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天使が微笑む日  作者: ラビットアイ
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第58話 友(4)

 それから……こうじは……


「ぼくは、2度と、ケンカは、しない。

 暴力は、振るわない。」

 ……と、言っていた。


 聞けば、こうじは、キックボクシングを やっていたらしい。


 ……あの強さには、納得したけど……。


 でも、10対1だぞ!

いくら格闘技をしていても、ムリだろ!

しかも、まだ、小学6年生……12才だぞ!


 そして……もうひとつ、誓った。


「こうじを怒らせることは、やめよう。」

……とも。


 ……でも、こうじは、格闘技術を ケンカに使ったことを ひどく反省して……

 キックボクシングジムを 辞めてしまった。


 ジムを辞めてしまったこうじだったけど、トレーニングは、続けていたよ。

 なにせ、俺もいっしょに、トレーニングしていたからな。

 俺も強くなりたかったし、こうじも……

……いや。こうじは、習慣かな?

 だから、こうじの練習相手を ずっと続けた。

 おかげで、ふたりで強くなったよ。


 ジムを辞めた本人は、意外にも、ケロッとしていて……


「じつは、ぼくには、夢があるんだ!」

 ……と。

 そして、俺に、車とバイクが好きなことを話してくれた。

 俺も男だから、バイクとかは、好きだったけど……

 こうじの「好き」は、かなり、ディープだった。

「フェチ」の域だった。

なので俺は、こうじのメカ好きトークを ただ……聞いてあげる……

  ……いや。違う……

 こうじのメカ好きトークを 聞きたいのだ。

 楽しくメカ話しをするこうじが、好きなのだ。


 それから……

こうじのオヤジさんの会社は、

 なんとか……

  なんとか、立てなおったらしい。


 こうじのオヤジさんは、マジメな職人さんで、その技術は、かなり高い。

 その技術を 認めてくれる会社は、世の中には、たくさんあるんだ。


 俺は、安心したよ。


 ……だけど、こうじは、かなり自分を責めていた。


「ぼくがお父さんに、迷惑をかけてしまった………」


 こうじは、悔やんでいた。


 俺は、必死で、こうじをなぐさめた。

  励ました。

 そんな落ち込むこうじは、見たくなかったからだ。


「いや。おまえは、悪くない!

 悪いのは、100%アイツらだ!

 それと、学校だ!

 校長をはじめ、クソ教師どもがっ!

  殺すぞ!」


 俺が勝手に、エキサイトすると、決まって、こうじが言う。


「ほんとうに、ありがとう。

 けんじくんが友だちで、ほんとうに、うれしいよ。」


 笑顔で言う、こうじ。


 ……なんてうれしいことを……

  いつも言ってくれるのだろう。

 ……どっちが、励ましているのかわからん!


 そして……ふたりで、笑いあった。


 そんな楽しい日々が続いて、俺たちの中学時代が、始まった。


 部活にも、入った。

 俺たちは、バスケ部に入って、けっこう、一生懸命に、練習をした。

 そして……レギュラーにまで、なったよ。


 3年生が抜けて、俺たち2年生が、中心になったときだった。


  あの最悪の事件が起きた。


 ……半分は、俺のせいかも、しれない。


 そのとき、こうじには、めずらしく……というか、初めての経験が起きたらしい。


 女の子を初めて好きに、なったらしい。


俺は、こうじに、よく相談されていた。


「ねぇねぇ、けんじ。

 ……女の子と、なにを話したらいいかなぁ?」

  ……とか。

「あの娘といっしょに、絵を描きたいなぁ~。」

  ……とか。


 そんな他愛もない、ふつうの男子中学生の「好き話し」をしていた。

 俺の目から見ても、あの女の子の反応は、悪くなかった。

 おとなしい娘だったけど、こうじと話すときには、ちょっと、ホホを染めて、「好き」という感情が、見えていた。

 ハタから見ても、けっこうかわいかった。

「恋する乙女は、かわいい!」

 ……というやつだった。


 だから、俺は、こうじに言った。


「おまえは、口ベタだから、告白は、手紙にした方がいいぞ。」

 ……と。


 そのあと……

  あんなことに、なるとは………。


 アイツ……

 同じバスケ部の「榊」という女……

 何度も、殺そう……と、思った。


  俺は、あのとき誓ったのだ。


 なにがあっても、こうじを裏切らない!

 ……と。

 なにがあっても、こうじの力になる!

 ……と。


 榊を 中心とした、こうじイジメが、始まった。


 あの「ラブレター暴露事件」のとき、運悪く、俺は、その場にいなかった。

 騒ぎが大っきくなったころに、俺は、教室に、戻ったのだった。


  唖然とした………。


 また俺は、こうじの力に、なれなかった。

 そのことが、めちゃくちゃくやしかった。


「ぼくは、大丈夫。

 けんじにまで、迷惑をかけて、ごめんね。」


 こうじは、言った。

  俺にまで、気を使って。


 ………そうだった。


 こうじと仲がいい俺のことまで、あの女は、悪く言い出していたのだった。

 まぁ、俺は、全然気にしていなかったけど、こうじが気にしていたのだ。

 ほんとうに、やさしいやつだよ。


 それにしても、いちばん恐ろしかったのは、

「女のイジメは、陰湿!」

  ということだよ。


 俺でも、かなり、引いた。


 それにしても、なんでアイツは、あれほどに……

 こうじを目の敵にするのか?


  ……少し思いあたるフシがある。

 それは……


「あの女は、こうじを好きなのかもしれない。」

 ……ということだった。


 あの女は、部活が終わったあとでも、よく俺たちに、からんできた。

 人懐っこい性格の榊だから、俺は、あまり気にしていなかった。

 ただの部活仲間……と、思っていた。


 中学2年生になって、同じクラスになってからは、とくにからんできた。

 しかも、俺の方に、よくからんできた。


 でも、榊の目線は、いつもこうじに、向いていた。

 俺は、なんとなく、気づいていたけど……こうじは、ちょっと……

  ……いや、かなり鈍感なところもあるから……。

 こうじは、榊の視線には、気づいていないはずだ。


 しかも、こうじは、あの女の子のことが好きだった。


 榊にしてみれば、自分の好きな男の子は、別の女の子が、好きだった。

 だから……

 あそこまで、歪んでしまったのか?


 しかし、自分の好きな人の幸せを 祝ってあげれない……

  悲しいヤツ。


 だからといって、アイツのしていることは、肯定できない。

 断じて認めることは、できない!



「アイツら、ぶっ飛ばすか!」


「……いや。それは、ダメだよ。

 相手は、女の子だから……。

 それに……ぼくは、絶対に、暴力は、振るわないよ。

 暴力は………。」


 俺は、ほんとうに、心が痛んだ!

こんなにいいやつを なんでイジメるんだ!

 ……と。


 やめるように、なんども榊に言った。

 ……でも、イジメは、なくならなかった。


  逆に、ひどくなった。


 アイツらは、自分たちが女の子だから、こっちが手を出せないことを わかっていたのだ。


 ほんとに、陰湿だぞ!


 しかも、学校の教師たちなんて、少しのアテにも、ならない。

 今回のこうじのことも、そうだ。


 俺は、何度か、担任教師に、相談した。でも、あの教師どもは、見て見ぬふりをした。

 俺は、はっきりと、悟った。


アイツらは、教師でもなんでもない!

ただの腐れサラリーマンだ!

ただ……学校という名の国から守られた、腐れきった会社なのだ!


 俺が小学2年生のとき……


「教師は、聖職だ!」

「教師は、子どもの味方だ!」


 ……と、言っていた担任教師がいたけど………

 あの言葉は、幻だったのだ。

 まっ赤なウソだったのだ。


 教師どもも、人間だ。

自分がいちばんかわいいのだ。

 自分の身が、いちばん大切なのだ。


  俺は、今回も痛感した。


「今の教師どもは、クソだ!」


 ……ということを。


 ……それを実際に見てきた俺だし………。

もう……いまさらだろう。


 ……では、どうすればいいんだろう?

どうすれば、こうじを助けてやれるのだろう?

 ……いっそ、マスコミに、タレ込んでみるか?


  ………答えは、出なかった。


 やっぱり、俺たちは、なんの力もない……ただの子どもだった。


 そして……

  こうじは、俺に言った。


「ごめんね。けんじ。

 ……ぼくには、関わらない方がいいよ………。」


 ……と。


 信じられなかった。

  こうじが俺に……

   そんなことを言うなんて………。




 でも、こうじの表情は……………

  とてもなく……暗かった。






こうじくんと、けんじくんの過去は、決して、平たんじゃなかったんだね。

でも、ふたりの絆は………


もう少し、けんじくんのお話しを聞いてください。

では、お楽しみに。






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