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11.永遠普遍2

 ナサケナ~イ声で、あたしに助けを求めて来た。

「梓あ、助けてくれ……」

 光輝はげんなりしている。だけど、制服を忘れるなんて、そんなことってある? ある意味、尊敬する。だって、ありえないよ。これはもう、しばらくは語り草になるよ。

 そう言うと、じとっと睨まれてしまった。もう、言い返すのも疲れたらしい。


 思い出して、笑いそうになってしまった。

 でも、我慢。

 隣で、バスの心地良い揺れに身を任せて、せんぱいが、気持ち良さそうに眠っているから……。


 なんて邪気のない顔だろ。いつもあたしに見せる、あの悪賢い顔とは大違いだね。いつも、こんな守ってあげたいくらいの姿だったらいいのに。


 完全に爆睡状態だ。何があっても起きなさそうに見える。特に1週間練習の中心になってたこの列の先輩達は、すっごく疲れてるんだろうな。


 せんぱいのさらっとした髪が、あたしの視界に入って来た。

 せんぱいは、腕を組んであたしに寄り掛かってる。

 ど、どうしよう。

 うれしいけど、ケド、でも、こんな無防備にあたしに寄りかかってる状況は、ちょっとまずいよ。みんなも寝てるから見られてないかもしれないケド。


 せんぱいは真ん中の席できっとみんなからよく見えちゃうだろうから、あたしは起こすことにした。こんなにぐっすり寝てるのを起こすのは気の毒だけど、こんなに密着してるのは、危険。

「せんぱい」

 

 そっと揺する。

「せんぱい」

 目を開けたら、ぼうっとしてるようで、子どもみたいな顔。身体を戻し、また気持ち良さそうに寝始めた。なんだか微笑ましかった。いつもは絶対見れない顔。

 相当疲れてるんだろうな。起こしちゃってごめんね。こんな顔まで見れちゃって、本当に貴重な1週間だったなあ。せんぱいのいろんな面を見て、今までよりもますますに魅せられているあたしがいる。

 すっかり目が覚めちゃった。

 テレビからは相変わらず、のん気な映像が流れてる。




 この一週間は。

 なんて長くて。

 なんて短かったんだろう。


 みんなとの間に生まれたあの一体感は、活気があって、とても気持ちのいいものだった。

 この部に入って良かった。マネージャーになれて、良かった。そのおかげでみんなに出会えたんだもの。

 あたし、ちょっとは成長できたかな。みんなをうまくサポート出来てたらいいんだけど。


 遠矢は、試合に出て何か変わった。ちょっぴり逞しくなった。

 人は短い間でも、すごい勢いで成長できるもんなんだね。

 遠矢を見ていてそう思った。


 あたしも。

 あたし自身も。

 成長できたのかはわからないけど、何かが少しだけ変わった気がする。ちょっぴりたくましくなったような充実感がある。少しは大人になれたのかなあ。


 あたしはマネージャーだけど。


 あたしもチームの一員なんだ。


 今まで別に、みんなとの距離を感じてた訳じゃないけど、仲間なんだ。

 あたしも一員なんだ。

 

 そんな思いが強くなった。


読んでくださってありがとうございます。



つたない物語にここまでお付き合いいただき感謝は尽きません。


残り2話となりました。完結を迎えるのは、嬉しいような、ちょっぴり寂しいような複雑な気分です。

何はともあれ、皆さんに最後まで楽しんでいただけたら幸いです(*^_^*)


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