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第36話 本当の、幸せ…?


7人目、完結です。

 気がつくと、そこはコウリンの部屋だった。

 和也はただベットの上で呆然としており、コウリンはそんな和也を優しい目で見つめ、笑っていた。そんな2人の姿を見て、ジュンガはほっとした表情でいた。

 ただ1人、ハルマだけが怒りで震える。

「……っ、畜生っ!!どうしてお前だけ、なんでお前は……!!」


 好かれるの?

 好かれるの?

 好かれるの?


 こいつは主人公(・・・)だから、人に愛させて、守られて、幸せでいられんじゃないのか?こいつはこんなにも好かれているのに、俺はダメなんだ?

 何が違うんだ?

 何がこいつより、悪いんだ…っ!!


 和也は口を開きかけだが、それをジュンガが止めた。これ以上和也を辛い感情にしたくないからだろう。それに、和也が言いたいことはジュンガも同じだ。このくらい、代わりに言ってやれる。

「ハルマ、お前は人の感情を踏みにじりすぎだ。人の苦しみぐらい、お前だって分かるんじゃないのか?お前だって、苦しんだり、つらいと思ったとこあるだろう。だから…」


「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!!!!」


 ハルマが狂ったように叫んだ。

 彼の表情はこれでもか、というほどに眼が見開かれ、顔は真っ青で、悲痛で歪みきった表情。このままケタケタと笑いながら、体より大きな鎌を振りながら人をザクザクと斬り殺していきそうな、そんなオーラを出している。

 ……まさに死神。


「感情を、踏みにじりすぎたぁあ?苦しみが分かるぅう?。……ッハハハハハハハハ!!良く言えるなぁ、お前はただ人を助けただけなのに。…わかってんの?お前が、この中で一番過去を認めたくない奴なんだよぉ。心も覚えていないし、体も覚えていない。ま、俺は分かるぜぇ?見せてやろうか、お前の過去を。お前の一番触れられたくないトラウマをさぁぁあっ!!!!」


「ざけんなよぉぉぉおぉぉおおぉぉおおおっっ!!!!」


 ジュンガが声を張り上げて叫んだ。まるで彼まで狂ってしまったような、そのぐらいの狂気に満ちた叫びだ。眼は見開かれ、肩で息をして、まるで本当の狼のようだ。野生化している。…殺されてしまいそうだ。

 そんなジュンガの姿を見てハルマはにやりと笑う。

 こんな風に苦しむ姿を見るだけで、すごくすごくテンションが上がる。

 もっと苦しんでよ。そうしたら主人公は泣き出しそうになって、もうやめろよとただ叫ぶ。こいつの幸せも、もう終わりとなる……!!!!

 彼は主人公の方を見た。主人公は俯いて肩を震わせている。…ダメージは大きい。大切な《相棒》が苦しんで、もう沢山だろう。

 だから言えよ早くもう嫌だやめてくださいって素直にさああぁぁぁああぁぁあっっ!!!!!!!!


 ――――バキィッ!!!!


「――――――っ!?!?」

 ハルマが吹っ飛んだ。

 頬に拳がめり込んだのだ。

 吹っ飛ばしたのは、息をあげながらもハルマを睨みつける和也(しゅじんこう)


「本当にいい加減にしろよ、お前ぇぇっ!!!!」


 その瞬間、和也の頭の中に何かが流れ込んできた。


 ――――――


 俺はみんなから愛されていた。

 みんな俺と仲良くしてくれて、一言俺が何かを言えばみんなが着いてきてくれた。俺がリーダー。一番。強い。

 最強。

 だった。


 けれど、いつの間にか俺のところには誰もいなくなった。

 おかしいな、俺のことをいつも贔屓してくれた先生まで、もう俺のことを見なくなった。

 成績が落ちたわけじゃない。

 ルックスが悪くなったわけじゃない。

 運動でドジを踏んだわけじゃない。

 何も変わらず、俺はずっととこのままでいるのに。


 みんなが着いてきた、俺のままでいるのに。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」


 俺は独りになった。


 本を見たら、なんでだろう。

 主人公が羨ましくなった。

 そう、主人公(・・・)という立場なだけでここまでちやほやされるあいつを。

 こんな奴が人から好かれるのに、何で俺はこんな目にあわなきゃいけないんだ。

 おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいっ!!


 そして、憎くなった。

 そうだよ。

 醜い嫉妬ってやつさ。


 そして、鎖に縛られていった。


「もしかしたら、知りたかっただけなのかもなぁ。過去を見て、一体何が自分と違うのか。何が好かれるきっかけとなるのか。…でも、そんな事これっぽっちも分かんねぇんだよ……」

「ハルマ」

 虚ろな目で、彼は呟くように言った。あんなに叫び狂った死神は、今にも消えていってしまいそうな亡霊に変わった。それを和也はじっと見つめる。

 彼の場合、力に頼りすぎて、自滅したんだろう。

 今まで信用していモノが使えなくなってしまうと、もうどうしたらいいのか分からなくなってしまう。そしていつの間にか抜かれていって、あっという間に一番下になる。

「一からやりなおして、本当にの力でも見つけよっか。自分が本当に求めているモノを手に入れることのできる、大事な力を」


 誰かを従える力じゃなくて。

 誰からを笑顔にさせる力を。


「ジュンガ」

「おう、カズヤ」

 ジュンガの自分の名前を呼ぶ声が、いつもより優しかった気がした。


 彼は解放させられた。

 力を探す旅へと向かうために――――。


「ところでコウリン。本当におれのことをへなちょこ、とか思ってる?」

「当たり前だろう」

「即答!?え、そこはっきり言うか!?」

 怒りや悲しみで打ち震える和也をニヤニヤしながら見るコウリン。


 確かにへなちょこだけど。

 芯はしっかりしている、強い主人公だよ。

 だからお前がへなちょこ、つまり人に頼ることから卒業出来るまで。

 私はお前の傍にいよう。

 どんなに苦しいことが起きても、必ず。


 だって、私の大事な人だからな?

いや〜、すっきりした!

ハルマは書いていて楽しいけれど、その分最後どうやって終わらせようか迷った^^;

一体これでいいのか、ハルマよ……。


次回は一度元の世界へと帰ります!

帰ったはいいけれど、そこでもまた色々と起こってきます。

次で和也の過去、完全完結です。

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