第41話 告
「パフンっ」
台所で、お茶を温めていた、ぼくの背中に、くっつくモノがあります。
「背後霊」……では、ありません。
実体化した……人間の気配です。
ウカツでした。
いくら緊張していたとはいえ……
背後を取られるなんて……。
そして……ぼくのおなかには、まわされた華奢な手が、見えます。
そうなんです。
ぼくは、今………
うしろから、里美さんに、ホールドされている状態なんです。
まるで、今から、里美さんに……
「バックドロップ」をかけられる寸前なんです。
(まさか……
このまま……
ほんとうに…?)
ほんとうに、バックドロップを……?
そんな、アクロバティックなワザを……
里美さんが、ぼくに、かけるのか?
……いや。
そもそも、その小さな体では、逆に、ぼくの体重に、押し潰されるのでは?
そうです。
ぼくは、ビンボーのおかげで、だいぶやつれていますけど、60kgは、軽くありますよ。
ぼくは、ベンチプレスで、60kgは、上げれるけど……
里美さんは、華奢な女の子です。
60kgを上げれるとは、とても思えません。
(ふふふ……。)
アマイですよ、里美さん。
いくら、ぼくの背後をとったからと、いっても、その程度では、勝てませんよ!
………そんな、アホなことを 考えてしまうぼくは、ほんとうのバカですね。
里美さんの腕に、力が入ったのでしょう。
「キュッ」と、ぼくの体を 締めつけます。
………いよいよでしょうか?
………ほんとうに、
………ワザをかけるのでしょうか?
カウントダウンか、始まります。
……って、そんなバカなことは、起こりませんでした。
………が、さらに、里美さんの腕に、力が入って………。
ぼくの体と、里美さんの体が、密着するように………。
まるで、ひとつに、溶け合うように………。
そして、密着したぼくの背中には、
………激しい鼓動が……
………激しすぎる鼓動が……
はっきりと、伝わってきています。
かく言う、ぼくの鼓動も……
最高回転数にまで、達しているようです。
このままだったら、間違いなく、ブローしてしまいます。
それくらいに、激しい鼓動なんです。
そのとき………
背中越しから……
里美さんの………
か弱くも、しっかりした口調の言葉が、聞こえました。
「先輩……。
わたし………
先輩のことが 好きです。」
(な………
な…………
なんですと?)
ぼくは、自分の耳を 疑いました。
とうとう言っちゃいましたか……。
カヤちゃん、がんばったね。
さぁ、こうじくん。
次は、キミの番ですよ!
ちゃんと、男を見せないと……ね。
バックドロップが~
とか、ボケているヒマは、ないですよ~。
さて、次回は………
やっぱり……ダメ???
お楽しみに。




