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3.せんぱい4

遅くなってしまいました(>_<)

更新まだかな~とのぞいてくださった方、ごめんなさい。

今日も読んでくださって、ありがとうございます(^O^)

「なんか、かっこいいっすね! 」


 光輝は、膝を打った。


 あたしも、今までは女性的で優雅なイメージを持っていた。厳しい環境におかれている孤高の姿を思い浮かべる。


 

 富士山て、穏やかな気候じゃないんだ。そういえば、山の天気は変わりやすいっていうもんね。


 あたしも、真弓先輩と同じような感じに思ってたけど。

 きっと、実際登ると、急だろうし、ごつごつだろうし、風も強いし、寒いし。

 自然って、厳しくて、力強い!


 遠くから眺めてるだけだと、分からないけれど。日本一の山、富士も毎日戦っているんだと思うと、親近感が湧いた。今までより、もっともっと好きになった。


「あ、俺、OBの白羽しろばね先輩に言われたことを今思い出したんすけど、青空って、きれいじゃないですか。


 それは、上空で、強風が走って戦っているからだって。


 その風が、戦うのをやめたら曇るんだよって。


 サッカーも同じなんだ、戦っていく中で心身ともに鍛えられるし、上達もあるし、努力し続ける姿を通して、信頼される自分を作っていくことにも繋がるし、自信にも結びつくんだって。

 どんなに上手くても、挑戦という戦いをやめてしまったら、心に張りがなくなるし、たるんだ曇り空のような気持ちになってしまうよって。だから、慢心するなって言われました」


「さすが、白羽先輩ねー、サッカーだけじゃなくて、生き方にも通じるよね」

 光輝は、白羽先輩から目をかけらているので、きっと深い話もしているんだと思う。

 素敵な、心に染みるお話だな。


「深いな」

 村中くんがしみじみと言った。



「あ、そうそう的場くん、今回は、ちゃんと、お手洗い付きバスだったから、安心したでしょ? 」


 真弓先輩は、突然話題を変えた。ちょっといい話をしちゃったぜ、という顔をしていた光輝が、その言葉に「うぐっ」と詰まった。


「かんべんして下さいよお」

 口の中にご飯をためこんだまま、がっくりとうなだれる姿は、みんなの笑いを誘った。それから渋い顔をして、ゆっくりもぐもぐと口を動かして、ご飯をごっくんと飲み込んだ。


「昔のことじゃないっすかあああ」


 光輝は情けない声を上げ、後ろに手を着き、天井を仰いだ。


 前に、練習試合の地へ向かうため、今回のように高速道路を利用したことがあった。

 今回、1号車はトイレが付いていないバスで、2号車は付いているバスだった。

 前の遠征の時も、1台だけトイレ付きだった。


 遠征に行く途中、光輝は、お手洗いが我慢できなくなったけど、運悪く、トイレなしのバスに乗車していた。限界だったらしい光輝は、2台のバスに、高速上で路肩に止まってもらい、トイレが付いている方のバスに駆け込んだ。


「昔ってほどでもないよ。あの時は、次のサービスエリアまで、もうちょっとだったのにな」

 一緒の席に座っていた1年の村中くんも、黒フレームのメガネの奥から、おかしそうに笑った。


 そう、あの時は、次の休憩地点まで、あと少しだったんだよねえ、なのに。

「あは、的場くん達が入部して、すぐの頃だったでしょー。

 まだ、1年生の名前と顔が一致してない時だったから、あれでみんな的場くんのことを、覚えたんだったよねー」


 光輝は、口を尖らせている。


「真弓先輩もみんなも、食事中に、お、げ、ひ、ん!」


 光輝、完全に拗ねちゃった。

 あの時のことは、憐れっていうかご愁傷様ですっていうか……。


「やだ、もー、怒んないの。

 今では、引退した上の先輩達も、的場君は根性がありそうだし、上手くて目立ってる奴だって、成長を楽しみにしてるみたいよ」


「ま、じっすか!」

とたんに光輝は、ぱっと笑顔になった。でも。


「さあねえ」


 この、真弓先輩が冷たく放った一言に、光輝は、大袈裟にがくっと、こける真似をして、それから溜め息をついて、またまたうな垂れた。光輝の表情は、くるくる変わる。


「持ち上げといて、落とすんすね」


「ばーか、真弓先輩に翻弄されすぎ」


 村中くん、確かにその通り。


 子どものころから、なぜか光輝って、こういう役回りなんだよね。



まだまだせんぱい出ずでした……。

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