第53話 結(6)
後日談 後半。
告白するつもり……でした。
ですが……
そのカタチは、まったく違うカタチに、なってしまいました。
ほんとうに、運悪く………。
その手紙を 落としてしまったのか……
なくしてしまいました。
手紙は、見つかることもなく………
その日のお昼休みに………
ある女子生徒……
この女子生徒は、同じバスケ部の女子でした。
そんなに、仲良しではありませんでしたけど、ふつうに、会話するくらいの仲間でした。
その女子生徒に、手紙を拾われたのでしょう。
まぁ、ぼくの管理責任なのですけど……。
その女子生徒は、ぼくの手紙を みんなの前で、公開したのです。
その好きだった女の子も……
もちろん、いっしょに。
最悪でした。
その女の子は、マジメで、とっても恥ずかしがり屋で……
それなのに、みんなのさらし者に、されてしまいました。
女の子は、ひどく泣いてしまって………
ぼくの責任です。
ぼくの………
ですが……あの手紙は、大切に、カバンの内ポケットに、入れていたはずです。
好きな女の子に、渡す……
初めての手紙ですから……。
ですが………実際には、こうやって、みんなのさらし者に、されてしまったわけですが………。
ぼくの責任です。
女の子は、大泣きしながら………。
それからは、ぼくの方へと……。
クラスの女子たちから、想像を絶する嫌がらせを 受けました。
「おまえなんかが、女子を好きになんなよっ!
キモイんだよっ!」
………衝撃的なひと言でした。
ぼくのこの気持ちを 根本から否定する言葉でした。
ぼくは、……なにも意見することができずに………。
あの女子生徒を 中心とした、壮絶な嫌がらせが、始まったのです。
ほんとうに、恐かったです。
でも、ほんとうに、恐かったのは、そのあとでした。
ぼく自身に対する嫌がらせならば、いくらでも、辛抱できたでしょう。
しかし、あの女子生徒は………
ぼくの家族………
妹に………。
ぼくも、そのときは、
「この人たちを殺そう!」……と、考えました。
しかし、過去の教訓を糧にして………
暴力行使は、踏みとどまることができました。
その代わり、ぼくは、学校にも、行けなくなり、部活も辞めました。
ただ……ひたすらに、バイトをしました。
中学生ができるアルバイトは、そう多くありません。
ですが……オヤジのツテで、造園関係のアルバイトができたのです。
両親にとっても、息子が、ただ引き込もっているよりも、外でアルバイトをしている方が、いくらかは、健康的だと、判断したのでしょう。
ぼくは、マジメにがんばりました。
おかげで、中型2輪免許代金とバイク代金の資金が、貯まりましたけどね。
中学2年生の3学期からは、まったく学校に行かず、アルバイトの日々でした。
でも、無事に、3年生になれました。
日ごろの行いのおかげでしょうか?(笑)
それでも、3年生のゴールデンウィークまでは、学校に行きませんでした。
そして……当然のように、その頃のぼくは、ひどい女性恐怖症に、かかっていました。
3年生になって、クラスも変わったので、そこまでひどい嫌がらせは、なくなりました。
ですが……
やっぱり、陰では、続いていました。
でも、ぼくは、耐え忍ぶ術を 手にしていました。
それは、感情の切り離しでした。
いっさいの女子生徒との接触を 断絶しました。
恋愛感情なんて、もってのほかです。
………ただひとつ………
やり残したこと………
まだ、ぼくの心の奥に、突き刺さったままの………
深い想いがあります。
この想いだけは、捨てきれないことでした。
それは………あの女の子に、謝ることができなかったことです。
あの女の子は、3年生になる前に、転校してしまいました。
あの女の子は、大丈夫でしょうか?
イジメられていないでしょうか?
ぼくのように、他人恐怖症に、なっていないでしょうか?
あの女の子には、支えてくれる人がいるでしょうか?
たくさんの心残りがあります。
ただ……ぼくには、なにもできることは、ありません。
あの女の子が、平穏な日々を過ごしていることを祈りたいです。
………いえ、祈ります。
祈ることしか、できませんから。
ぼくには、幸いにも………けんじだけは、ぼくの友達を 続けてくれました。
ほんとうに、けんじには、感謝します。
こんなぼくと…………。
でも、ぼくの心は、イビツになりました。
もう……嫌がらせなどには、反応しない体質になりました。
ある意味、「精神的強靱さ」を手に入れたのです。
おまけに、肉体的強度も、手に入れたのです。
これは、アルバイトの造園屋のおっさんたちに、鍛えられましたけど……。
だからこそ、高校受験くらい、なんのそのでした。
過酷な受験勉強も、乗り越えて……晴れて、高校生になり、2輪免許を取得して、CBRを手に入れました。
高校3年間は、峠がすべてでした。
峠は、ぼくにとって、天国でした。
生きる希望でした。
峠には、誰もぼくをいじめる人は、いないのです。
ある意味……逃避ですけど……あのときのぼくには、大切な場所なのです。
すべてが新しい出会いでした。
バイク仲間に、イヤな人は、いなかったです。
みんな純粋に、バイクが好きな連中でしたから。
そんな仲間ができて、さらに、ぼくは、オタクへと、加速したのです。
そして……高校3年生……18才になり、速攻で4輪免許を取得……念願のセブンに、出会いました。
もう、それからは、セブン一筋ですね。
朝から晩まで……いや、夜中まで、セブンに触れていました。
………そして……今。
キミに出会ったぼくです。
こんなぼくを 里美さんは、やさしく抱きしめてくれています。
「わたしは、こうじさんが好き。
ずっと……ずっと……
こうじさんといっしょだよ。」
ぼくに、天使が微笑みかけました。
うん。うん。
つらかったね。
でも、もう……大丈夫だよ。
こうじくんには、大切な仲間……友達が……恋人がいるんだから。
まだまだ、人生これからだよ!
では、次回は、お友達のけんじくんからのつぶやきです。
お楽しみに。




