第102話 攻(15)
翌日。
「竹田って人、けんじくんと同じ学校だったみたいよ。」
「……えっ?
マジで?」
「マジよ。」
「……教えてくれて、ありがとう………」
「どう、いたしまして♪」
……という、ミウからの情報だった。
それがわかれば、あとは、簡単だった。
なぜなら、俺の地元だから。
ホームグラウンドだから!
地元では、俺の情報網は、濃いからな。
しかし……竹田のヤツ……
俺の先輩だったのか?
でも、「竹田」なんて先輩は、聞いたこともないぞ。
まぁ、いいや。
とりあえず、先輩連中に聞いてみよう。
それよりも、やっぱりミウちゃんって、ナニモノ?
あっさりと、竹田の情報を持ってきたけど……。
……いや。
これは、触れてはいけない案件かもしれない?
とにかく、ミウちゃんを敵にしないようにしよう。
……で、先輩連中から集めた情報でわかったことは……
ヤツは、ヘタレだった。
ヤツのイキッているナリは、大学からだった。
竹田は、大学デビューしたヤツだったのだ。
どうりで俺が、知らないわけだ。
俺は、こうじとアエカちゃんの一件のあと、体を鍛えた。
技も身につけた。
こうじと一緒に。
俺は、そのおかげで、ケンカも強くなった。
別にケンカオタクでは、ない。
積極的自衛権というヤツだ。
きれいごとだけでは、通せないことも、ガキのときには、あったからな。
自分で火の粉を払うチカラも、必要なんだ。
だからと言って、「不良」……ということではない。
ただ……ケンカが強いだけだ。
でも、ケンカが強いと、あることも増えた。
やはり、不良集団との付き合いだった。
俺は、向かってくるヤツらを すべて反り討ちにした。
叩き潰した。
そして、いつの間にか、地元のヤンキーくんたちを従える立場になった。
なってしまった。
そのとき俺は、嫌々ながらにも「影のドン」になった。
……まぁ、仕方がない。
表側に出ないだけでもマシだろう。
……で、こうなってしまったので、こうじも巻き込もうと思った。
おもしろそうだから……。
ということで、「闇のドン」には、こうじが君臨した(笑)。
いちおう、こうじとは、一連托生だからな。
許せこうじ!
……で、付き合ってみると、ヤツらも悪いやつではなかった。
(見た目は、悪いけど……)
いいヤツも多かった。
そういう経緯で、地元のワルは、たいがい知っていた。
竹田も同じ地元出身だったけど……
顔も知らない。
名前ももちろん。
……で、先輩のツテを使って調べてみれば……
ヤツは、ただのパシリだった。
ケンカも弱く、根性もない。
ただ……先輩連中に付きまとうだけの……「なんちゃってワル」。
俺は、そのことを利用した。
当時、竹田の上にいた人は、俺の慕う「篠崎先輩」だった。
この先輩とは、何度もいっしょにメシを食った仲だ。
篠崎先輩には、かなりお世話になったのだ。
そして……あろうことか!
竹田は、女子大生をおどすときに、篠崎先輩の名前を出していた。
後輩の俺からしても、めちゃくちゃハラが立つ!
……で、先輩に相談した結果……
篠崎先輩は、「自分の名前を出してもいいぞ!」
……との、了解を得た。
「俺の名前を出しても、チョッカイをやめなかったら、俺が直接ツブそう!」
……とまで、言ってくれた。
さすが篠崎先輩。
ありがとうございます。
こんな男気だから、俺たちからの信頼も厚いんだ。
まぁ……俺も「他人のフンドシで相撲をとる」ようなものだけど……。
背に腹は代えない!
これは、駆け引きなのだ。
使える手段は、有効に使おう。
暴力的なことならば、俺ひとりで十分だ。
ただ……相手は、姑息な男だ。
キメ手がいるのだ。
だから………な!
使わせてもらおう。
……こうじ。許せよ。
(卑怯者だとは、思わないでね。)
……で、何事もなく、竹田とは、交渉成立。
ヤツも、篠崎先輩の名前を勝手に出していたのだ。
その「キケン度」は、百も承知だろう。
それに、こっちの要求は、いたって簡単。
「こうじと里美ちゃんに手を出すな!」
それだけだ。
ヤツらがすることには、ほんとうに興味がない。
好きなようにすればいい。
ただし、俺たちにチョッカイを出すなら……
遠慮なく潰す!
……と。
おまけに竹田は、俺の中学・高校時代を知っていた。
その時の俺と、今の俺が同一人物だとは、知らなかったらしいが……。
まぁ……俺も大学生になって、かなり丸くなったからね。
でも、大学生になってまでも、なにをガキみたいなことをやっているんだ!
……という思いは、あるけど…………。
なんにしろ、こうじと里美ちゃんのラブコメを邪魔するヤツは、排除した。
まぁ、この一件で、こうじと里美ちゃんとの仲は、みんなに知られたから、これ以上、チョッカイを出してくるバカは、いないだろう。
……もし、万が一いたら、俺が潰すけど!
……おっと?
もうひとつわかったことがあった。
どうも、こうじは、学内で「ゴマ福」と、呼ばれているらしい。
……なるほど……
あいつらから見ると……
こうじが講義のときに、いちばん前に座っていることが、教授にゴマすりしているように見えるのか?
それこそ、くだらん!
あれは、単に、女子大生から逃げているだけだ……というのに。
民衆とは、かくも嫉妬深い生き物だな。
……しかし、「ゴマ福」か?
もし、俺の前で、その言葉を言った日には………
おもしろいことになるな。
追申
……女たちからの話し……
「あの……
盛福先輩ですよね?」
「……はい。」
「ちょっと……
お話しが……」
「すみません。
ぼくは、ダメです!」
そう言った瞬間に、ダッシュで逃げたらしい。
「……えっ?
待って……」
女たちの声すら届かずに……。
プッ!
修行の成果、ゼロやん!
こうじらしい。
けんじくんは、ほんとうにこうじくん想いですね~。
ミウちゃんが嫉妬するイミがわかります。
まぁ……男の子同士の友情だからね~。
あたたかく、見守りましょう。
さて、次回も
もう少し続きます。
お付き合いください。
お楽しみに。




