第二
最近忙しくて、モチベーションが上がらない…。
騎士団の人と別れてから、約一週間。
ただただ歩き続けた俺達は予定よりも早くにハイツーに着いた。
「これからはどうするんだ?確か馬車を借りるんだよな?」
「そうね。まあみんな疲れているでしょうから、今日は休みましょう。」
「なら私は宿を探しますね!」
「私は馬車の確認をしておくわ。」
「じゃあ、俺は…。」
することなくね?
「じゃあ、この町のことを知っておきなさい。私もあんまりこの町のことは知らないから。」
…。
「わかった。」
俺達はそれぞれの目的を果たすために、別れて行動するようにした。
「二人は多分俺に気を使っているよな。」
申し訳ないけどこればっかりは…な。
会話したのも一瞬だったし、親しいとは言えない関係だったけども、顔見知りとは言えただろう。
「それよりも怖かったのは、危うく人を殺していたかもしれないところなんだよな。」
人を殺す実力ならあると思う。俺が持っている能力は普通に強いし、暗殺向きな気がするからだ。
"抜刀術"は瞬間の火力においては、完璧だし、魔法を持っていれば遠くから狙撃も出来る。あまりにも遠かったら出来ない可能性があるが。
"閃光"を使えば戦力を奪うだけではなく、殺すことも出来るだろう。
何よりも"相転移"は別格だ。流石神様からもらった力だけのことはある。
視界に入っている敵をいつでも殺せるようなものだ。
そうなのだ。今回は相手との実力の差が大きかったから、手を抜くことが出来た。
人数では圧倒的に負けていたが、連携もとれていないし、個々が集まったという感じでまとまりもなかった。人数で勝っていたからか、慢心もしていたんじゃないだろうか。
でも、ミカは勇者だから狙う人は少なくはないだろう。
俺も"姫"とかいう人から狙われているらしいしな。
教われたら、俺も全力を出すだろう。そしたら、勢い余って殺してしまうかもしれない。
そう考えたら寒気がして、これからのことが心配になったのだ。
皆で合流して宿に入った。
「いらっしゃい。宿泊?食事?」
宿の主人かな?恰幅のいいおじさんが出迎えてくれた。
「宿泊です。三人で。」
「部屋はどうする?二部屋か?三部屋か?それとも一部屋にするか?」
おいおい、何笑いながら言ってんだよ。
「三部屋でお願いします。」
ただ一緒に旅をしてるだけで、そんな関係じゃねーよ!
「はいはい。朝の六時、正午、夕方の6時。この前後一時間なら、いつでも食事は出せるからね。それを逃したら、外で食べなさい。」
「わかりました。」
三人で話し合いをする。
「馬車はちょうどなくて、あと1ヶ月くらい待つことになりそうね。勿論早くなることも遅くなることもあるわ。」
1ヶ月か。長いようにも感じるが、この世界なら需要は高そうだしな。そんなものなのかな?
「だから、ここで1ヶ月くらい過ごすことになるわね。」
「なあ、ミカ。ちょっといいか?」
話し合いが終わったあと、俺はミカに声をかけた。
「ちょっと暗い話なんだけど…。」
ミカも顔を引き締める。俺がずっと空元気だったってことを気づいてたんだろうな。
「何かしら?」
「ミカはさ。…。」
どういうか。いや、単刀直入に聞こう。
「ミカは必要に迫られたら人を殺せるか?」
「勿論よ。」
…そうだよな。
「この世界に安全な場所なんてない。その原因は魔獣や気候によるものもあるけど、人が原因であることも多いわ。」
「ああ。でも、俺には人を殺す覚悟が出来なくてな。」
「私だって、覚悟は出来てないわ。でも、その時に出来る最善のことをする。そして、後で散々後悔するわ。死んでしまったらその後悔すら出来ないものね。」
「そっか…。因みに誰かを殺したことは?」
聞いてしまってしまった、と思ったが、聞かないといけないことでもあるような気がした。
「私はね。あるよ。」
特別回以外は基本的に主人公目線でいきたいと思います。
もしかしたら三人称になるときもあるかもしれません。
今更ですが。
読んでいただき有り難うございました!
評価等よろしくお願いします!