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秘密は安心

作者: 高菜わさび

「しかし、危うく全滅しかけましたけど、このダンジョン内では急になにかを覚える、成長するとしても限界がありますね」

「はいはーい、俺は魔法を覚えたいです」

「却下します」

アイラが疑問を投げ掛け、テルが提案し、ユキが辛辣なコメントを口にして、そんな三人をビュークが見守る。

「ちょっとはこっちの意見を取り入れてくれてもいいんじゃないか?」

「ごめんね、私が弱いせいで、余裕作ってあげれなくて」

「そんなんマジで返されたら、なんも言えなくなるからな」

「でも実際そうだしな、安全確認の能力はできるけども、本職の人たちには負けちゃうしな」

「身近なそういう人って言うと、各パーティへの伝達をしてる、ダンジョンは俺の庭と豪語してるレンジャーのリームさんとかですか」

「後は聖騎士なんかも訓練としては受けてるよ」

「しかし、パーティ名って正式登録文字数って十文字以下だったんですね」

「せっかくグリッターダフォディルっていい名前をつけたけど」

長いんで、グリダホな。

「アイダホみたいだった」

「それどこですか?しかし、成長できないとなると、新しくメンバーをいれるとかですかね」

「入れてもあと一人ぐらいだしな」

「人数いた方がよくないか?」

「パーティは4、五人がベストとされているのは、それ以上になると分配で揉めたりするんですよ」

「だから大人数のパーティの死因の理由って内輪揉めが多くなるんだよ」

「人間ですからね、単純にスキルや役割に徹するというのは、なかなか出来ないものなんですよね、ふっふっ、自分でいっててなんですけど、その言葉がものすごく心に突き刺さりますよ」

アイラは派閥政治に負けて、ダンジョン攻略に左遷されたのである。

「でもさ、どう考えても、俺って足手まといじゃないの?」

テルは今のところ戦闘が始まればみんなの後ろで守られているだけであった。

「それはそうなんだけど、もうそろそろ話してもいいかなと」

「とうとうお話になられるんですか?」

「えっ?なに?まだ怖いことあるの?」

「ああ、そうだ」

ビュークは神妙な顔をしていた、彼はビーストマスターのために寡黙に徹することが求められたが、パーティのためならば自分の考えを伝えよう。

「テルは召喚されてこの世界にやって来たわけだけど」

「そうなんだよ、父の日とプレゼントを買って、バス乗ったところまではおぼえてるんだがな」

「精神攻撃に著しく弱いということが、この間のトラップでわかったけども、テルが召喚された理由が見えてきたかなと」

「召喚されら理由って山ほど考えられますが、わざと弱いっていうことになりますと、結構限られるんですよね」

「アイラは説明する前にわかったみたいだけだ、テルは魔王になるためにこの世界に召喚されたんだよ」

その時テルの頭のには同じタイトルのクラシックの曲が流れたという。

「あれって、なれるの?」

「なれるけども、テルがなるのは傀儡の魔王です」

「ちくしょー!」

「魔法の素養もない、一般常識もない人間を召喚する理由はコマぐらいだろう?」

「でもさ、俺を召喚した人たちってそこまで悪くはなかったんだけどもな」

「やだな、気づかれて、逃走でもされたらせっかくの材料が台無しじゃないか」

「やめて!」

「嫌ならこの話はこれ以上はしない」

「う~ん、俺からするとあの人たちは悪いイメージはない、が、同じぐらいユキやアイラやビュークにも世話になってると思ってるしな」

「テルぐらいだ、勇者ではない私を信用するのは」

「だって勇者や魔王って言われてもな…」

「そうですね、勇者も認定だけなら国や権力者、地域単位でも行えますけど」

「それって勇者がいっぱいいるってことじゃないのか?」

「そうですね、勇者同士が対峙するってこともありますが、ユキさんの場合は国の勇者ですから、信用の点ではダントツですよ」

「特にうちの国は今はイメージアップにつとめているからな」

「剥奪勇者がでましたからね」

「そうなんだ、勇者らしからぬ行いをしたら剥奪されるんだけどね、本来うちの国の勇者って言うのは騎士や剣の道に生きるものが選ばれることが多いんだけども、選ばれたのだからきちんと使命は全うするさ」

テルにとっては勇者の基準はわからないが、まず間違いなく選ばれた基準はユキのこんなところだろう。

「んで、俺が魔王になったら、ユキと戦うのか?」

「はん」

「鼻で笑いやがった」

「今のテルを魔王だっていうようになったら、引退の潮時だね」

「俺の扱いひどくね?」

「でもですね、ここまでの冗談も他の人たちには言わない方がいいかと思います」

「そうだね、餃子を作るたびに、この餃子を教えてくれたテルは…ってなるしね」

「そのトーンまじだな、よし黙ってるぞ」

「そうしてくれ、さすがにダンジョン内の生活が長いものなら、功をあせる」

「そこはテルさん、勇者パーティにいる利点のひとつでもありますよ、秘密は安心、身は安全、最悪なことにはそうはならないかと」

「勇者ってすごいな」

「でもまたトラップ悪夢への一夜が発動したらと思うと、至急手をうっておきたいところではあります」

毎晩ランダムで冒険者たちを悪夢へ誘うのが、トラップ悪夢への一夜。

「精神防御力がそこまでうちはないんですよね」

「ダンジョン内の全冒険者が一つの悪夢をみるようなもんだから、それを撃破する専門のパーティもいるようだけども」

「テルさんの話からというわけではありませんが、私たちも急に強くなることはありませんから」

「もう少し情報を集めないかな、そうしてから方針きめたほうが結局は話が早いと思うよ」

「とりあえずテルさんが魔王になるっていうのは他の人たちには黙ってましょう、三代目魔王の眷族には興味がありますけどもね」

「アイラ、何気なく禁術の名前を出すなよ、反応みたいのはわかるけども」

「個人的な好奇心ですよ」

「なんかもうわからない言葉がたくさん出てくるから、休憩挟もうぜ」

「そうですね」

そうそんなかんじだった。

だから三人の視線がはずれ、ドサという音ともにテルが倒れたとき、何が起きたのかわからなかった。


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