第8話 運
バーベキューをする場所なんですけど…
けんじたちが、予定していたスポットは、ヘリポート跡地だったのです。
脊振ダムの堰き止め壁の下にある、けっこう広い駐車場みたいな場所。
真ん中には、「H」の文字があります。
たぶん、緊急事態のときに、自衛隊が使うヘリポートなのでしょう。
でも、ぼくは、知っていました。
このヘリポート跡地は、休日になると、カートやミニバイクの練習場所になっていることを。
だから、エンジン音で、うるさいことを。
案の定…4~5組ほどのカート軍団が練習をしていました。
まぁ、バカ騒ぎをするならば、ここでも、問題はないでしょう。
ですが、今日は、女の子との合コンバーベキューですからね。
のんびり静かなところがいいでしょう。
「先客がいたか~。」
「どうする? 別の場所を知ってる?」
「いや。俺…この辺、あまり知らん。」
けんじとともやくんが、残念がっています。
せっかくのバーベキューだから、ぼくは、助け舟を出すことにします。
「あっちに、いいところがあるよ。」
…と。
ぼくの言う、「いいところ」とは、このダムサイドの反対側。
対岸のダムサイドは、行き止まりになっていて、あまり人気がないのです。
おまけに、途中の道が狭くて、ガタガタで、あまり車が入ってこないのです。
ですが、行き止まり手前には、沢が流れ込んでいて、水のせせらぎが気持ちいいスポットがあるのです。
ちょっとした、隠れスポットなのです。
あそこなら、合コンバーベキューに、ぴったりでしょう。
…そう、説明しているときに、事件は、起きました。
きゃあ~!
すみません。
特急の用事です!
続きは、すぐに……
ほんと、ごめんなさい。