第34話 宴(3)
やはり……会話は、車ヲタでした。
ぼくは、里美さんのお話しを 楽しく聞いています。
いつから、車ヲタになった……とか。
どんな車が好きか?……とか。
その「オタク度」の競い合いでした。
とっても、たのしいです。
聞くと、里美さんの車オタクの始まりは……先ほど言っていた「お父さん」の影響が大きいみたいですね。
お父さん本人も、かなりの車バカらしく、今でも、現役だと……。
そして、里美さんが、小学生のときに、お父さんといっしょに、「オートポリス」へと、レース観戦に行ったことが、車オタクの始まりらしいです。
そのレースとは、今の「スーパーGT」の前身にあたる「全日本ツーリングカー選手権」でした。
通称「グループA」と呼ばれ、R32のGT-Rが全盛期のレースです。
そのレースを 見に行ったことが、始まりでした。
「あのころは、GT-Rの天下でしたね。」
「はい。
わたしは、とくに、星野さんのGT-Rがかっこよくて……
あのコーナリングも………。」
「おお~。
そうですよね!
星野さんの片輪走行は、衝撃でした。」
「はい。
ゼブラを あんなカタチで使うなんて、びっくりしました。」
「うん。うん。」
里美さんは、そのときの真っ青のカルソニックスカイラインGT-Rに、一目ぼれしたのです。
それからは、雑誌なんかを読みあさり、レースをはじめ、ベース車両にまで、興味がのびて、あげくのはてには、チューニングというディープな世界に、ドップリとハマったのです。
「ふつうに売っている車が、どうして、あんなにカッコイイ、レーシングカーになるのか、興味があって……。」
「わかります。 ぼくもいっしょでした。」
「それから……グランツーリスモに、ハマって…………。」
「プレステの?」
「はい。
ワンから、全部持っています!」
「あははははははっ!!!」
めちゃ たのしい!
なに?
この娘?
話しは、続きます。
「はじめ……足まわりのセッティングのところで……「kg」表示があって……
なんの意味かなぁ?……って。」
「………で、調べてみたら、バネの強さ?
バネレートの表示だとわかって………」
「ギア比のセッティングでも……
あのグラフって、どういう意味かなぁ?」
「エアロのセッティングでも……
ダウンフォースって、どれくらい効かせるのかなぁ?」
とか。
「エンジンチューンのステージ1~3まであって、実際には、エンジンチューンって、なにするの?」
とか。
里美さんのオタクトークは、止まりません。
「プロペラシャフトの交換って、金額が高いけど、なんの意味があるのかなぁ?」
「プロペラシャフトって、エンジンパワーをタイヤに伝える大事なパーツなんです。パワーに負けないように、強度が大切です。しかも、高速で回転しますから、バランスも必要になって……しかも、ある程度の軽量化も必要になります。」
とか。
「素朴な質問で……LSDって、なんだろ?」
「LSDとは、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルのことですね。間違っても、あぶないクスリのことじゃないです。 左右のタイヤの空転を制御するシステムですね。コーナリング中に、リアタイヤのトラクションが………
……あっ? すみません。
難しい話しをして………。」
ぼくも、調子が出てきて、舌の回転がレッドゾーンでした。
ちょっと…うっとうしいかな?
少し、反省します。
しかし、里美さんは……笑顔全開です。
「いえいえ。
とっても、たのしいです!
まだまだ、知らないことが多くて……
解説ありがとうございます。
とっても、わかりやすいですよ~。」
…………うっ!
めちゃ、かわいい!
やっぱり……ドキドキのぼくです。
いいですよ~。
こうじくん。
ふたりとも、オタクパワー全開ですね。
カヤちゃんは、グランツーリスモで、鍛えてきたんだね。
しかも、「星野走り」が大好きとは……。
わたしも、驚きです。
「あなたは、立派な車オタクですよ!」
ほめてつかわす。
では、次回は……
そろそろ宴もたけなわですね。
2次会に突入ですか?
お楽しみに。




