第45話 契(2)
……まぁ、お互いの家族のことは、これくらいで……。
いやいや。
よくありません。
ちゃんと、お話しを 聞きましょう。
「里美さんのお姉さんって、どんな人なんですか?」
「あのぅ………先輩。
ふたりのときには、「カヤ」って、呼んでください。」
「ぷぅ~」と、頬をふくらませる里美さん。
とても、かわいいです。
……でも、ほんとうに、信じられません。
こんなにかわいくて、やさしい娘が………
ぼくのことを「好きだ」……なんて。
そして、これから……
この娘と、「つき合う」……なんて。
ほんと、世の中は、摩訶不思議なことがあります。
ここまできたら、ぼくも男です。
いさぎよく、カッコよく行きましょう!
「………じゃあ、
……カヤさん……。」
…………ダメでした。
いきなりザセツしました。
やっぱり、今までの長いオタク生活で、すっかり、ぼくは、この「チキン性格」が、板についたのでしょう。
女の子の名前を 呼び捨てにするなんて、ぼくには、まだムリそうです。
これは……リハビリが、たいへんそうですね。
………はい。がんばります。
「……まぁ、いいでしょう。
がんばってください。
こうじさん。」
里美さんも、そんなぼくのことを 少しは、わかってくれているのでしょうか?
彼女は、譲歩してくれました。
………しかし………
「 こうじさん……?
……いえいえ。
今のままで……「先輩」…で、いいですよ。」
そうです。
「こうじさん」……なんて、どこかくすぐったいです。
それなら、まだ「こうじ」って、呼び捨てにされる方がいいですよ。
けんじたちからは、そう呼ばれているから、まだマシです。
………おっと?
これは、ぼくだけのワガママになってしまいますね。
ぼくは、先ほどの……里美さんの要求にも応えられずに、「さん」付けで、呼びましたから……。
「いえ。ダメです。
ふたりのときには、わたしも「こうじさん」って、呼びたいです。
特別に、なりたいです。」
…………ほんと、この娘って………
「わかりました。
ぼくも、がんばります。」
「ふふふ。
大丈夫ですよ。
わたしも、男の人と、はじめてのお付き合いです。
お互いに、協力して行きましょうね♪」
ほんとうに、笑顔満天の里美さんです。
もう……どうしようもなく、かわいいです!
「そうですね。
ありがとうございます。
ふたりで、がんばりましょう。」
「はい。」
う~ん。
やっぱり、里美さんの「はい。」は、最高……最強ですね。
……ほんとうに、ぼくも、がんばりたいです。
「………あのぅ………
あとですね……
わたしのこと……
もっと、ザツにあつかってもいいですよ。」
「………ザツ?」
ザツ……って、どういうことでしょう?
「はい。
………まぁ、ザツ……というか、
気楽……というか。
もっと……こうじさんが、したいように………
していいって、ことです!」
なぜか?
まっ赤な顔に、なっている里美さんです。
………どこがそんなに……
恥ずかしいのでしょうか?
まだまだ……
ぼくには、わからないことが、たくさんあります。
「ふふ。
そうですね~。
ぼくたちは、ぼくたちですから、ゆっくりあせらずいきましょう。
………ねっ、カヤちゃん。」
ぼくは、今できる、精一杯の笑顔で、こたえます。
まだ全然、理解できないぼくは、こんなセリフしか、口にできませんから。
はたして……
正解かどうかは、わかりませんけど……。
でも、ぼくは、里美さんが、大好きです。
そのキモチだけは、ブレずにいきたいですね。
だから……ぼくは、里美さんのアタマをやさしく撫でます。
ぼくの愛情表現です。
「ずるいです………こうじさん。
でも……
今日は………
朝まで、ずっと………
いっしょですね♪」
そう言って、ぼくの胸に、アタマをあずける里美さんでした。
とっても、テレくさいです!
うん。うん。
そうです。
ゆっくりでいいんです。
あせらず、ふたりのペースで……
オタクだけど…。
こうじくん…。
女の子って、とっても複雑だけど、とってもシンプルなんですよ。
好きな人だから、特別なんです。
カヤちゃんは、こうじくんだけが特別なんですよ。
そのあたりも、ちゃんと、わかってあげてね♪
さて、次回も、ふたりのグダグダが続きます。
ほんと、オタク同士って、話しが長いです。
お楽しみに。




