表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使が微笑む日  作者: ラビットアイ
66/117

第66話 納(2)

  土曜日 AM9:30 


「ガボガボ―――――」


 低速で……

  2速で……

   カブらないように……

 ゆっくり、坂をのぼります。


 ご近所さんの迷惑に、ならないように。



 そして、もちろん……助手席には、貢ぎ物の「もちきち」を 携えています。

 里美さんのご両親に、ご挨拶するためですね。

 大人の礼儀は、わきまえています。



  ………えっと………


 里美さんの話しては……

  このあたり………


「げっ? 

 ……ここ??」


 いちばん最上段にあるお宅……

まぎれもなく、「豪邸」と呼べるシロモノかと……。


 (ああ……納得です。)


 里美さんの……

あのふわふわした雰囲気は………

 おそらくは……

  お嬢様なのですね。

  ……社長令嬢なのですね。

       ………里美さんは。


 納得です。



 ぼくのセブンの排気音が聞こえたのか、女の子が、豪邸から出てきました。

  そう……里美さんです。

 うす紫のパーカーに、ゆったりしたジーンズ。

 今日も、とてもかわいい格好です。


 そして、ガレージ入り口のシャッターが、開きます。

 このガレージ……

車が6台くらいは、余裕で入りそうな、広いガレージです。

 とくに、気になるのは……

  あのシートが、かぶった車です。


 シルエットで、スポーツカーなのは、一目瞭然です。

 あれが、里美さんのお父さんの愛車でしょう。

 車種は、わかりませんが、「オープン・ツーシーター」ということは、はっきりしています。


  さてさて……楽しみですね♪


 とりあえずは、ガレージ前に、セブンを停めます。

 もちろん、エンジンは、切りますよ。

  うるさいですからね。


「おはようございます。カヤさん。」


「おはようございます。こうじさん。

 ……今日は、すみません………」


「いえいえ。大丈夫ですよ。

 ぼくも、カヤさんのお父さんには、ご挨拶したかったですから。」


「ありがとう、こうじさん。

 あのぅ………

  それでですね………

 もうひとつ……おねがいが………」


「はい。なんでしょう?」


 まぁ……ここまでくれば、おそれるものは、ないはずです。

  ………たぶん。


 そして、里美さんのお口から……

  またもや………


「今日……

 お母さんもいっしょで、いいですか?」


「………はい?」



 ………「お母さんと、いっしょ!」

某テレビ番組に、そんな題名が、ありました。

 お母さんと、いっしょ……

幼い子供たちは、いつでも、お母さんといっしょです。

 お母さんだけですか?

お父さんは、どこに行ったのでしょう?


  ……もちろん、お仕事ですね。


 この日本経済と、愛する家族を守るために、日々、お父さんは、働きまくりです。 

 だから……

お家には、お父さんがいないから、幼い子供たちからすると、

「お母さんと、いっしょ」

  ……が、ふつうなのです。

 ある意味、悪しき風習となる題名ですね。


 ……おっと?

 脱線している場合では、ありません。


 娘の納車に、お父さんとお母さんが、いっしょ……。

 里美さんのお家は、すごく平和的で、家庭的なご家族なのでしょう。

 家族みんなが、仲良し……

  そんな感じを受けますね。


 ……ぼくからすると、かなり、うらやましい関係です。

 ……ぼくは、家庭でも、孤立していますから。


 ……おっと?

  ぼくのことは、おいておいて……。


 ふつうならば、問題ないでしょう。

  なにも………。


 でも、今日は、ふつうでは、ないのです。

 それは……

 ぼくが、いっしょだからです。


 娘の納車に、彼氏のぼくがいる。

ほんとうは、ぼくの方が、お邪魔虫でしょうね。


 ………しかし!

 ぼくには、避けて通れない道があるのです。

 それは……

 里美さんのご家族とのご挨拶ですね。


  ………はい。

 十分に、理解しました。


 里美さんは、お嬢様です。

  社長令嬢です。

 しかも、箱入り娘!

  鉄壁のチタン製ボックス……

「ガール・イン・ザ・ボックス」です。


 ……そんなガール・イン・ザ・ボックス=カヤさんの恋人に、なってしまったぼくですから。


 ……いまさらですね。


 そして……

 今から、ぼくは、吟味されるのです。

里美さんのお父さんとお母さんから……

 「ぼく」という人間を……。



「お手柔らかに、おねがいします。」


 緊張しまくりのぼくに、里美さんが、説明してくれます。


「お母さんがいた方が、絶対にいいです。」


 ……どういうことですか?


  里美さん曰く。

 里美さんのお父さんは、文字通りに、里美さんを溺愛している様子です。

 目の中に入れても、全然痛くないようなハイクオリティーのコンタクトレンズのごとく。


 まぁ……

  それは、仕方がないことでしょう。


こんなに、かわいい里美さんですから。


 ……で、その「娘バカのお父さん」を制御できるのは、お母さん!

 ……ということですね。


 (ふむふむ。)


  すごく、納得しました。


 まぁ……

 どこの家庭でも、いっしょです。


 お父さんは、お母さんには、弱いのです。

 だから、お母さんがいっしょに行く理由は、

「お父さんの暴走を止めるため!」

 なのですね。


 ほんとうに、理解しました。


 もし……ぼくのお家だったら………

アエカに、彼氏ができただけでも、ウチのオヤジは………… 


 ……おっと?

 また、脱線しそうでした。

 現実に、戻りましょう。



 ガレージ前で、話しているぼくたちに………


「やぁ。はじめまして。

 カヤちゃんのお父さんです。」


 紳士が現れました。

少し白髪混じりの髪は、リーゼント……

 いや、失礼。

オールバックに、セットされた、ダンディーお父さんです。

 表情は、穏やかで、ほんとうに、「やさしいお父さん」って、感じです。

 身長は、ぼくと、変わらないくらいですね。

 ぼくは、ビンボーのおかげで、やせっぽちですが、お父さんは、ガッシリした体格です。

 なにか、スポーツをしている体格ですね。


「……あっ?

 ……はじめまして。盛福 浩司です。

 よろしくお願いします。」


 ぼくは、きちんとあいさつできました。


 噛まなくてよかったです……

   ホッ。


「ふふふ。

 よろしく。浩司くん。

 キミのことは、娘から、よく聞いているよ。」


 お父さんから、差し出された手を しっかり握ったぼくです。


 (げっ! こぶしが………)



 このお父さん……間違いなく、体育会系です!

 しかも……格闘系ですよ!

こぶしが、ツブれています。

 おそらくは……極真空手?


「……あっ?

 つまらないものですけど、どうぞ!」


 ぼくは、貢ぎ物を 差し出しました。


「ご丁寧に、ありがとう。」


 笑顔のお父さんです。




 第一関門は、突破したみたいです。






ふぅ~。

無事に、お父さんとのご挨拶を 済ませたこうじくん。

よかったね~。


やっぱり……というか、カヤちゃんのお父さんは、いい人でした。

車オタクだしね。

そして……「カヤちゃん命」のバカオヤジでもあります。


こうじくん……がんばってね~。


ふたりの握手を見た、ガール・イン・ザ・ボックスのカヤちゃんも、ホッと一安心でしょうね。

 その……カヤちゃんは、社長令嬢でした。


さて、次回は、こうじくんとお父さんとのオタク談義が、始まります。

カヤちゃんも、たのしそうに……。

ですが………ある人物の……

では、お楽しみに。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ