第103話 攻(16)
もうひとつおまけ。
竹田のとりまき……
いや。脅されていた女たち……
彼女たちは、新歓コンパで竹田たちに襲われた被害者だった。
飲めないお酒を飲まされて……
お決まりのパターン。
その場面を撮影されたのだ。
竹田……ほんとうにクズだな。
彼女たちには、
「戦うつもりがあるなら、警察に行け!」
……と、伝えたが、実際には、難しい問題だろう。
「訴える」ということは、自分たちが矢面に立たされることになる。
まだ、大学1年生に成り立ての彼女たちでは、そこまでのメンタルもないだろう。
そもそも強いメンタルがあれば、竹田なんかに脅されることもなかったはずだ。
まぁ……そういうことも含めて、竹田は、ターゲットを絞っていたのだろう。
ほんとうにクズだ!!
もし……その手に、里美ちゃんがエジキになっていたかも?……と、考えると、かなり恐ろしい。
もっと恐ろしいのは、そうなったときのこうじだ。
あいつは、今……里美ちゃんに夢中になりはじめている。
男としての覚悟も決めた矢先だ。
………どうなるかの想像がつく。
最悪の想像が……。
絶対に殺人事件になるよな?
よくても、傷害事件か?
……だな。
小6のときでさえ、10人を相手にできたこうじだ。
今は、確実にあのころよりも数段強い。
そんなこうじが、ブチキレたら………それはそれで、おもしろいかも?
……いやいや。
スマン。
冗談だ。
だが、安心しろこうじ。
おまえには、俺がついている。
俺は、おまえの親友だ。
なにがあっても、おまえの味方だ。
もし……世界中を敵にしても!
……おっと?
アツくなってしまった。
ごめん。
……で、彼女たちのことだけど……
なぜだか竹田からの脅迫がなくなったらしい。
まぁ……あのオドシのせいだろう。
竹田も、俺と篠崎先輩を敵に回すことは、しないはずだ。
ヤツもしばらくは、おとなしくなるだろう。
これで、そっちの件は、片付いたけど………
問題は、こっちだ。
ちょっと、困ったことになっている。
それは、なぜだか彼女たちが、俺のまわりを……
俺に懐いた子猫のように、近づいてくる。
けっこうかわいい女の子たちなので、悪い気は、しないけど………。
いや。
いかんいかん。
俺は、ミウひと筋なのだ!
ブレることは、しない!
今日も、大学の講義も終わり、ひとりで中庭のベンチに座り、スマホをイジっていたとき……
競艇の予想をしていたとき……
準優だからおもしろいぞ!
「こんにちは。
山中先輩♪」
彼女たちが来た。
「ああ。
こんにち……」
まさにその時!
その瞬間!
「お待たせ!
けんじクン!」
ミウが現れた。
そのオーラは、やはり、鬼神だった。
「……あっ!
失礼しました……………」
彼女たちは、去っていった……。
ミウちゃん……
すごいぞ!
俺は、感心すると同時に、ミウを怒らせることも、絶対にしない!
……と、心に誓った。
「けんじくん。
モテモテね!」
ミウの言葉が、けっこう刺さる。
だが、俺は、大丈夫。
俺は、ミウが好きだ。
大好きだ!
だから………
「ありがとう。
でも、俺をトリコにしているのは、ミウだけだよ。」
カッコつける俺。
「あら?
うれしいわね。
さすがけんじくん。
わたしのけんじくん。
わたしの恋人のけんじくん。」
ちょっと、うっとうしいけど、これがミウの愛情表現なのだ。
しかも、その愛情は、俺だけに向けられている。
かなりうれしい。
「ありがとう。ミウ。」
俺たちも、立派な「バカップル」だった。
「あっ!
当たった!」
「なに?」
「12Rとった!
ミウ、今日デートしよう!
今晩なにが食べたい?
なんでもいいよ。」
「そう……。
なら……
お言葉に甘えまして。
そうね……
廻らないお寿司がいいわね。」
「よし!
まかせろ!」
その後……女の子たちは、警察に行ったらしい。
彼女たちと同じような被害を受けた女の子たちが、団結したのだ。
その背景には、ミウがいた。
ミウのお父さんは、福岡県警の署長らしい。
そのお父さんが、ミウの話しを聞いて、警察が本腰を入れたのだ。
そして……
竹田たち自動車愛好会の連中は、逮捕された。
あたりまえだろう。
無理やりお酒を飲ませて、強姦して……
その映像をモトに、さらにいろいろと、強要したのだ。
立派な犯罪だ!
大学側も事態を重く受け止めて、厳しい処分を決定した。
竹田たちは、もちろん退学になり、自動車愛好会も廃部になった。
この事件は、全国ニュースになり、大学にも、たくさんのマスコミが押し寄せて来たのだった。
一時期は、お祭り騒ぎの様子だったけどね。
今は、だいぶ落ち着いてきている。
これを教訓にして、今一度……
学内の風紀がよくなった感じがする。
今度……
あの女の子たちに会ったら……
「よくがんばったな!」
……と、言ってあげたい。
お疲れさまでした。
けんじくん。
ミウちゃん。
無事に、カヤちゃんを護ることができてよかったね。
でも、自分たちも、気をつけないとダメだよ。
では、次回は、ちょっとした記憶のお話しですよ。
お楽しみに。




