旅路
あれから、一週間が経った。
「マスター。完成しました。」
おおっ!これが完成形か!
これでやっとヒマライに向けて出発出来るな。
にしても、良くできてる。見た目は人間らしい、とは言えないが完成前でも動きが滑らかで管理には全く問題無さそうだった。
まあ途中過程殆ど見れなかったんだけどね。
あれから何回か素材を取りに行った。
勿論、ノヴァも一緒だ。
やってきた中でも最初のグランリザードが一番強かったかな?
まあ面倒くさいのは何体かいたが。
その中でもマウンテンオクトパスはかなりうざかった。
その名前の通りに山のように大きく、初見では生物かどうか気づくことも出来なさそうだ。それだけ動きも遅かったし、俺たちを認識することもなかった。
しかし、何回攻撃しても効いてる様子がなかった。
キリがなかったので、ノヴァにお願いして必要部位だった、吸盤だけ切り取ってもらった。
…いったいどこに吸盤を使ったんだろうか。
それとノヴァがかなり強くなった。
元々強かったから、搦め手が増えたと言う方が正確かもしれない。
作られてあまり時間が経ってない、というのもあったため、まだ何も学習していなかったが、その速さ、正確さ、量は人間のそれとは段違いだった。
実際に学び始めてみたらその凄まじさを実感した。
「レオンお兄ちゃん。楽しみだね!実際に動かしてみようよ!」
あと、喋りも流暢になっていた。
「そうだな。実際にこの管理をしているところを見てみるか。いいか?ロズフル?」
「僕はいいよー。結構楽しみだなー。」
「わかった。頼む、ガイア。」
「了解。」
起動シークエンス…動作モーションチェック…コアエネルギー充填…
何かごちゃごちゃ言ったあとに動き出した。
ちゃんと二足歩行だ。まあキャタピラとかでもいいような気はするが。
「凄いね!動き出したよ!」
「僕の代わりは務まるのかな?」
「じゃあ、一日様子を見てみるか。」
既にロズフルから何をどういう風にすればいいのかは聞いていたらしい。
ガイアが特別なことをすることもなく、水をやり、堆肥を加え、枯れないように配慮しているように見えた。
「…これで僕も必要ない、か。」
ロズフルが呟いていた。
「俺が、俺達が必要とするけどな。」
言葉を返す。
「ばっ、馬鹿なこと言うなよ!」
「ところで、ロズフルに戦闘技術とかってあるのか?」
道案内に連れていってもらったこともあったが、戦っているところは一度も見たことがなかった。
「この植物達を守るために、なかなか危険なところにも行ったよ?まあ君達ほどじゃないけどね。」
「もう遅いかもしれないし、俺が誘ったくせに言うのもおかしいけどさ。本当に良かったのか?」
「本当にそうだね。」
うぐっ。
「でも、引きこもってるだけじゃ駄目だって思ったからさ。というより、気づかされたからね。」
俺、何かしたっけな…。
「それに…アネクト兄さんとも決着をつけないといけないと思うんだ。実の兄とはいえ、やってはいけないこともあるよ。」
「俺も手伝えることならするよ。」
「ふふ、ありがと。」
あ、八重歯だ。
「グスッ。」
「もう帰ってこれない、ってわけじゃないんだからさ。」
出発当日になった。
「ロズフルお姉ちゃん。元気出して。」
いつからか、お姉ちゃんに変わっていた。
「ここから一番近い町はアイスリーです。」
事前にガイアが調査してくれてたみたいだ。
「じゃあ…行くか。」
「うん!」
「了解。」
「よろしくね?」
いつ戻れるかわからない。
でも確実に会える日に近づいてるよな?
まだこの章は続きますよ。
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