第22話 敗
チクチクと………
痛い感覚には、フタをして………
「ふぅ~~。」
深呼吸をして、制御しましょう。
最近では、そういう「スベ」も、身につけてきました。
しかし……所詮は、付け焼き刃です。
効果は、あまり……持続しませんけど……
しないよりは、マシですね。
……おっと?
妄想は、このくらいにして、授業です。
授業に、集中しましょう!
ぼくは、いつも通りに、いちばん前のいちばん真ん中に、座ります。
講義書とノート、筆記用具を用意します。
教授が来るまで……
少し……落ち着きましょう。
目を閉じて………
眠っては、いけませんよ。
「こんにちは。やっと、会えましたね。
盛福先輩!」
突然の声に………
瞑想中のぼくの心臓は、止まるくらい、驚きました。
……いや、一瞬………
確実に、止まりました!
あやうく……
ほんとうに……
ショック死するかと………。
でも、ぼくのエンジン……いえ、心臓は、
ニトロをぶち込んだように……
再始動しました。
しかし……ニトロの量が多過ぎたのでしょうか?
今度は……心臓のリミッターが、外れたように………激しく………
バーストするかと、思うほど………
激しく……回転しています!
それもそのはずです。
……ぼくの右隣には……
あの里美さんが………
いつも遠くに、一瞬だけ見ることができる………かわいい笑顔の……。
そして、あのときと変わらず、
かわいい笑顔の里美さんが……
ぼくの右隣に、座りました。
その距離………30センチです!
助手席よりも、近いです!
近い! 近すぎですよ!
「あ……あのぅ………………。」
ぼくは、かなり…ほうけていたと思います。
「言葉も出ない」…とは、このことです。
「あ~っ! もう、わたしのこと、忘れたんですか?」
里美さんは、かわいいオクチを尖らせて、ホホを「ぷぅ~」と、ふくらませています。
それは、天使のように、かわいくて……
悪魔のように、残酷でした。
なぜならば……
その表情ひとつで、ぼくの「ATフィールド」は、破壊されたのですから……。
ぼくが、この2週間くらいかけて、培ってきた……ATフィールドを………
一瞬で………。
絶対領域を破壊されたおかげで……
制御を失って暴走する……
ぼくの「ドキドキ」は………
いったい、どうなるのでしょう?
もう……ぼくには、どうすることも、できません。
もう……ぼくは…逃げ場のなくしたネコのように……
固まっているだけでした。
そんなぼくとは、ウラハラに……
笑顔満天の里美さんが、バッグから取り出したモノがありました。
「ジャーン! 見てください!
とうとう、取れました!!」
満天の笑みの里美さんです。
その笑顔は、やはり、最強……
……いや、「最凶」でした。
負けました。
あなたには、完敗です。
敗北したぼくは………死にます!
死んで……砕け散って……粉々になり……
バラバラに散って……無になって……
消えてしまいましょう。
……って、違います!
ぼくは、死にません!
まだ、死ねないのです!
……おっと?
すみません。
あまりのうれしさに……暴走してしまいました。
冷静に、いきましょう。
なぜならば………
里美さんが手にしているモノ……
里美さんの手にあるモノは………
ぼくも、持っている「運転免許証」でした。
ほぅ~。
おめでとうございます。カヤちゃん。
とうとう取得できたのですね。
それにしても、カヤちゃんは、なかなかの策士なのかもしれません。
こうじくんの逃げ場を塞ぐとは……。
そして、こうじくんのATフィールドを易々と破壊するとは………。
…って、こうじくん!
なにを「エ〇」みたいなことを しているの?
しかも…2週間……って……
ほんと、くだらないことばっかり、得意になっちゃって……。
まぁ、いいです。
おもしろいから……。
さて、次回は、逃げ場がなくなったこうじくんの反撃です。
………まさかやん?!
お楽しみに。




