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#7【友-再来-】

「ブ○ローの絵見たよっ!真ん中の赤ちゃんだよね?超イケメンじゃんっ!あんなに顔整ってるの?!外国人??」


本日もオンラインにて会話中のアラフォー2人。UMAの[設定]も確定したので、今日は何でも質問してくれっ!と意気込んで臨んだものの、早速[設定]外を攻め込まれてしまいたじろぐ。


「あ、いや、髪と瞳の色は違うよ。」


UMAの髪と瞳の色は絵画よりも神秘的な白金と金色だよ。とは流石に言えない。


「会いたい〜見たい〜拝みたい〜」


だよね、それは食いつくよね…


「あの子、顔が良いから結構苦労してるみたいで…」


思わず架空の設定を追加してみる。


「あ、だから人見知りなの?」

「そうそう」


おっ、[設定]に戻った。


[UMAユウマの(架空)設定]

中学1年生、人見知りなので顔出しNG、難関校を受験したい為に日本に残留、勉学に励みたい為基本的に会話参加もNG、親は仕事の関係(IT系)でスウェーデンに赴任中(2〜3年の予定)、兄弟なし


「今日は居ないのー?」


彼女の問いかけにUMAを見上げる。瞳を細め『もう巻き込むなよ』と無言で伝えて来る。


「今塾に行ってて…実はあの子、中1なんだけど、結構な難関校目指してるらしくて〜受験の為に日本に残ったんだって。あの子の親からも勉強の邪魔はしないようきつく言われててさ〜」


早速、作った[設定]を伝える。


「ん?難関校目指すなら留学した方が有利じゃない?帰国子女枠使えるから。」

「!?」


やっちまった!彼女の職業[中学の数学教師]だったよ!私…何故に忘れていた!

折角彼女の追撃を逃れる為に熟考した[設定]だったのに…彼女のホームグラウンドに乗り込むことになるなんて…失策も良いところだ!


『どうした?』


項垂れる私を見てUMAが問いかけてくる。


「彼女、中学教師だったわ…」

『お前…それを今言うか』


UMAから『お前、阿保だな』オーラが滲み出ている。


「忘れきってたわ…」


発言に矛盾が生じないよう帰国子女枠のない難関校の受験はあるのか急遽ググる。


「それが、あの子が行きたい学校には帰国子女枠ないみたいで」

「あー、そういう所もあるよねぇ。」


よしよし、大丈夫だった。ありがとう、Go○○le!


「で?何処受けるの?」

「えっと、詳しくは聞いてないけど…御三家?とか言われてるところ…?」

「それはっ!本当に難関だねっ!」


先程ググっていた際に目にした文字を伝えると、よく分からないが彼女には通じたようだ。


「どこどこどこ?!御三家のどこ?」

「!……」


あと幾つ山(彼女の質問)を越え(応え)ねばならないのか…すっかり受験校話しにスイッチが入ってしまったようだ。

げっそりしながら、またも検索の為にスマホ持つ。だが、私が答える前に彼女の方が納得したように話し出した。


「あ、ラサ灘成校!?だからあんたに預けたんだ〜成程ねー。そうだよねぇ、何の受験知識もない離婚したての遠縁に預けるなんておかしいと思ったのよー」

「??」


ラサ灘成校とは何ぞ??


そしてググる…何とっ!私の住んでいる近所に御三家高校の一校が存在していた!身近にそんな優秀な学校があったなんてっ!何という奇跡っ!!


「じゃ、学校周辺の塾に行ってるのかな?」

「そうそう〜はは」


一人納得してくれた彼女にこれ以上の失言を恐れ、私は渇いた笑いでその場を凌ぐ。


「しっかし、顔も良いのに頭も良いなんて、将来楽しみ過ぎだねっ!」

「ソウデスネー」

「あんたじゃ頼りないし、受験で心配なことあったら相談のるからって伝えておいてね」

「ソウデスネー」

「受験は体力勝負でもあるんだがら、体に良いご飯作ってあげなさいよー」

「ソウデスネー」


もう山越え(質問返答)は無理…新たな質問をされないよう、私はロボット初号機の試作品のような性能の悪い返事を繰り返す。


ピンポーン


我が家のチャイムが鳴る。


「あ、もしかしてユウマくん帰って来た?じゃ、今日はこの辺でねー」


彼女はひとしきり喋って満足したのか手を振りながら[退席]して行った。

私も[退席]し、慌ててインターホンのモニターを見る。が、モニターには誰も映っていない。


『この馬鹿が』


どうやらUMAが見かねて助けてくれたらしい。


「UMAぁ〜」


私は「ありがと〜」とUMAの頭を薬指と中指で優しく撫でる。UMAは呆れたように私を見ながらも満更ではない様子だ。

そう言えば、UMAに触れたのはこれが初めてだ。月の光のような白金の髪はとても柔らかい。


「それにしても…疲れた」


私は溜息と共に小さく呟いた。


精魂尽きたよ…元々嘘とか苦手だし…精神的疲労感が半端ない…一つの嘘を突き通す為に更なる嘘で塗り固める必要が出てくる。


やっぱり嘘はつくものじゃないなー


改めて反省する。そして、彼女に申し訳なく思う。きっと彼女は一中学教師として、頼りない遠縁に代わって受験の相談を受ける気満々だろう。


UMAの真実を彼女に伝えることは難しい…でも、嘘の設定を考えるより真実を告げる方法を考えた方が良かったかも…


私はベッドに寝そべり天井を仰ぎながら後悔する。だが、今日は疲れたので取り敢えず今日のところは忘れて休もう。私はそっと瞳を閉じて寝ることにした。


そして、私の「今日のところは」は次の後悔を迎えるまで来ないのであった……

※次話の投稿は翌日5時頃を予定しております。

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