第109話 決
「なぁ、こうじ。
……俺も車が欲しくなったよ。
どんなのがいいかなぁ?」
けんじが、なんともうれしいことを言ってきました。
今日は、久しぶりに、ふたりで飲んでます。
もちろん、我らが「あじまさ」さんで。
「えっ?
けんじが車を?」
「うん。
ミウちゃんと、ドライブしたいかなぁ~って。」
「うんうん。
……で、どんな感じの車を探してんの?」
「そうやね……
やっぱり、かっこいい方がいいな~。」
「スポーツ系?」
「そうやね~。
あっ?
でも、おまえのセブンみたいに、改造系じゃなくっていいぞ。
ふつーでいい。
ふつーで。」
「え~~っ!
おもしろいのに……。」
「でも、セブンみたいに、ライトがパカパカするのは、好きだなぁ~。」
「あっ!
やっぱり!
さすがけんじ~。
わかっているねぇ~。」
ニヤリとするぼくです。
「まかせろ!
あれは、やっぱり、男のロマンだな!」
「うんうん。
ぼくたちは、スーパーカー世代だもんね。」
「カウンタックLP500!」
すかさず、けんじがノッてきます。
「ランボルギーニ・ミウラ!」
ぼくも、すかさず返します。
「ミウラか~。
そういえば、イオタって、あったな?ミウラとイオタって、どこが違うと?」
「イオタって、ミウラのレース仕様だよ。」
「さすが、こうじ!
じゃあ、次は、フェラーリだ。」
「フェラーリ・GTO!」
「GTO?
やっぱり、車オタクやね~おまえは。ふつうは、フェラーリといえば、テスタロッサやろ?」
「そうやね。
テスタロッサもいいけど、ぼくたちオタクは、512BB……ベルリネッタ・ボクサーだね。」
「おお~!
わかる!
BBは、かっこいいよなぁ~。」
「あははっ。
わかるけんじも、十分オタクだよ。」
「おまえのオタ話しのせいだろ!
F-40!」
「おっ? いいね!
ぼくは、F-50も好きだよ。」
「いいね~。
やっぱり、フェラーリは、速くなくっちゃ!
今だと、FXXが、最近の俺オシかな。」
「FXXは、ほんとに速そうだよね。」
「めっちゃ速い!
いつも、動画で見ているからな。」
「あははっ。
さすがけんじ。
でも、エンツォじゃあなくって、FXXというところも、けんじらしいよ。」
「ほめてんの?」
「もち!
……マイナー系だけど。
……じゃあ、次は、マイナー系で。
デ・トマソ・パンテーラ!」
「そうきたか~。
ならば……ランチャ・ストラトス!」
「ストラトスは、メジャーだよ。」
「おっ?
そうか?
じゃあ、とっておきのやつで……
童夢零!」
「うわっ!
ドームゼロかぁ~!
やられた!」
「ふっ。
俺の勝ちやね!」
「あははっ!」
ぼくたちは、こんなことで盛り上がります。
けんじは、こうやって、ぼくのオタク話しに、合わせてくれます。
けんじと、仲良しなことに、ほんとうに感謝します。
ありがとう、けんじ。
「……で、なんか候補ある?」
あらためて、けんじが聞いてきました。
「その前に、予算は?」
「う~んとな……100くらい。」
「現金?」
「もち!」
「がんばったねぇ~けんじ。」
「ああ~。
でも、あるイミ、おまえのおかげかなぁ~。」
「ぼくの?」
「おう。
おまえをみて、絶対に、ビンボー学生には、ならんように、がんばった!」
「うげっ!
ひどかねぇ~!」
「事実やろ!
おまえは、セブンに、お金かけすぎ!」
「……まぁ、少しは、自覚している……。でも、セブンは、だいぶ終わったよ。あとは、ボンネットと足回りのメンテナンス系かな?」
「ボンネット?」
「うん。
セブン(SA-22C)のボンネットは、鉄だから、FRP製の軽いやつにしたいんだ。」
「軽量化か?」
「そう。軽量化。
ボンネットで、10キロくらいあるからね。」
「ふぅ~ん。
あとは、足回りのメンテナンス系って、なんすると?」
「うん。
足回りのブッシュ関係。
ピロボール化したいって、思ってんの。」
「ふぅ~ん。
……で、どのくらいかかりそう?」
「フロント片方で、10くらい。
リアも入れると、30くらいかなぁ~?
あと、ボンネットが5くらい。」
「じゃあ、全部で35くらいかぁ~。
ほんとに好きやね~おまえ。」
「もち!
これだけだから。」
「これだけ……って、
……おまえ今、里美ちゃんのこと、忘れてただろ?」
「……えっ?
そんなことないよ~。
里美さんのことは、ちゃんと考えているよ~。
ただ、セブンとは、別々。」
「ふぅ~ん。
まぁ、それならいいけど。」
「ぼくも、大人になったでしょ?」
「はぁ~?
自分でオトナって、言ってるうちは、子どもだぞ!」
「……えっ?
……なんか……
アエカにも、同じこと言われた………」
「あははっ!
アエカちゃんに!
そりゃまた、おめでとう!」
「おめでたくないよ!
……まったく、みんなで、子ども扱いして!」
「あははっ。
まぁ、気にすんな。
それも、おまえのいいところだよ。」
「……それ、ほめてんの?」
「もち!」
さっきの真逆になりました。
……ほんとうに、けんじとは、友だちだと、実感します。
こんな他愛ないことも、笑って話せるから。
ほんと、ありがとう~けんじ。
何度も言うけど。
「……そういえば、アエカちゃんもいっしょに、ハーモニーランドへ行ったんやろ?」
「うん。
けっこう、楽しかったよ~。
アエカがいてくれて、めちゃ助かった。」
「助かった?」
「そう、助かったよ。
なんてったって、ハーモニーランドって、サンリオファンの聖地だよ。
ぼくだけじゃあ、絶対に撃沈していたね!」
「そんなに?」
「そんなに!」
ぼくは、あの聖地のことを けんじに、こと細かく教えました。
教えまくりました。
「……そうか~。」
「あっ?
もしかして……
けんじたちも行く気?」
「行く気……。
ミウちゃんも、行ってみたいって。」
「あははっ。
いいよいいよ。
ミウさんも、サンリオファンだったね~。」
「ポチャッコの……」
ぼくは、なんだか、楽しかったです。まさか、けんじもあの聖地に足を踏み込むとは……。
ふふふ。
大歓迎ですよ。
「……あっ?
それで、車を?」
「いや。
それは、あまり関係ないよ。
ハーモニーランドには、親に借りていくつもり。」
「ふぅ~ん。
じゃあ、急ぎじゃないんだね?」
「ああ~。
急がん。
だから、おまえにも、意見を聞きたくて……。」
(ふぅ~ん。)
まぁ……
ぼくの中では、ある程度の候補が、すでにあります。
その中でも………
「ねぇ、けんじ。
ロードスターなんてどう?」
「ロードスター?
……ああ……
ユーノスね。」
「うん。
ユーノス・ロードスター。
ロードスターは、また、新型が出たから、初期型は、だいぶ安くなったよ。
あと、リトラクターだし。」
「ふぅ~ん。
ロードスターかぁ~。
……いいかもな?」
ふふふ。
いい反応ですね~けんじ。
ぼくの世界へようこそ。
……まぁ、冗談は、おいておいて、
実際に、ロードスターは、いい車だと思います。
オープン2シーターは、彼女とのドライブには、絶好でしょう。
イジると、たのしい車だし……ね。
もう……
すでに、イジることが、前提になっていますけど……。
「ユーノス・ロードスター」
スペック的には、こんなんです。
――― エンジンは、B6型の1600ccのDOHC。
カタログデータでは、120psほど。
後期型は、1800ccの130psです。
けんじの予算だと、初期型が有力でしょう。
NA6CE(初期型)は、ボディーが軽いから(ちなみに、960キロです)、
1600ccでも、十分です。
軽量ゆえの軽快なハンドリングがウリです。
ワインディングでも、たのしいでしょうね。
天気がいい日には、オープンにすると、気持ちよさそうです。
ちょっと、うらやましいかな。
そして、ちゃんとFRだから、ドライブがたのしいでしょう。
(FRとは、後輪駆動方式のことです。フロントエンジン・リアドライブの略です。)
あとは、なんといっても、ぼくと同じマツダだから!
マツダ大好き!!
「じゃあ、けんじ。
はっきり決まったら、教えてよ。
車関係は、まかせてね。
いいやつ探してもらうから。」
「おう。ありがとうな。
じゃあ、たのむよ……
ロードスター。」
「……えっ?
……いいと?」
「おう!
男に二言は、ない!」
「うん。わかった。
じゃあ、速攻で聞いておくよ。」
「まかせるよ。
じゃあ、今日は、帰るよ。」
「うん。
気をつけて~。
またね~。」
今日は、お開きです。
さて……
さっそく、早川さんに、おねがいして、いいロードスターを探してもらいましょう!
……おやおや。
けんじくんも、沼にはまるみたいですね~。
うっしっし。
こうじくんも、待ちくたびれたでしょう。
ロードスターか~?
いい車ですよね。
乗りやすいし、かわいいし!
マツダだし!
早く見つかると、いいね。
それにしても、キミたちは……
やっぱり、オタクだよ。
スーパーカー世代だから、盛り上がる話しだね。
かく言う、わたしも、スーパーカーが大好きです!
ちなみに、ロータス・エリーゼが大好きですよ。
それと、なんていっても……
「ヴェノムGT」!
凶悪なほどの速さがかっこいい!
……おっと?
失礼しました。
けんじくんが最後に言った、「ドームゼロ」。
日本のスーパーカーですね。
ほんとうに、夢がつまっていました。
今も、現存しているのかなぁ~?
……と、
オタク話しは、このくらいにして……
さて、次回は、けんじくんのつぶやきです。
彼も、いろいろと、語りたいみたいですよ~。
お楽しみに。




