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嘘みたいな本当にあった奇跡話

作者: Koteruchan

それは遡ること今から約16年前の6月初夏、大学を卒業して社会人になりたて1年目の話になります。


当時の僕は、大学を卒業してすぐ、1ヶ月も経たないうちに、新卒で入社した会社を退職していました。

理由は、働いていた10年目の先輩から給料を聞き、あまりの安さに愕然とし、将来を悲観したからです。


そして、当時は売り手市場でしたので間が空くことなく、5月連休明けから2社目に入社致しました。

今度は、年齢の割には収入が高い会社に入る事が出来ました。


元々文系でしたので、1社目はバイヤー職、2社目は営業職といった内容になります。


しかし、人生はそんな甘くありませんでした。。。

この2社目でも、僕の脆い精神は早々に打ち砕かれてしまったのです。


理由は、毎日朝から夜まで、果てしなく続くテレアポ、そしてそれが終われば0時まで営業シュミレーション、上司は27歳で部長、30代はほぼ皆無、まさに今でいうブラック企業の先駆けのような会社だったためです。


入社してから2週間は我慢しましたが、そこが僕の限界でした。


朝起きて、当時は実家暮らしだったので、いつも通り出社するフリを母親にし、自転車で駅まで向かいました。


そして家に誰も居なくなってから戻り、服を着替えて荷物をまとめ、最後に両親への置き手紙を置いて、自分の車に乗り家を出ました。


置き手紙に書いた言葉は、


「親不孝な息子でごめんなさい。しばらく家を出るので探さないでください」


家出をした僕の気持ちは、完全に心が折れてしまっていました。


ひとまず、家出をして気力を無くした僕は、近所のドラッグストアの駐車場に車を止め、まるで深い暗闇に迷い込んだかのように、その場で打ちひしがれていました。


「この先、俺はどうなってしまうんだ…」

「3ヶ月で2社も退職する奴なんて、この世にいないだろうな…」

「もう生きてる価値ないよな…」


考えれば考えるほど、ネガティブな言葉だけが脳裏をよぎり、頬を伝う涙と時間だけが過ぎていきました。


ドラッグストアの駐車場に止めて考え出してから、気づけば、午前中から夕方になっていました。


まだ何もこの先のことが考えられない僕は、一度、OFFにしていた携帯の電源をONにしました。


すると、会社からの不在着信が多数入っており、どうやら自宅にも電話したらしく、母親からも着信とメールが山ほど入ってました。


「ダメだ、ここにいては何も始まらない。とりあえずは県外に出よう…」


そう思った僕は、気持ちを落ち着かせるために、ようやく車から降りて、ドラッグストアで飲み物を買い、一息ついて運転する準備をしました。


すると、また着信が入りました。


どうせまた会社かな?と思い画面を見ると、高校卒業後に自衛隊員になり、山口県にいるはずの高校時代の友達からの着信でした。


久しぶりの連絡で珍しかったのと、今の状況を話したい気持ちもあり、僕はためらうことなく、電話に出ました。


「どうした?久しぶりじゃん!」


どうやら友達は、休暇を貰って愛知県に久しぶりに戻ってきたので、今から飯行こう!という誘いの連絡でした。


それなら食事をしながら話をしようと思い、僕は友達を迎えに行くために、ようやくドラッグストアを抜け出しました。


待ち合わせ場所に着いて、外で待っていると、友達がやってきました。

そして、僕を見るなりすぐさまこう言いました。


「おいおい、どうした?何かヨレヨレになってない?」


どうやら長い付き合いだったその友達の目には、久しぶりに会った僕が弱りきっていることを、すぐに見抜いてしまいました。


そして食事をしながら、大学卒業してからこの日までの出来事や、これからの行動を友達に話ました。


「バカだなー、そんなこと言ってないで、一度家に帰ろうぜ!お前の父ちゃん母ちゃんが悲しむぞ。俺も一緒に付いてってあげるからよ。」


微妙に山口県に馴染んで喋り方が変わっているのもあったのか、友達が発言する内容に妙な説得力があり、僕は友達の言う通りに、一緒に家に帰ることにしました。


「アンタ、警察に捜索願い出すとこだったわ!何してるの!?」


母親は、いつものように叱ってくれましたが、それが少し嬉しく感じました。


そして、僕はその当時の人生で最も長い長い1日が終わり、気持ちに整理がつき、次の日会社に連絡し退職処理も終わらせて、新たに転職活動をする決心が出来たのです。


これまでの話で、どこに嘘みたいな本当にあった奇跡があったか分かりましたでしょうか?


伝わりにくかったかもしれませんが、僕にとってこの出来事での奇跡は、【友達から連絡がきたこと】です。


高校までは仲良く部活も一緒でクラスも同じで遊んでましたが、自衛隊員になってからは、本当に一切連絡をお互い取っていませんでした。


それが、このタイミングで??と今でもあの時あの電話が無ければ、どうなっていたことかと思うくらい、僕にとっては、奇跡的なことでした!


僕の母親も友達の連絡先は知らないため、まさに神様が僕を救うために仕向けた出来事なのでは?と思うぐらい、本当に奇跡的に友達に救われました。


これが、若かりし頃の僕にとって起きた、嘘みたいな本当にあった奇跡話になります。


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