第38話 触(3)
もう、1時間ほど、里美さんは、セブンくんに夢中です。
ほんと、見ていて、ほがらかですね。
でも、もうそろそろ終了でしょう。
PM10:00を過ぎています。
ほんとうに、ご両親が、心配する時間ですよ。
……もしかして、捜索願いが、出されているかもしれませんよ?
「里美さん。
時間は、大丈夫ですか?」
「…………………。」
またまた、沈黙の里美さんです。
「…………あのぅ…………。」
モジモジ里美さんに、なりました。
これは、さっきの………
「おねだりしたい」態度ですね。
2度目となると、ぼくにでも、理解できますよ。
それに、なにか……お話しがあるようにも、見えますね。
………まぁ、もう少しなら、大丈夫でしょう。
でも外は、夜になると、まだまだ寒いです。
とくに、田舎だし……。
部屋の中に、入りましょう。
「里美さん。
寒くなってきましたね。
部屋の中で、お話しします?」
まぁ、ぼくの部屋は、ガランとしていて、なにもないですけど、外よりは、マシです。
それに、温かいお茶くらいは、用意できます。
「………いいんですか?」
「はい。
なにもないですけど……
どうぞ。」
まぁ、すでに、セブンくんを見るために、部屋の電気をつけて、窓を全開にしていたから、いまさらだけどね。
「おじゃまします。」
「どうぞ。」
ちゃんと、玄関から、お招きしますよ。
そのあたりの礼儀は、わきまえているつもりです。
里美さんは、ていねいに、靴を並べています。
そういうところも……
「かわいい」…と、思ってしまう、ぼくです。
玄関から入って、台所を抜けて、居間へと、里美さんを案内します。
部屋には、座布団なんて、ありませんので、ご了承をお願いします。
ぼくの部屋には、コタツが真ん中にあって、小さなテレビがひとつ。
あとは、小さなタンスと、本棚がふたつあるだけです。
本棚のひとつは、学校関係の本です。
いちおう、大学生ですから、ちゃんと勉強は、しています。
もうひとつは、趣味の本棚です。
「バリバリ伝説」を筆頭に、ぼくの愛読書がラインナップされています。
そして、車関係の「オプション」と「カーボーイ」です。
「オプション」は、言わずと知れた、人気カー雑誌です。
「カーボーイ」は、主にチューニングに関する雑誌ですね。
けっこう、詳しく記事になっているので、ぼくたちプライベーターには、チューニングの教科書に、なります。
……おっと?
それは、さておき……
お客さまです。
ちゃんと、おもてなしをいたしましょうね♪
「お茶を入れますから、適当に座っていてくださいね。」
「………はい。」
どこか緊張気味の里美さんです。
その態度を見て、ぼくも現実を理解します。
そう………なんです。
この部屋には、ぼくと里美さんの
ふたりっきりなのです。
なんてことでしょう!
ぼくも、少し調子に、乗っていたのか?
それとも、なにも考えていなかったのか?
………おそらく、両方ですね。
………どうしましょう?!
急に、ドキドキしてきました!
ガスコンロの前で、硬直しているぼくに…………
追い打ちをかける出来事が………
起こりました。
……なんか、サスペンスドラマみたいに、
ドキドキしてきましたね~。
ふたりっきりの部屋に……
男と女が……
マズいです!
マズいですよ、こうじくん!
さて、次回は………
カヤちゃんの心の中の葛藤が…。
お楽しみに。




