盗賊
前回、更新したときまだ五万文字いってませんでした。
お詫び申し上げます。
サブタイトルがネタバレすぎる。
「じゃあ、今日の予定をおさらいするわよ。」
ふむ。
「今日の予定は歩くことね。次の宿泊地までよ。予定通りに着けば四時には着くわ。」
予定も何もねーじゃねぇかよ!
「昨日と何も変わらないじゃん!」
「っていってもね。何もする事ないしね。言っとくけどずっとこんな感じよ。」
ええ…つまんね。
「まあ、急いで帝都に行かないといけない理由もないしね。」
チェックアウトを済ませると三人で歩き始めた。あんまり話すことはないので、無言の時間が続く。
うーん。ちょっと気まずいな…。
俺は集団で話してるときに突っ込みを入れたり、盛り上げることなら得意なんだけど、話を始めるのは苦手なんだよな。
かといって、静寂も好きではないし…。
よし!
「なあ、ミカ?俺達が帝都に着いたら何をするんだ?」
「さあね。私もあんまり聞いてないわ。でも、今回はパンドラの出現が少し遅いみたいね。いつもの周期ならとっくに現れててもおかしくないのに…。」
「ふーん。パンドラってどんなやつなの?」
「おっさんらしいわよ。まあ、噂みたいなもんだし、信憑性はないけどね。」
おっさんか…。強そうだな。世界の半分を貴様にやろうとかいってきたらどうしよう?
…実際貰っても困りそうだけど。
「あとは、他の二つの大陸とのいざこざに巻き込まれたりもするわね。」
「獣と悪魔だっけ?」
「そう。いつも獣王は喧嘩好きだし、魔王は世界の支配を企んでるし、やりずらいったらありゃしないわよ!」
「人間は何にもしてないのか?」
「…どうかしらね。」
その言葉には何か含みがあるみたいだった。でも、きっと彼女はそれが嫌なのだろう。それだけ、彼女は辛そうな顔をしていた。
それからはずっと静かにしていたが、ミカが急に止まった。
「囲まれてるわね…」
「囲まれてるって魔獣か!?」
「いや、もっと厄介だし対処に困るわ…。」
「それって!」
俺の疑問に答えてくれるように周囲から数人の男が現れる。
「持ち金と女を置いていきな!そうすれば全員の命だけは助けてやる!」
やっぱりこういうやつは何処にでも居るものなのか?何で人を襲ってまで…。
静かに超感覚を発動させ、周囲の人数を確認する。
いち、に、さん…、全部で12人か。
よってたかって人に暴力をふるって、物を奪っていく…。
それじゃあ、化け物と何も変わらないじゃないかよ。
「なあ?これって盗賊ってやつか?」
「ど、どうしますか…。」
「どうするもこうするも戦うしかないでしょ。従ったら何されるかわかったもんじゃないし。」
「勝てるのか…?」
「楽勝よ?」
決着は早々についた。
俺が四人、ミカが六人、梨花が二人だ。
勿論多少のケガはあるが、誰一人として、死んではいない。
「私達はこの世界でもかなり強いのよ?まず魔法が使えるって時点で、使えない人はほぼ勝てない。私は騎士団のやつらにもひけをとらないくらいには聖剣を持っていなくても強い。そして、レオンは私よりも強いかもしれない。それも聖剣を持った。そんな人員が揃っていれば少しくらい人数に差があっても勝てるわよ。」
ミカが前の宿泊地で騎士を呼んで来るらしい。盗賊を縛りつけた後、俺と梨花が留守番する事になった。
ミカがかなり速かったことにはとても驚いた。
あんな格好してるのに、なんであんな速いんだよ…。
盗賊を見張る目的で近づいたら、知ってる顔を見つけてしまった。
「おっさん…?」
そこで俯いていたのは今朝見かけた扇風機を作ったおっさんだった。
「ああ?」
「おっさん。俺だよ。朝会っただろ?扇風機作ったって言ってたじゃんかよ!何でこんなことしてんだよ!」
「…。」
「何か言えよ!」
尊敬してたんだ!会って五分くらいしか経ってなかったけど、職人の技術が進歩してることを知れたし、そんなことが出来るなんて、素直に尊敬してたんだ!なのに何でこんなことを!
「わからねぇよ!強いやつには!」
「!?」
「弱いやつはな…もっと弱いやつから、奪っていかないと生きていけないんだよ…。」
「でも、だからって人を傷つけていい理由にはならないだろ!」
「誰だって自分の命の方がだいじだろ!」
「…凄いって本当に思ったんですよ。地味かもしれないけど、人を少しでも幸せにしようと、楽にしようと、努力する人は…格好いいんですよ。」
おっさんの目には地面しかうつってなかった。
もう話すことはなかった。
「翔君…。」
「ごめん。一人にしててくれないか…。」
それからは、ミカが来るまでずっと一人だった。
身の回りにはさまざまなものが溢れてますね。
しかし、その全ては誰かが作ってくれたものなのですね。
本当に尊敬します。こんなものどうやって作ってんだ!?何て思うことざらですもんね。
皆さんは物を大事に出来てますか?
読んでいただき有り難うございました!
評価等よろしくお願いします!