説得
「なあ、ロズフル。」
「何?晩御飯ならまだ出来てないよ。」
「あ、いや何でもない。」
「?わかった。」
話を切り出せずにいた。
いやだってさ。俺の都合で旅についてきてくれ、なんて言えないよ。
「レオンおにいちゃん?」
「ん?ノヴァか。」
「ガイアからきいた。ロズフル様もたびにきてほしいんでしょ?」
あー、ノヴァも聞いたのか。
「そうなんだけどなー。何て言おうか悩むんだよな。」
「マスターのつたえたいことをいえばいい。おもいはいわないとつたわらないよ?」
…。
ノヴァに教えてもらったなー。むしろ俺がいろんなことを教えてあげないといけないのに。
「そうだな。ありがとう、ノヴァ。」
「えへへ//」
「今日の晩御飯も美味しかったよ。御馳走様。」
「お粗末様です。」
くだけた感じでお辞儀をしている。
「ところで、あとで伝えたいことがあるんだけどいいかな?」
「いいよ。後片付けしてからね。」
「俺も掃除しながら待ってる。」
さて、掃除用具でも取りにいきますかね。
ガイアとノヴァからはマスターは何もしなくていい、私達が全部する、と言われていた。
でも、俺もロズフルも断った。
俺は働かざる者食うべからず、じゃないけど何もしないと何となく罪悪感がわいてくるからだ。
ロズフルはずっとしてないとやり方を忘れると言っていた。
でも、本当は俺と似たような理由なのかもしれない。
「仕事終了ー。で、話って何?」
先に掃除を終わらせていた俺が部屋でくつろいでいるとロズフルが部屋を訪ねてきた。
「んー。単刀直入に言おうかな?」
「え?なになに?何か僕悪いことしたっけ?」
「いやいや。ロズフルには良くしてもらってるよ。俺の我が儘を聞いてくれないかな?」
「内容次第だけど…。エッチなのはやめてね…。」
「いっ、言うわけないだろ!俺の言いたいことは俺達についてきてくれないかってことだよ!」
「へ…。」
顔が紅くなるのを感じる。
「で!どうなんだ?」
「その話は前もしたよね?ここを管理する人がいなくなるから駄目だって。」
「その管理する人がいるって言ったらどうだ?」
正確には作る、だが。
「どういうこと…?」
「なんかガイアがそれくらいの魔道具なら作れるらしい。」
「そうなんだ…。で、でも、ここ広いよ?そんなに沢山用意出来るの?」
「まあ出来るんじゃないか?それに今まではロズフル一人だったんだろ?」
「まあそうなんだけど。大丈夫?僕の植物達を枯らしちゃうんじゃないの?」
「…ガイアを信じられないのか?」
「信じてないわけじゃないんだけど…。」
「嫌だったらハッキリ言ってくれないかな?無理矢理誘ったこっちが悪かったよ。」
少しイラッときたから口調が強くなってしまった。
「そんなことない!でも…。」
あれ?雰囲気が…。
「何か心配事があるのか?もし良かったら俺が聞くよ。もしかしたら聞くだけになるかもしれないけどな。」
出来ないことはあるんでね。
「僕…外に行くのが怖い。」
「僕はアネクト兄さんと二人きりで過ごしてきて…。アネクト兄さんがヒマライ大陸に行ってからは誰とも話してなくて。」
にしては、普通に話してたように見えたんだけどな。
「それからずっと家で一人っきりだった。だから、レオン達が来てくれたのは本当に嬉しかったんだよ?」
「それは有り難いな。」
「でも、いろんな植物があるようにいろんな人がいることは知っている。それこそ怖い人もいるでしょ?」
「まあ否定は出来ないな。」
実際盗賊に襲われたことありますし。
「浮かれてたからレオン達を家に入れちゃたけどもしかしたら危ない目に遭ってたかもしれないんだよね…。」
俺が考えていたことと同じようなことを考えているのかな?
「でも、俺達はこうして仲良くなれた。」
「そして、一番怖いのがね?アネクト兄さんなんだ…。」
「理由を聞いてもいいか?」
「だって、皆を危険にさらすようなことをしていたんでしょ?アネクト兄さんのことを勘違いしてた。いつも物静かだけど、優しい人だと思ってたのに…。」
そっか。そんな風に思ってたのか…。
「大丈夫。俺がいる。俺はまあまあ強いんだぞ?アネクト兄さんを捕まえたのも俺だしな。」
俺じゃないけど。
「…。」
「俺よりも強いガイアとノヴァも一緒にいるんだ。ロズフルのことは絶対に守る!だから…俺達と来ないか?」
「…肝心なことを聞いていなかった。どうして、そんなに僕を連れていきたがるの?」
「そ、それは…。」
改めて考えると恥ずかしい理由だな…。
「言えないことなの?」
「ちょっと恥ずかしいことなんだけどな?」
言うか…。
「ロズフルの料理が美味しかったからまた食べたいな、って。」
「え?そんな理由?」
「大事なことだと思うぞ?」
人生の楽しみの一つに食事もあるしな。
「ぷ。はははっ!わかった。僕もついていくよ。」
急に元気になったね。まあとにかく…。
「改めてよろしくな。ロズフル。
」
「こちらこそ。」
ロボット物のバレルロールとか、片手を伸ばす表現とか、ゼロ距離射撃って格好いいなって思います。
なんとかどれか一つでも登場させたい…!
読んでいただき有り難うございました!
評価等よろしくお願いします!