああ。」
ふたりは、グラスを空けた。
「ふふ。
この店……マジでいいな。
俺の隠れ家にしよう。
浩司……自分だけで楽しもうなんて、許さんぞ!」
浩一郎は、タクシーに手を挙げた。
「盛福 浩一郎 52歳 ♂ 183センチ 83キロ スターレットとホークスをこよなく愛する男。 アエカには、劇甘。」
オヤジたちのトークもひと段落しました。
なんやかんやと、親に愛されているふたりですね。
まぁ、カヤちゃんは、素直な娘なので、あたりまえだけど……
浩司くん。
キミもちゃんと、愛されているんだよ。
まぁ、盛福親子は、男同士の……
いろいろと、あるけどね。
さて、次回は、本筋に戻ります。
まだまだ、新学期だから……の。
新歓コンパですね~。
お楽しみに。




