教師登場
いつの間にか出てきていた人がこちらを見ていた。
目が合った。
「こ、こんにちは」
取り敢えず挨拶だけはした。
気まずい!どうしよう、世間話でもした方がいいのか?今日は天気がいいですねー。みたいな?
無理だ。そこまでのコミュニケーション能力は持っていない。
あっそうだ。荷物片付けとこう。
目線をずらしてずっと開きっぱなしだった鞄にスキルノートを入れる。
鞄を閉じる。手に持つ。
片付け終わった!
まだ何も話しかけてこない。あ、なるほど、気づいたら居なくなってるとかそういうオチなのか。
また目が合った。
なんなんだよ!どうすればいいんだよ。脳内安価でもとるか?>>3
1:ksk
2:ksk
3:自殺
ふざけんなよ!
4:安価は絶対
いや死んだらgemeoverだろ!
5:1人コントは楽しいか?
…よし。冷静になろう。こういう時は自己紹介だよな。うん。
「あー、えーっと、学校から転校してきました。庇護松葉です。」
「ん?あなたは誰?ここは学園生か職員しか来ちゃいけないはずよ。でもあなたのそのバッジは何処で手に入れたの?」
えー、聞こえなかったのかー。えー…
「転校生の庇護松葉です。このバッジは普通に貰いました。」
「あー、あなたが二人目の転校生ね。これからよろしく。もう一人目の…澤木さん?は来てるわよ。二人揃って早いのね。」
なんだ、澤木さんも来てたのか。へぇー。…
ええ、あのしっかり者の澤木さんが?何故だ…
はっまさか、偶然通学路でばったり会って、二人で一緒に学園へ行く。というthe 青春なイベントを起こさせないように!?…そこまで嫌われてたか。前のペアを組むのもいやいやしていたのか。
嗚呼、松葉はいと悲しゅうございます。
もうテンションガタ落ちだお(´・ω・`)
まあ、そんなことは置いといて、
あ、そうそう。閑話休題を「かんわきゅうだい」って読むことをちょっと前まで知らなかったんだよね。
さて、既に歩き始めてる女の人について行こう。
あ、この距離感ストーカーっぽくね?
はあ、またテンションがおかしくなってる。クラスの自己紹介とかで事故らないように気をつけなきゃ。
…
ガラス張りのちょい大きめな昇降口を通らずに、端にある小さい木でできた扉を開けて進んでいく。
すると、いくつかスリッパが置いてあった。
鞄から上履きを取り出して履く。
その間にも女の人は階段を登っていき、ってちょい待って、早い!
急いで再びストーカーっぽい距離感の所で止まってついて行く。この行動に意味は無い!
いつの間にか教室についていた。
女の人は扉を開けて立ち止まった。
「此処があなたの教室よ。…ひがくん?」
「あっはい、庇護です。」
「そう。さ、中に入って。」
1、2分前に聞いたことを間違えている。大丈夫か?
体調が優れないのか、お前なんかの名前なんて知ったこっちゃない!と思われているのか。自分の名前が珍しいのは分かるけれど、っていうかこの人の名前聞いてない。
「あのー、お名前を伺っても宜しいでしょうか?」
「ん?人に名乗らせる時は自分から名乗るのではなくて?」
ええっ。さっき言ってたよな。
「あー、えーっと庇護松葉です。どうぞよろしくお願いします。」
「よろしい。よくぞ私の名を聞きましたね!そう、私の名前は桐生 理乃。現役バリバリの教師をやっているわ!こちらこそよろしくね!」
急にテンションが変わったな。こういうのをなんというのだろうか?…思いつかないや。
「じゃあさっさと席に座れなさい!」
本当にこの人は大丈夫なのだろうか。
…まあ、大丈夫なのだろう。うん。ここの教師をやっているのだからね。