#13【UMA大きくなる】
慌てふためく私を尻目に面倒臭そうに溜息を吐きながら、少々投げやりな口調でUMAが言う。
「はぁ、この者には言っても良いだろう。」
「え?ユーマくん居るの?!」
突然有らぬ方向から声がした為か、彼女は部屋をキョロキョロと見渡し声の主を探す。
「俺の姿を見えるようにするには魂をお前達に近付ける必要がある。」
「え?姿も見えるようにする事出来るの?魂って…やっぱりスピリチュアル的な展開な訳?」
UMAの言葉に私が答えると、彼女は怪訝な様子で私と声のする方向を交互に見ながら口を開く。
「え?何、霊的な奴?ここ事故物件?」
流石は親友、思考回路が似ている。
「霊…ではないと思うんだけど…なんて言うかUMA的な?というか、なんの生命体か分からないからこそのUMAというか……」
私はぼそぼそと答える。そんな私を見ながらUMAが私にしか聞こえない声で呟く。
『声も姿も見せることは出来るが、大体面倒な事になって来たからな——ふっ』
呟きの後に鼻で短く息を吐く。何処か遠くを見ながらいつも金色に輝くUMAの瞳に影か落ちる。その様子に棘が刺さったように胸がチクリと痛む。
どうやらしたくもない事をさせる事になってしまった様だ…申し訳なさで私は視線を落とす。
「ひゅっ」
私が視線を落とした直後、彼女の息を呑む音がした。伏せていた私の視界に男性の足が見える。視線を上げて行くとそこには体調6cmの羽付きUMAの姿はなく、思わず息を呑む程に美しい青年の姿があった。
!?
脳内がパニックになりながらUMA(と思われる美青年)を見る。私も彼女も目を皿のように開いて驚く。正確には目だけでなく、口も皿のように開いているのだが…
いつもは親指ほどの小さな顔が今は自分と変わらない大きさになって近くにいる。その迫力と言ったら……陶器のような綺麗な肌は大きくなっても木目の細かさは変わらないらしい。
溜息がでるほど美しいその顔面に見惚れていると、ふと、金色の瞳に自分の姿が見えた。
——その途端、現実に引き戻される——
今、この瞬間、この綺麗なモノは実在して、自分の目の前に居て、私をその瞳に映している……私は自分の体温が一気に上昇して行くのを感じる。
みるみる赤くなる私を見て、UMAは瞳の金色を愉しそうに輝かせて意地悪そうに、でも何処か優しそうに眉尻を下げいつもは見せない笑顔で言ってきた。
「はははっ、惚れるなよ。」
UMAの輝くような笑顔に息が止まるかと思った。私は油の切れたブリキ人形のようにギギギギと彼女の方に顔を向ける。彼女はまるで静止しているかのようにピクリとも動かない。
「何だ、あまりの眉目秀麗さに言葉も出ないか?」
いつもの幼さの残る声ではなく、低く響きのある美声からいつもの俺様発言が飛び出す。その言葉にギギギギとUMAの方向に顔を戻す。UMAは相変わらずの上から目線でいつものようにニヤリと笑う。その言葉と態度に私は平静さを取り戻す。
彼女を再度チラリと見るが、彼女はまだ驚いたままのようだ。というか、これ、立ったまま気絶してる訳じゃないよね?!
微動だにせず驚愕の表情を浮かべている彼女が心配になり、近付いて目の前で手を振って意識を確かめる。
はい、気絶決定




