表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵と錦鯉  作者: 長村
邪龍呪殺事件
32/35

驍ェ逾槭??」イ縺ソ霎シ繧?縲

「とは言っても、彼女は神の領域に片足を突っ込んでいる状態。私が食べきるには、ちょっと容量がキツキツです。」

「つまり“本体”を呼び出そうと言うわけだ。」

 本体。

 カズラさんと最初に出会った日、クロは彼女を「分霊」と言っていた。その話に出た「旧くとも支配者」とやらに、龍泉院満花を食べさせるのか。

「…………それ、俺は見ないほうがいいやつか?」

「話が早いですね。まぁ、うっかり見ちゃっても比較的大丈夫な部類ですが……念のため。クロノさんがシュウさんの目を“塞いで”ください。私の本体は“食いで”のある餌に興味を持ちますので、直視さえしなければ何の影響もないと思います。」

 俺の言葉に、カズラさんは頷きながらクロと手順を確認し始める。一通りこれからの行動を共有した後、彼女は「ふぅ」と息をついた。

「結局、食べて終わらせることには変わりませんが…………最悪の事態は、避けられて良かった。」

 確かに“山ごと食う”に比べたら、原因だけ取り除けることは平和的だ。しかし同時に、一人の哀れな少女を殺すことになる。無関係の人を呪い殺した罪はあれど、龍泉院満花が悪人だったワケじゃない。コトの発端はずっと昔からあって、彼女一人の罪ではない。それを考えると、あまり喜ばしいとは思えなかった。カズラさんも同じ気持ちのようで、拳を握りしめ俯いている。だが知識豊富なクロが何も言わないので、他に方法が無いことも理解できてしまう。

「行きましょう。龍泉院満花を食べることが、彼女を苦しみから解放すると信じて。」

 自分自身に言い聞かせるようにしながら、カズラさんが一歩を踏み出した。





 注連縄を乗り越えたところで、カズラさんは泉に向かって走り出す。

「お二人は、後ろで待っていてください!」

 先程と同じく、泉の中心に立つ少女が拒絶する。しかしカズラさんを撥ね退ける筈だった“衝撃”は、黒い泥の如き使い魔たちに阻まれる。拒絶の声を無視して、いとも簡単に彼女は湖の手前へたどりつく。

 そこで、俺の視界は閉ざされた。



「うがあ、くとぅん、ゆふ────」


「────、や、■■■■■■」


「来たれり。敬愛する主■■■■■■よ、夜の父よ。」


「光あれ、太古の者よ、外なる者の最初に生まれし者よ。」


「はいる、汝、星が大いなる■■■■■を生み出す前の記憶の果ての太古からありしものよ。」


「菌にまみれし■■の偉大な旧き這う者よ。」


「いあ、いあ、ぐのす、ゆたっが、は。」



「いあ、いあ、つぁとぅぐあ!!」



 カズラさんが“なにか”に呼びかける声だけが、耳に入ってくる。目で見ていないのに“なにか”が這い上がってくるのが、わかってしまう。地の底から、大きな何かが顔を出した気配。せり上がる膨大な“なにか”が、大口を開けて現れたという確信。


「いただきます。」


 行儀の良い挨拶とともに、邪神は龍を飲み込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ