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天使が微笑む日  作者: ラビットアイ
22/117

第22話 敗

 チクチクと………

  痛い感覚には、フタをして………

「ふぅ~~。」

 深呼吸をして、制御しましょう。


 最近では、そういう「スベ」も、身につけてきました。


 しかし……所詮は、付け焼き刃です。

効果は、あまり……持続しませんけど……

 しないよりは、マシですね。


 ……おっと?

妄想は、このくらいにして、授業です。

 授業に、集中しましょう!


 ぼくは、いつも通りに、いちばん前のいちばん真ん中に、座ります。

 講義書とノート、筆記用具を用意します。

 教授が来るまで……

  少し……落ち着きましょう。


 目を閉じて………


  眠っては、いけませんよ。



「こんにちは。やっと、会えましたね。

盛福先輩!」


 突然の声に………

瞑想中のぼくの心臓は、止まるくらい、驚きました。

 ……いや、一瞬………

  確実に、止まりました!


 あやうく……

  ほんとうに……

   ショック死するかと………。


 でも、ぼくのエンジン……いえ、心臓は、

ニトロをぶち込んだように……

  再始動しました。

 しかし……ニトロの量が多過ぎたのでしょうか?

 今度は……心臓のリミッターが、外れたように………激しく………

 バーストするかと、思うほど………

  激しく……回転しています!


 それもそのはずです。

 ……ぼくの右隣には……

  あの里美さんが………

いつも遠くに、一瞬だけ見ることができる………かわいい笑顔の……。

 そして、あのときと変わらず、

  かわいい笑顔の里美さんが……


 ぼくの右隣に、座りました。


 その距離………30センチです!

  助手席よりも、近いです!


   近い! 近すぎですよ!


「あ……あのぅ………………。」

 ぼくは、かなり…ほうけていたと思います。

「言葉も出ない」…とは、このことです。


「あ~っ! もう、わたしのこと、忘れたんですか?」


 里美さんは、かわいいオクチを尖らせて、ホホを「ぷぅ~」と、ふくらませています。


 それは、天使のように、かわいくて……

  悪魔のように、残酷でした。


 なぜならば……

その表情ひとつで、ぼくの「ATフィールド」は、破壊されたのですから……。

 ぼくが、この2週間くらいかけて、培ってきた……ATフィールドを………

  一瞬で………。


 絶対領域を破壊されたおかげで……

  制御を失って暴走する……

   ぼくの「ドキドキ」は………


 いったい、どうなるのでしょう?

  もう……ぼくには、どうすることも、できません。

  もう……ぼくは…逃げ場のなくしたネコのように……

   固まっているだけでした。


 そんなぼくとは、ウラハラに……

笑顔満天の里美さんが、バッグから取り出したモノがありました。


「ジャーン! 見てください!

とうとう、取れました!!」


 満天の笑みの里美さんです。


 その笑顔は、やはり、最強……

……いや、「最凶」でした。


   負けました。

    あなたには、完敗です。


 敗北したぼくは………死にます!

  死んで……砕け散って……粉々になり……

バラバラに散って……無になって……

 消えてしまいましょう。


 ……って、違います!

  ぼくは、死にません!

   まだ、死ねないのです!


 ……おっと?

  すみません。

 あまりのうれしさに……暴走してしまいました。

  冷静に、いきましょう。


 なぜならば………

里美さんが手にしているモノ……

 里美さんの手にあるモノは………


 ぼくも、持っている「運転免許証」でした。







 ほぅ~。

おめでとうございます。カヤちゃん。

とうとう取得できたのですね。

 それにしても、カヤちゃんは、なかなかの策士なのかもしれません。

 こうじくんの逃げ場を塞ぐとは……。

そして、こうじくんのATフィールドを易々と破壊するとは………。


…って、こうじくん!

なにを「エ〇」みたいなことを しているの?

 しかも…2週間……って……

ほんと、くだらないことばっかり、得意になっちゃって……。

 まぁ、いいです。

  おもしろいから……。


さて、次回は、逃げ場がなくなったこうじくんの反撃です。

………まさかやん?!

お楽しみに。






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