第42話 告(2)
里美さんに、背後をとられたぼく。
圧倒的に、不利な立場のぼく。
でも……里美さんは、バックドロップもジャーマンスープレックスも、かけることは、せずに………。
「先輩………好きです。
わたしと、付き合って……ください。」
里美さんは、ぼくに、告白をしました。
(……はぁ?)
あの里美さんが………
あのかわいくて………
あの笑顔が、とってもかわいい女の子………
あの里美が、ぼくを好き?
…………ぼくを好き???
にわかには、信じられない出来事です。
「里美さんが、ぼくを好き?」
また、繰り返してしまいましたけど……
ほんとうに、信じられません。
「ドッキリですか?」
思わず、そんなことまで、考えてしまったぼくです。
「なぜ………?」
理解できません。
理解できるはずがありません。
こんなビンボーな車オタクで、しかも、自閉症気味のぼくを 好きですって?
「里美さん……あなた……正気ですか?」
それに、まだ……
知り合って、1ヶ月くらいですよ。
………あっ?
時間は、関係ありませんね。
現に、ぼくは、里美さんのことが、大好きになっていますから。
まぁ、ぼくの方は、理解できますよ。
里美さんは、明るくて、人なつっこくて、
しかも、かわいいから、ぼくみたいなネクラオタクにも、好かれるんです。
でも……
「里美さんが、ぼくを 好き?」
……何度も、繰り返しますけど………
理解できません。
ぼくを好きになる要素………
そんなモノが、存在するのでしょうか?
お金を持っていないことは、周知でしょう。
身長も、そこまで高くないですし、
顔なんて、いうまでもなく、かっこよくありません。
そのあたりに、よく転がっているくらいのレベルです。
いや……そのあたりに、転がっている方がまだマシでしょう。
ぼくは、ドブにまみれる「空きビン」のレベルかもしれません。
服だって、ダサダサです。
基本的に、ジャージのぼくです。
オシャレなんて、月ほどに、遠い存在ですよ。
それに、決定的には、女の子とも、マトモに、お話しすることもできない、気持ち悪いオタクですよ。
世間では、ぼくたちのことを……
「キモヲタ」…と、呼ぶそうです。
……なるほどです。
いいネーミングセンスですね。
……おっと?
感心している場合では、ありません。
………で、
そんな……ぼくです。
モテる要素なんて、これっぽっちも、ありません。
………なぞです。
やはり、理解が、できません。
里美さん……。
今なら、まだ………
「な~んちゃって♪」
……で、済みますよ。
そして…………
いちばんの問題は………
「なぜ…ぼくは、素直に喜んでいないのでしょう?」
……ということです。
好きな女の子から、告白されたら……
ふつう、「即オッケー」でしょう。
………でも、ぼくは、できません。
………できるはずも、ありません。
理由は……………
理由は……………
理由は……………わかっています。
「ぼくなんかと、付き合っても、しあわせになれませんよ!」
まわりからは、間違いなく……
「大丈夫?
もしかして、脅迫されてるの?」
……と、言われますよ。
ヘタしたら、刑事事件にまで、なるかもしれませんよ。
もし、万が一、事件にならなくても、学校とかでは、絶対に、「うしろ指さされ組」…に、なりますよ。
まわりじゅうから、責められますよ!
こんなぼくと、付き合うなんて…………。
………思わず、あのときの光景が、脳裏を横切ります。
あの……悪夢が、よみがえります。
…………ぼくは…………
……里美さんを しあわせにしてあげれませんよ………。
絶対に、里美さんに、後悔させることになりますよ………。
あなたに、悲しい想いは、させたくありません。
あなたには、いつも笑顔で、いてほしいです。
ぼくのセブンに、乗っていたときのように……。
(…………………………………………………
……………………………………………………。)
ああ………………………………………………
…………………………………………………………。
ぼくは、ほんとうに、バカですね。
大バカです!
こんな考えこそ………ぼくの「エゴ」。
ぼくの「ひとりよがり」です。
ほんとうに、大バカです。
里美さんのことを………………
なにも、理解していませんでした。
里美さんのことを………………
なにも、わかろうとしていませんでした……………………。
猛烈……激烈………
反省します。
まぁ………
仕方ありませんね……。
こうじくん。
あまり、自分を卑下しては、いけませんよ。
トラウマが、あるのも……
わかるけどね。
でも………
カヤちゃんの真剣さに、
こうじくんの中でも、なにかが……
変わってきたのかな?
……いや。
変わったんじゃなくて……
取り戻した……のかな?
さて、次回は………
こうじくんも、一大決心します!
お楽しみに。




