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天使が微笑む日  作者: ラビットアイ
83/117

第83話 番外編「オヤジたちの夜」

 水曜日 PM 7:30 

場所は、海鮮居酒屋「あじまさ」である。


「久しぶり。

 今日は、すまないね。」


 里美 賢一郎は、久しぶりに会う友達に挨拶をする。


「久しぶり。

 いや、かまわんよ。

 俺も丁度、おまえに話しがあったから。」


 そう返事を返すのは、盛福 浩一郎。

長身で短髪のいかにも職人気質の男だった。

 そう……この男は、盛福 浩司の父親だった。


「ぼくに話し?

 それは、浩司くんのことかい?」


 賢一郎は、笑顔を崩さない。


「……白々しい。

 そのつもりで呼んだんだろ?」


 一方で、少し不機嫌そうな浩一郎だった。


「まぁ、とりあえずは、座りたまえ。

 乾杯しようじゃないか。」


「……ああ。

  そうだな。」


「ビールでいいかい?」


「もち!

  キリンな!」


「わかっているよ。」


  賢一郎は、グラスを渡すと、浩一郎にお酌をする。


「サンキュー。」

  浩一郎は、素直に受ける。


「では、お疲れさま。」

「お疲れサン。」


 ふたりは、グラスを合わせて、ひと息にビールを飲んだ。

「ゴクリ!」

 ふたりとも、その喉越しに、満足げな表情だった。


「ふぅ~。うまい!」


 そして、突き出しに箸をのばした。

今日の突き出しは、「里芋の煮付け」と「アジの南蛮漬け」だ。


「いただきます。」


 ふたりは、その美味しさに、

「うん。」と、うなずく。


「……で、用件は、なんだ?」


 浩一郎は、箸を止めて尋ねる。


「いや、なに。

 たまには、キミとゆっくり話したい……と、思ってね。」


 賢一郎は、答える。

しかし、その表情には、「含み」があった。


「キミこそ、ぼくに話しがある……と、言っていたよね?

 その話しから、聞こうか。」


「……わかっているくせに……。

 相変わらずだな。」


「いやいや。

 ぼくは、昔から、友人をたててきたよ。」


「……まぁ、そうだな。

 じゃあ、話しは、わかっていると思うけど……俺のところの「バカ息子」と、おまえのところの「かわいいお嬢ちゃん」のことだ。」


「やっぱり!

 ぼくの話しと同じじゃないか!」


「……まぁ、それは、否定しないよ。

 ……にしても、よくおまえがふたりの交際を認めたね?」


「……ん?

   どうして?」


「だって、おまえ……

  親バカやん。」


「……まぁ、そこは、否定しないよ。」


「……人のマネすんな!」


「あははっ。

 ごめんごめん。

 カヤちゃんから初めて名前を聞いたときには、

  ……まさか?……とは、思ったけどね。」


「俺もいっしょだよ。」


「盛福……と聞いて、

 もしや?だったけど……

 この前、久しぶりに見たときには、かっこいい青年になっているじゃないか。

 思わず、うれしくなったよ。

 ぼくが最後に浩司くんを見たのは、中学生だったからね。

 あの様子じゃ、キミも自慢の息子だろう?」


「……どうだか……。」


 浩一郎は、ごまかすように、アジの刺身に箸をのばす。


「うまいな!

 さっきの突き出しもそうだが、刺身もうまい!」


「ふふ。

 突き出しは、そのお店の顔だからね。

 突き出しで、そのお店のレベルがわかるよ。」


「ああ。

 この店は、うまい!

 最高だ!

 ……でも、よくこんな店を見つけたな?」


「だろ?

 じつは……この店は、カヤちゃんから教えてもらったんだよ。

 カヤちゃんは、「彼氏」に教えてもらったみたいだよ。

 ……ふふ。」


「……ふぅん。」


「浩司くんは、けっこうなグルメみたいだね。

 それに、料理のウデもいい。

 この前は、ウチで、立派な鯛をキレイにさばいてくれたよ。」


「浩司には、俺が叩き込んだからな。」


「やっぱり、自慢の息子じゃないか!」


「……ほっとけ。」


「ところで浩一郎くん。

 ひとつ物申すけど……

 コウのことは、了承済みだけど、カヤちゃんに関しては、どういうことかな?」


「……ん?」


「とぼけてもダメだよ。」


「……ああ。

  ………スマン。

 そのことに関しては、ほんとうに偶然なんだ。

 アエカが……あのネコちゃんをもらってきて……

 見た瞬間に、名前を決めたらしくて……。なんでも、芸能人から、とったみたいだけど……。

 俺が帰ったときには、もう……決定事項だったよ。

 だから……なにも言えなかった。

 ほんとうにスマン。」


 浩一郎は、気恥ずかしそうに、頭を下げた。



 そう……


 「カヤ」という同じ名前の……

 この1件は、ほんとうに偶然だったのだ。

 


 ことの始まり………


 昔、盛福家に、1匹の子ネコが持ち込まれた。

 もちろん、持ち込んだのは、里美 香。

香は、無類のネコ好きだった。

 だけど、当時の里美家は、マンション暮らしだったので、ペットが飼えなかった。

 そこで、親交があった盛福家に、子ネコが持ち込まれたのだ。


「おねがい!

 この子ネコちゃんを助けて!」


 香の願いは、快く受け入れられた。


「ネコちゃんの名前は、わたしと同じ「コウ」なの!」


 ……ということで、盛福家の子ネコちゃんの名前が「コウ」に、決まったのだった。その「コウ」も、今年で12才のかわいい茶トラのネコちゃん。

 その性格は、コウ譲りの女王様性格で、気高く気品がある。

 とくに、歩く後ろ姿は、お尻フリフリのレースクイーンのようなのです。




「いや。

 別に、怒っているわけじゃないさ。

 カヤちゃんみたいに、かわいいネコちゃんなんだろ?」


「……まぁ……な。

  ……やっぱり親バカやん。」


「もちろんだよ。

 でも、ひとつ……

 不満があるとしたら……

 なぜ……「ミヤちゃん」が仲間ハズレなのかな?

 キミのところは、全部で4匹いると、聞いたけど……

 今からでも、1匹増やして、「ミヤ」にしてくれよ。」


「……は?

 ……ウチを里美家コピーのネコランドにする気か?」


「冗談だよ。

 ぼくも、そこまでは、親バカじゃない。

 ……でも、聞けばキミも親バカだろ?

 そうじゃないと、あんなマネは、しないよね?」


「……あんなマネ?」 



 オヤジたちのトークは、さらに盛り上がっていく。






こうじくんのお父さんと、カヤちゃんのお父さんは、お友達同士だったんですね。

久しぶりの飲み会で、オヤジたちが色々と語ってくれますよ。

では、次回もお楽しみに。





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