第67話 納(3)
「これがキミの愛車……
サバンナRX-7だね。
……なつかしい。
しかも、シブくイジっているね~。
ハヤシの十字ホイールとは……。」
……おっと?
このお父さん……ただ者じゃありませんよ。
かなりのツウですね。
「おまけに……「ベタローニ」とは……。」
「……あっ?
お父さんの世代でも、「ベタローニ」って言うんですね。
ぼくたちも、まだその言葉を使っていますよ。」
「ふふ。
まぁ……走り屋用語だね。
僕らの世代から、始まった言葉だよ。」
「ありがとうございます。
継承させていただいてます。」
「うん。
僕らも、うれしいよ。」
やっぱり、このお父さん……
ドロ沼ですね。
ぼくは、うれしいです。
「おお~。
ちゃんと、6点式ロールバーだね。」
「はい。
4点だと、少し不安もありますから。
やっぱり、6点にしました。」
「いい判断だね。
それで……軽量化のためのリアゲートかい?」
「はい。
運よく先輩から、中古パーツが流れてきたので、ソッコウで付けました。」
「この頃の車は、ハッチタイプがハヤっていたからね~。」
「そうみたいですね。
セリカXXとかも、みんなリアゲートを付けていたみたいですね。」
「よく知っているね?」
「はい……。
車オタクですから………。」
「ははは。いいね~。
だから、カヤちゃんと、仲良く話せているんだね。」
「はい。
おかげさまで、カヤさんと、なかよくさせてもらってます。」
「うん。うん。」
うなずくお父さんです。
里美さんのお父さんは、ぼくを認めてくれたのかなぁ?
第2関門突破ですか?
まだまだ、ヲタトークは、続きます。
「あの音は、キャブ特有だけど、エンジンもイジっているね?」
「はい。
キャブは、ウェーバーの45パイで、ダンドラ仕様です。
エンジンは、サイドポートを削っています。」
「ほう~。
サイドポートか~。
どこでイジったの?」
「……いえ。
プライベートです。
お金がないので………」
「あははっ!
学生だから、仕方がないよね。
じゃあ、自分たちで?」
「はい。
仲間に手伝ってもらったり、
先輩の工場を貸してもらったりして……。」
「ほう……。
でも、ロータリーは、エキセンシャフトのボルトが大変だろう?」
……な………なんと!
このお父さん……
かなりのマニアですね。
ロータリーのことも、よく知っていらっしゃいますよ!
ぼくは、かなり、たのしくなってきました。
「はい。
工具は、自作しました。
54ミリのソケットに、鉄パイプを溶接しました。
フライホイールの固定には、ノーマルのフライホイールのギア部分を切断して、穴を開けて、ミッションボルトで、固定できるようにしました。
……で、ファイト一発です!」
「あははっ!
ファイト一発か?
その表現は、カーボーイだね?」
「はい。
愛読しています。」
このお父さん……ステキです。
さすがは、里美さんのお父さんとも言えるでしょうね。
「他は、どんな風にしているの?」
その質問がきたので、ぼくは、ボンネットを開けます。
「はい。
ウェーバーにしたので、電磁ポンプは、大容量に、換えました。
点火も、CDIの同時点火を入れています。
ファンネルは、レスポンス重視で、ショートにしています。
そして、軽量フライホイールです。
デフも、ワンウェイです。」
「ほほぅ~。
いいね、いいね~。」
お父さんは、たのしそうに、エンジンルームを観察しています。
「12Aのまま……
というのが、シブいね~。
こだわりがあるの?」
「こだわり……というか。
やっぱり……
前期のセブンは、12Aのままがいいかなぁ……と、思っています。
いちおう……
13Bを1基もっています。」
「ほぅ~。
さすがだね。
このエンジンが壊れたら、載せ換えるつもりなのかい?」
「はい。」
「13Bは、どんな風にイジるのかな?」
「はい。
できれば、「ペリ」でいきたいと、思っています。」
「ペリかぁ~?
ペリは、たいへんだよ。」
「はい。
だから今は、ペリの勉強中です。」
「ふふふ。
そうか~。
がんばっているんだね。
僕にも、ロータリーのツテがあるから、なにかあったら言ってきなさい。
力になるよ。」
「ありがとうございます!」
このお父さん、とってもステキですよ!
ぼくのことも、少しは、認めてもらったみたいです。
「なにかあったら言ってきなさい」
……その言葉を開けたことに、ぼくは、感謝します。
ちなみに、「ペリ」とは……
「ペリフェラルポート」のことです。
ロータリーエンジンのチューニング方法です。
従来のサイドハウジングを封鎖して、ロータリーハウジングに、ダイレクトで吸排気させるエンジンチューニングのことです。
マツダが「ル・マン」を制覇した
「787B」マシンも、ペリ仕様です。
うん。うん。
やっぱり、オタク同士は、気が合うのだろうね。
こうじくんと、お父さんのヲタトークは、白熱していきます。
カヤちゃんは、ただ……
ふたりのやり取りを感心するように、見つめています。
カヤちゃんも内心は、ふたりがヲタトークをして、理解しあうことを うれしく思っているからですね。
さて、次回は、お父さんの愛車に、スポットがあたります。
お父さんの愛車って、なんだろね?
では、お楽しみに。




