表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/56

第50話 こえろ

皆様お久しぶりです。

スランプ気味ですが頑張りました。

これから最終回までガンガンと更新します

完結は春休み内を目標にしていきますんでよろしくお願いします。

 かたき討ち?

 いえいえ、違いますよ。


 和解するために行くんです。


「今度はもう二度と戻れない。逃げることは許されない、戦って、生きるか死ぬだけなんだ。それでもいいんだね」

 そう、和也は涼に言われた。

 和也は迷わず、もちろんですと力強く頷いた。その姿を、何とも言えない表情で涼は見つめた。

 誰もこの戦いで、後悔する奴はいないだろう。もちろんその中にはレントだっている。最後には笑えるように、そう願って、和也は城へと向かった。


 すでに城は、残骸だけだったが。


 ここだけ世界が違うような感じ。ちょっとコウリンが眼を伏せた。

「不思議な感じがする。戦いってやっぱこういうモノなんだと。いつもは最終的にはハッピーエンドで終わってた気がしたけど、本当の、本物の戦いって、こういうモノなんだよな」

 そう、フッと笑ってコウリンは言った。確かにそうだったなぁって思った。

 昔はあんなに「死ぬかもしれない」って思って戦ってたのに、いつの間にかいい方向に進むってことに安心していたのかもしれない。本当の戦いって、生きるか死ぬかってことを今さら実感しているなんて、我ながらどうかと思う。

「ほんとだよな」

 と言いつつ苦笑気味のジュンガを見て、和也は妙に落ち着いた気持ちになった。

 和也だけではなくて、なんかみんな。

 心が軽いって思うのは、何でだろうか。

 レント、おれって、ってかおれらって成長したのかな?


 ――――その時。

 フッと妙な気配がして振り返ると。

 思った通りの奴がそこにいた。

「…シン」

 瓦礫の一番上に、シンは黙って座っていた。

 てっきり見下ろすような感じでいると思ったら、妙に暗い表情をしていた、気がする。


 シンはひょいっと地面に降り立つと、和也たちを見た。

「…殺すしかないんだ」

「え」

 その言葉は、意外すぎて、和也から出たのは裏返った声だった。

「あいつは、殺す覚悟で俺の方へときた。そして殺される覚悟で。どんな事情があったのか知らないが、あいつは殺されるのを望んでいたような…、言い方は悪いがそんな感じだった。じゃなきゃ、あんな迷いなく来れないと思う」

 眉を顰めて、シンはゆっくりと言った。それに和也たちは何も言えず、ただ黙る。

 レントは償いのためにやっていたんだ。


「人を、殺した。それは謝る。でも、殺すしかなかったんだ」

「殺すしかなかったって…?」

「この物語は、大きく捻じれている。変わってきている。俺は、それを正す役目がある…、最後の切り札」

 物語を変えないための、ストッパー。

 涼が言っていた。

 レントは死ぬ運命。それも、ずいぶん前に、和也の手で殺される。

 それと同時に、双子も死ぬ運命だった。


「お前も、この物語を知っているの…?」

「少なくとも、ここから先どうなるかはあまり知らない」


 シンはそういうと、構えた。


「俺を解放するには、俺を力で負かすしかない」


 彼には縛られているものはない。


「俺をこえろ、あいつでも倒せなかった俺を」


 違う。


「お前にこの物語を変える権利があるかを、確かめる」


 この役目に縛られているんだ。


「行くよ、ジュンガ…」


 9人目との戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ