罪状
また短いです。
騎士団の人が三人来てくれた。
事情聴取をした後に二人で盗賊達を連れていき、一人が残って俺達に事情を話すそうだ。
正直聞きたくなんてなかった。
人を襲う行為をしている人に同情なんてしたくない。
それでも…聞かないといけないと思った。自分が救おうとしている世界のことをもっと知らなければならないと。
どんなに暗い部分だとしても。
騎士団の人達が作業をしている間、俺達は三人で少し話した。
「ミカ、こんなことって多いのか?」
「そう…ね。帝都はね、しっかり取り締まってるから少ないのよ。でも、地方になってくると作物が取れなかったら、一年の収益のほとんどがないようなものだからね。自然と治安が悪くなったりしていくものよ。」
どんなにいいものを作っても売れなきゃ金は入らないもんな。
「税は収穫高に関わらず一定だしね。まあ、税自体は少ない方だとは思うけどね。パンドラが目覚めるときには魔獣も活性化するのよ。それだけに収穫もばらつきが出てね…。」
「そっか…。」
「多分あいつらもそうなんじゃないかな?分からないけどね。」
「……どうにかならないのか?」
「その税だって無駄使いしている訳じゃないのよ。ちゃんと真っ当な使い方をしているわ。それだけに不正をして、自分だけ得をしようとする人を私は許さない。」
多分彼女が言ってるのは官僚の方だったんだろうが、俺にとってはおっさん達のことも指しているように感じた。
「では、囚人を連行します!」
「よろしくお願いします。」
彼等は連れていかれた。
「彼等はどうなるのでしょうか?」
人を襲ったんだ。それだけの罰が待っているだろう。
「それは貴方方が決めることではないですか?」
騎士団の人は不思議そうに俺の質問に答えてくれた。
「彼等はほとんどが初犯でしたからね。」
聞いたところによると、被害者が加害者の罰を決めていいらしい。
複数が犠牲になったら、全ての被害者の意見が採用される。
でも、それなら…。
「それだと、犯罪者がほとんど死刑にされるんじゃないか?」
それはきっと社会にとってよくないことだろう。やむを得ず、犯罪を犯した人もいるだろうし、魔が差した人だっているだろう。勿論、無罪って訳にはいかないが更正の余地はあるはずだ。
「はい。ですので、彼等に事情を聞いてそれを被害者に話すことで同情を誘い、罪を軽減させるのです。事情聴取と言うのも、加害者のことを聞くと言うのが多いですね。魔道具を使っているので、嘘はついていません。それは保証します。」
なるほど。それでいいのか?と思うことはたくさんあるが、被害者の気は済むよな。
「では、彼等の話を始めさせていただきます。」
……。
話は済んだ。
大体があまりに貧乏だとか言うことで犯行に及んでいたが、楽をするためという人もいたが、やはり気になったのは、おっちゃんのことだった。
おっちゃんには娘さんがいたらしい。妻はまだ若い頃に魔獣に襲われてなくなったらしい。
おっさんは農業の限界を感じ、昔興味を持ってた魔道具作りを始めることにしたらしい。
これで新しい活路を見出だすことが出来ればと。
しかし、わからないことはあまりにも多すぎるにも関わらず聞ける人はいない。
仕方なく帝都に行って、比較的簡単そうな道具を幾つか、選んで村に戻ったらそこにあったのは魔獣に襲われて崩壊した村だった。
今も娘は見つかってないらしい…。
「可哀想ですよ!実際に被害は受けていないんですから、軽い罪にしてあげましょう。」
「私はどっちでもいいわ。レオンが決めていいわよ。」
二人の意見は擁護と白票か。
「軽い罪ってのはどれくらい何ですか?」
「そうですね。これだけのことですから…五年ってところでしょうか。」
「そうですか。有り難うございます。」
俺の意見は…。
彼等には十五年牢に入っててもらうことにした。
してしまった事の罪は償うべきだと思う。じゃないと、彼等は本当の意味で許されないし、救われないから。
それでも、甘い方かもしれない。
なぜなら、牢の中なら今よりいい生活なんじゃないかな?と思うからだ。
本当に辛い世界だ。
おっちゃんが風呂場に居たのは、犯行をするために決意を固めるためと、ターゲットの選出です。
見た目では弱そうだし、精神もあんまり育って無さそうな
主人公が標的にされたんですね。
読んでいただき有り難うございました!
評価等よろしくお願いします!