第59話 友(5)
「……ぼくには、関わらない方がいいよ……」
その言葉を残して、こうじは、学校に来なくなった。
でも、俺は、こうじの友だちをやめない。
まわりがなんと言おうとも、俺は、こうじの友だちなのだ!
そして……
間もなくして、俺のアンテナに、ソレは、引っかかる。
「情報」だ。
アイツらの近い仲間……
俺の友達の友達……くらいの情報だ。
ほとんど「又聞き」だから、信憑性は、低いけど……。
でも、その情報から、こうじが壊れた理由がわかった。
榊……アイツら、妹のアエカちゃんにまで、手を出そうとしていた。
寸でのところで、こうじが阻止したらしい。
そして……
「自分は、もう……学校に行かないから、アエカには、手を出さないで……。」
……こうじは、言ったらしい。
俺は、心底ブチ切れた!
アイツらが女だろうと、関係ねぇ!
ブチ殺す!
こうじと、俺だけを ターゲットにしていれば……
俺も、ここまで、キレなかっただろう。
しかし……
アエカちゃんまで、巻き込むとは……。
絶対に許さん!
俺の逆鱗に触れまくりだ!
アイツらに、地獄を見せてやろう!
そして……こうじが壊れた理由に、納得した。
妹思いのこうじ……
おそらく、あのときの記憶が、蘇ったのだろう。
こうじは、苦しんだだろう。
悲しんだだろう。
自分のせいで、アエカちゃんを 危ない目に、合わせてしまったのだから……。
もう……こうじの逃げ場所は、完全に、閉ざされてしまったのだから……。
俺は、こうじの心境を考えると、どうしようもなく、ツラくなった。
(スマン、こうじ。
俺は、ひとりでヤル!)
そんな覚悟を決めた俺のところに、こうじが現れた。
「けんじ。
……ひとりでやろうと、思っているでしょ?」
俺の行動を よく理解しているこうじ。
「大丈夫。
ぼくは、大丈夫だから。
……それに、学校サボって、バイトがたくさんできるよ。
ぼくの計画通りだね。」
こうじは、笑って言った。
「ありがとうね。けんじ。
こんなぼくと、友だちになってくれて……。」
俺は、また泣いてしまった。
俺は、こうじを愛しているぞ!
男同士でも、愛ってあるんだ!
だから……
俺は、死ぬまで、こうじの友だちなのだ!
……いや。
死んでも友だちなのだ!
俺のツツコミ計画は、ポシャったけど、こうじとは、さらにマブダチになった。
学校に、来なくなったこうじは、バイトを一生懸命に、がんばっていた。
目標があるから、がんばれるんだ。
ただ……日ごとに、ワイルド?になっていくこうじには、笑ったけど。
そして……こうじは、何事もなかったように、3年生に、進級した。
まぁ…目標達成までのゴールデンウィークまでは、サボっていたこうじだった。
しかし……
あのクソ教師どもは、こうじの件が、表沙汰になることを恐れていた。
だから、こうじが学校に来なくても、なにも言わなかった。
俺にまで、シッポを振ってきた。
マジで、最悪だった。
ほんとうに、クソ教師しかいなかった。
まぁ……
そこは、完全に諦めた俺だった。
だからだろうか?
俺は、教師になることを決めた。
このクソ教師どもから、子どもたちを守る!
……いや、それは、言いすぎかな?
ただ……なんというか……
子どもたちの味方でいたい俺なのだ。
ちなみに、こうじは、「金八先生」に、あこがれて、教師になるみたいだけど……。
それからは、いっしょの高校へと、進学した俺たちだった。
高校では、部活には、入らず……
相変わらず、ふたりでキックボクシングのトレーニングをしたり、
野球の真似事をしていた。
もちろん、ホークスの応援は、欠かさなかった。
こうじが16才の誕生日になるときには、ふたりで中型二輪免許を取った。
(俺は、4月生まれだから、大丈夫。)
そして、こうじは、夢だった大好きなバイクに、乗りはじめた。
バイクの改造も、もちろん手伝ったよ。
ついで……と、言っては、なんだが……
俺もバイクを手に入れた。
「ヤマハ SRX400」。
俺の愛車に、なった。
こうじのような、走り系とは、違うけどね。
俺たちは、よくふたりで、ツーリングに行った。
阿蘇や高千穂、最遠方では、鹿児島の桜島、枕崎まで、制覇した。
枕崎のカツオのおいしさには、ふたりで感動した。
こうじが何気に、酒を飲んでいたのには、少し驚いた。
「けんじも、飲んでみる?」
なんともいい笑顔に、乗せられて……
俺も、酒の味を知った。
もちろん、その日は、民宿に泊まったよ。
(なるほど…。)
アエカちゃんが
「お兄ちゃんが、職人さんに、毒された!」
……と、叫んでいたことに、納得した。
それでも、楽しいツーリングだった。
その後も、俺たちは、九州じゅうに、ツーリングに行った。
まぁ……こうじは、基本的に、峠だったけど。
それでも、俺に付き合ってくれた。
ほんとうに、楽しかった。
よくふたりで、道に迷ったりもした。
だって、こうじは、峠道が大好きなのだ。
クネクネ道が大好きなのだ。
だから、ツーリングは、だいたいが山の中……。
まさに、俺の名前は、山中だけど……(笑)。
まぁ……迷っても、ほんとうに楽しかった。
1度……ハプニングもあった。
こうじのCBRが山の中で、ガス欠になった。
とりあえず、予備燃料で、行けるところまで、行ったけど……
とうとうガス欠で、完全に止まった。
そして、俺のSRXで、ニケツして、ガソリンスタンドを探した。
やっと見つけたガソリンスタンドのおっちゃんに、ガソリンタンクを借りて、難を乗り越えた。
ガソリンタンクをおっちゃんに、返しに来たら、なぜか?飲み会が始まっていて、俺たちも強制参加させられた。
その日も、ガソリンスタンドに、泊めてもらった。
そんなアクシデントも、今では、笑い話しだよ。
いや。ほんとに、楽しいツーリングだった。
けんじくんは、そういう理由で、教師を目指しているんだね。
子どもたちの味方になれる教師かぁ~
ステキな目標だね。
…それから、バイクで、ツーリングは、楽しくて、よかったね。
ガス欠には、気をつけないとね!
CBRには、燃料計がないから、走行距離で、判断しないといけないからね。
でも、いいツーリングになったみたいですね。
さて、次回は、けんじくんのシメですね。
お楽しみに。




