④アメリカとは“名目上の同盟“ 言いなりの戦後史
筆者:
ここではアメリカに不利な内容を言えないという事情について述べたいと思います。
質問者:
はい、お願いします。
筆者:
アメリカが日本に対してかなり強気でいられるのはやはり米軍が日本に在住していることが大きいと思うんです。
質問者:
中国の時みたいに何か協定があるんでしょうか?
筆者:
報道に関する協定はありません。しかし、実質的に“アメリカの言いなり”になっていることから、アメリカ人が起こした国家規模の事件に対しては日本の司法・行政が介入できないという事実があります。
まず見て行きたいのは1960年に締結された日米地位協定17条です。
『合衆国の軍法に服するすべての者に対して、また米軍基地内において、合衆国の法令のすべての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する。』
この条文には各国外務省の治外法権に相当する以上のものがあります。日本の領土でありながら日本の法令が全く効かないと言った状態が平然と起きるわけですね。
質問者:
なるほど……。
筆者:
また、この条文には「米軍基地内」とあるのですが、実際はそれ以上の拡大解釈がなされています。
2004年8月に沖縄国際大学に米軍ヘリ墜落事件が発生した際には、沖縄県警察は航空危険行為等処罰法違反で、公訴時効いっぱいの3年間にわたり捜査を行なったのですが、日米地位協定の壁に阻まれ全容解明は出来なかったという事例もあります。
これは、『米軍機事故の現場は協定により全てアメリカ軍管轄地』の拡大解釈が沖縄国際大学までなされたと言われています。司法において全くアメリカに対して逆らうことが出来ません。
質問者:
えぇ、大学に墜落したのに「米軍基地内」扱いなんですか……。
筆者:
ちょくちょく米軍は事件を日本国内(特に沖縄)で起こしていますけど、まぁ防衛省が例によって「遺憾の意」で終わるケースも多いですよね。
また、横田基地周辺には米軍の聖域ともいえる「横田空域」というものも存在します。
三浦半島や伊豆半島から、北側の新潟県に至るまで、一都八県にまたがる広大な空域は「巨大な壁」になっており、大きく旋回して羽田などに着陸しなくてはいけません。
質問者:
見えないところでもそう言った忖度みたいなことが日本国内であるのですね……。
筆者:
次に政治に関することですが、“日本がアメリカに対して有利になりそうになったタイミング“でそれをピンポイントで潰すようなことを次々と行っていきました。
1980年代の貿易摩擦が有名ですよね。農産物(米・牛肉・オレンジ)と日本車が標的となり、1981年に日本政府と自動車業界は輸出自主規制を受け入れることとなりました。
更に1985年にアメリカの対日貿易赤字が500億ドルに達したことをきっかけに、日本の投資・金融・サービス市場の閉鎖性によってアメリカ企業が参入しにくいことが批判され、事実上日米間経済のほとんどの分野で摩擦が生じてジャパンバッシングが起きるようになったんですね。これにより現地生産を行う自動車企業が増えました。
質問者:
それは教科書に載っていますね。
筆者:
また1980年代のバブル発生もプラザ合意が皮きりです。
バブル経済で日本の三菱地所はロックフェラーセンターを買収し、松下電工(現パナソニック)がユニバーサル映画を買収、ソニーがコロンビア映画を買収するなどの行為を行った際には1992年のBIS規制適用を国際標準としました。
質問者:
BIS規制と言うのは何ですか?
筆者:
BIS規制と言うのは国際的に活動する銀行の自己資本比率等に関する国際統一基準のことですね。これを6%に定めました。
もともと6%以上を確保している諸外国には達成可能な数字であっても、日本の銀行においては、達成できる水準じゃなかったんですね。
そのために1992年のBIS規制本格適用に向けて、日本の銀行はやむなく融資先からの貸しはがしを行います。これにより、資金を回収された企業や個人が徐々に困窮し土地を売り払って資金を作るという行動をとります。こうして、連鎖的に土地の価格は暴落していきました。BIS規制はバブル崩壊の間接的な原因になっています。
質問者:
バブル発生も終結もアメリカが原因だったんですね……。
筆者:
とにかく振り回されっぱなしです。
2009年には日米租税条約によりアマゾンが日本に納税しないという事件がありました。アマゾンが日本に納税することがアメリカに納税しているのと二重課税を主張したためです。
日米租税条約の25条3項(d)事前価格の取り決め では『両締約国の権限のある当局は、また、この条約に定めのない場合における二重課税を除去するため、相互に協議することができる。』というのがあります。
そして「相互に協議」によってアマゾンが日本に税金を支払ないということで落ち着きました。
質問者:
えぇ……。一方的に負けじゃないですか。
筆者:
ですが、その後の2019年には「GAFAが色々な方法で免税している」とヨーロッパを皮切りに抗議の声が上がりました。アメリカもGAFAがこれ以上増長することを良くないと思ったためかようやく世界の圧力でアマゾンジャパンは日本にも2017年度分から納税されるようになったようです。
しかし、アマゾンジャパンというのは2000年から日本にありますからね。世界の潮流が変わるまで15年以上もの間、日本は完全に損をしていました。
質問者:
酷いですね……これはマスコミについても言えるということなんですね?
筆者:
具体的な条約や協定は確かに無いです。ですが“圧力”はあるでしょう。先日バイデン大統領が日本に来られましたが、バイデン大統領についての記事で
2021年6月22日 BIGLOBEニュース『バイデン大統領に忍び寄る認知症の兆し』より
『保守系オンライン・メディア、「ワシントン・フリー・ビーコン」(2012年に保守派のヘッジファンド経営者、ポール・シンガー氏が創設)のベテラン政治記者、アンドルー・スタイルス氏は、コーンウォールから送られてきた映像を見ながら、バイデン氏の一挙手一投足をチェックしていた。
同氏は6月14日、その結果をこう報じた。
「バイデン氏の相次ぐ失言はどういったことか。バイデン氏はG7でへまをしでかす」
「G7サミットでのバイデン氏の言動を見ていると、最低限、その知能適性に疑いを持たざるを得ない」
「御年78歳のバイデン氏は、サミットの場で数回にわたって醜態を演じ、米国に恥をかかせ、国家をリードすべき適性に欠けるのではないかという疑念を抱かせた」
スタイルス氏はその具体例を列挙した。
一、7か国各国首脳とゲスト参加した韓国、オーストラリア、南アフリカ各首脳が並んで写真撮影する場で、ホストのボリス・ジョンソン英首相が一人ひとりを紹介していた。
ジョンソン氏は、南アのサイリス・ラマポサ大統領をすでに紹介していたにもかかわらず、バイデン氏はジョンソン氏の話半ばに「南アのラマポサ大統領。大統領!」と不意に口を差し挟んだのだ。
ジョンソン氏はきょとんとした顔で「すでに紹介しましたけど」。
バイデン氏は「そうでしたか。いや、失礼した」。
バイデン氏は世界中の人々が見ている場で米国に恥をかかせた。
二、バイデン氏とジョンソン氏との関係はサミット前から緊張状態にあった。
訪英に当たってバイデン氏はジョンソン氏に米国製の高級自転車とヘルメットを贈った。ところが、英国では自転車をプレゼントするのは、相手にさっさと消えろという意味だ。』
とまぁ、保守系メディアはバイデン大統領について批判的ですが散々な書き方です。ですが、これについては一般的には報道されません。ネット専用のニュースだけですね。
質問者:
どうして、こんな人が大統領になれたのでしょうか……。
筆者:
都市伝説では「不正選挙があった」とかいう話もあります。しかし、僕は正直なところ現地民でも無ければ選挙の専門家では無いので真偽は分かりません。ただ、トランプ氏もさほど年齢は変わらない“高齢者対決”なので選択肢の幅が狭かったというのはあるでしょうね。
質問者:
確かに、年齢が若い方が良いとかいう問題の話ではなくなると、政策とかの話になりますからね。
筆者:
アメリカはまた戦争に関してはプロパガンダ戦術を元来使ってきます。湾岸戦争の時の“ナイラの証言”が有名です。
この証言の内容は、1992年イラク軍兵士がクウェートにおいて、「新生児を死に至らしめている」と涙ながらに述べたこの証言により、国際的に反イラク感情とイラクへの批判が高まり湾岸戦争参戦が決まりました。
質問者:
その発言だと参戦してもおかしくは無いですね。
筆者:
ところがこの「ナイラ」という女性はクウェート駐米大使であったサウード・アン=ナーセル・アッ=サバーハの娘だった事実が後日明らかになったんですね。彼女は他のボランティアと一緒に見たらしいので、本当なら他の人を使わないと“一定の情報誘導が行われた”と思われても仕方ないです。
質問者:
大使の娘なら情報誘導が行われたと思われても仕方ないですね……。
筆者:
日本では、共産圏の国々とは違い自由な言論・情報が入ってきているように感じてしまいます。
しかし、実際のところは中国若しくはアメリカからのある程度のバイアスがかかっているということを覚悟しておいたほうが良いですね。そして、電通が広告会社として握っている以上、この2国について“様々な方向からの情報”と言うのはほとんど期待できないです。
世間一般では“日本は民主主義国だからニュースで自由に情報を手に入れられる“と勘違いしているだけあって共産圏よりある意味日本は酷いかも分かりません。
質問者:
どうしてこういうことが起きているんでしょうか?
筆者:
色々な意味で第二次大戦後のレジームから脱却できていないんですね。
日本国内の政治・司法ですら他国の顔色を窺わなければいけない状況は正直言って独立国とは言い難いでしょう。特にアメリカに対しては“日米同盟”とは表向きには言ってはいますが“従属国”と言って良い状況が続いています。
質問者:
なるほど、国際的なニュースにおいても信頼できないんですね。
筆者:
まぁ、全くの嘘ではないでしょうけど、「一側面の事実」を鵜呑みにするのは本当に危険ですね。
特に海外の事象が自分の生活と直接関係ないのなら本当に見る意味は薄いです。海外への投資や出張があるのでしたら見たほうが“参考“にはなると思いますけどね。それでも現地の人から直接話を聞いた方が余程実情は分かるでしょう。