計画
「こいつ、獣人ってやつか?」
「そっか、見たのは初めてよね。そうよ。」
なるほど。本当に動物の耳や尻尾が生えているのか…。面白いな。
「こんな場所に獣人っているのか?ここはヒマライ大陸だよな?魔法で飛ばされたとか?」
「交流は0ではないわよ。交易だって行ってるし、旅に来る人なんかもいない訳ではないわ。あとその魔法もないわけではないけど、魔方陣が何処かに必要だから違うわね。」
「おーい。折角安全な道で呼んであげたのに、私のことを無視しちゃうのー。」
二人の方を向き、ハンドシグナルで俺に任せろと言う。
梨花は正直こういうの苦手そうだし、ミカは喧嘩口調だからな。
ミカは分かってないっぽいけど、梨花がわかってくれたから、放置する。
「そうだな。じゃあ、先ずは俺が質問する。お前は誰だ?」
「いやいや、君達勝手に入ってきたんだよね?だったら、そっちから話すのが礼儀ってもんじゃないの?」
良かった。さっき二人が出ていってくれなかったら、ミカ、キレてたかも。
「お前が攻撃してこなかったら、もっと礼儀を尽くしていたさ。」
「それは元々プログラミングしていたやつだからなー。直接会わないと何も出来なかったんだけどなー。だから、悪いと思ってここまで連れてきた訳だし。」
あれ?じゃあ、悪意をもって攻撃してきた訳ではないのかな?
「まあいいや。えと、なんだっけ?」
「ああ、お前は誰だ?ここで何をしているんだ?」
「あれ?質問増えてないかい?」
「早く答えろよ。」
「強引だね、君も。まあ、勝手に人の家に入るくらいだしね。しかたない。私も優しいから、早く答えて早くお帰り願おう。」
本当に優しいなら、いきなり攻撃してくるようなロボット造るかよ。
「ここはね。私が10年かけて造り出した施設だ。前の私だったら、無理だったろうが今は魔法があるからね。簡単だったよ。」
10年って…。それは長い計画ですね。って、ん?前は?
「で、ここで何をしているかって?そんなの決まってるさ。実験だよ。私はこの世界の人の仕組みが面白くて仕方ない。何で人の体に動物の耳や悪魔のような耳がついているのか…。それが知りたくてね。」
俺と同じようなこと考えてる…。これはもしかして…。
「お前、もしかして違う世界のこと知ってる?」
それだったらこの異常な技術力の高さにも頷けるんだが。
「え?」
「何を言っているんだ?」
「動揺してないか?」
「質問に質問で返すものじゃないよ。君が突然変なことを言い出すから驚いただけさ。」
まあ、正直関係ないさ。コイツと親しくなっていく気はない。何でこんな場所にいるのかは気になるが。
「なあ?何でこんな場所で実験をしているんだ?」
「それはね。この大陸の人間は弱いのが多いから♪魔獣も弱いのが多いから、安心して私の造り出した魔獣を送り出せるよ。」
「魔獣だと…。」
コイツわざと出していたのか…。
「あれ?私の造りかけの魔獣を見たんじゃないの?あいつらをもっと造るための素材とかコアを取りに行かせてたんだー。自分から出て行かなくていいから、めちゃくちゃ便利!」
「…それのせいで誰かが危険な目に遭うかもしれないとは思わなかったのか?」
「んー?大丈夫大丈夫。人は襲わせないようにしてるし。」
「そういう問題じゃないだろ…」
「それに、他人がどうなろうと知ったことじゃないし。」
…落ち着け。コイツは許さないがあと一つだけ俺が個人的に知りたいことがある。コイツをぶん殴るのはそれからだ。
「お前は何でさっきの女の子を造ったんだ?お前の研究とやらに必要なのか?」
「あー、あの子たちね。私が知りたいのは獣人族や魔人族だって言わなかったっけ?」
「造って何がわかるんだ?俺が見たのは二人だけだが、どっちも人と同じ見た目だったぞ。」
「今はまだ私自身の研究が進んでいる最中だからね。あの子たちは最終計画に必要だから。」
「その計画ってのはどんなのか教えては…くれるわけないよな。」
「いいよ、別に教えても。その代わりいろいろ手伝ってくれならね。君達それなりに強いみたいだしね。私の造ったロボットをことごとく壊してくれちゃって。あれにどれだけの時間と労力がかかっているのか知らないだろ?」
「それは悪かったな。手伝えるかはその計画次第だな。」
「あはは。ガードを崩せないな。まあ、教えてあげるよ。」
「私は自分の造り出した女の子達に魔獣のコアを埋め込み、人と魔獣を混合させた最強の存在を造ってこの世界を征服しようと思ってるんだ。」
絶対にコイツの手伝いはしないし、もっと強くコイツをぶん殴らないといけないようだ。
そろそろこの章も終わりますが、主人公のまとめ全然やってないっす…。
読んでいただき有り難うございました!
評価等よろしくお願いします!