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10.キックオフとその夜6

 ついに、ついに!

 終わりだっ。

 いよいよ、打ち上げのスタート~!!


 6日目の、夜。


 最初はどうなることかと思ったけど、気が付けば、これで練習は全部終り!

 試合は、2-1で、1年の二人も活躍できたし、せんぱいも、鮮やかなシュートを決めたし、良かった良かった!ほんっと~に、良かった!!

 あたしは、お風呂に入ってから、ウキウキで食堂のいつもの席に座った。光輝も、お風呂に入ってさっぱりとした顔だった。

 頭の中で手品のリハをしているみたい。ぶつぶつとさっきから呟いて、両手をもぞもぞ動かしていた。


 緊張するだろうなぁ……。


 村中くんは、食堂の入り口付近で、最後の準備をしているらしい。1年3人で何かをやるみたいだ。

 あたしの場所からは、姿がたまにちらっと見えるけど、何をしようとしているのかは聞いてないので、楽しみ。

 遠矢は、紙を見ながら、やっぱり仲間で打ち合わせをしている。歌を歌うみたいで、紙には歌詞が書いてあるようだ。小声で歌っているのは、AKBの歌!

 どんなことをするの~!?あの遠矢がAKBって、気になる。面白そう!


 1年もだけど、先輩方も、数人で集まって最後の打ち合わせをしていた。どつき合ったりしている先輩もいた。漫才するのかしら。


 どの顔も、生き生きとしていて、楽しそうに笑顔がはじけてる。

 つらい合宿を乗り切った達成感や、安堵感など、それぞれにいろんなことを感じているんだろうな。

 あたしも。

 初めての合宿に、緊張のしっぱなしだったけど、みんなのおかげで今日まで来ることが出来た!すばらしい仲間達と出会えて、最高の財産が出来たよ!


 みんなの出し物は、食堂の真ん中の通路か、上手側でやることになった。

 場所は広く空けてあり、2年の先輩達やOBの先輩達も、くつろいで思い思いの場所に座り込んでいた。


 さっき、監督達は、あいさつ後に退席された。監督達がいると、みんなが気兼ねして、打ち上げが盛り上がらないからと、気を利かせてくださったみたい。

 確かに、監督達がいると、堅~い雰囲気なんだよね。


「ちがうのよー、ここだけの話、おじさん達は飲みに行きたいだけ」


 おじさんって、可哀そうな。確かにおじさんもいるけど、お兄さん達もいるのに。

「そうなんですか、真弓先輩」

「そーそー。あ、始まるみたいよ」


 せんぱいが立ち上がり、パンパンと手を叩くとざわめきは止んだ。

「みんな、今日まで本当にお疲れ! 」

 うおー!と2年生の先輩達が吠え、拍手が起こった。その波は1年にも広がり、万雷の拍手となった。

 肩を叩きあったりして、お互いの健闘を称え、あちこちで歓声が上がった。

 せんぱいは、みんなを見渡した。せんぱいも感動しているみたい。


「特に1年、初めての合宿でいろいろと大変だったと思うけど、最後までよくがんばったな。

 今日は長い話はなしだ。

 弦巻、後は任せた」

 弦巻先輩は、待ってましたとばかりに勢いよく立ちあがった。

 午後、病院に行って、薬をもらったら、すっかり元気になったみたいで、本当なら部屋で寝てないといけないんだろうけど、一人で寝てるのではかわいそうだと、監督の配慮で、特別に参加が許可された。監督、怖いだけじゃなく、話がわかる!


 そのかわり、弦巻せんぱいは、夕食を食べて夜9時には部屋に戻るように言われていた。

「それじゃあみんな、麦茶を持て! はいはい、立つ!

 よっしゃあ、合宿お疲れ~! 乾杯!! 」

 あちこちで、乾杯!の声とともに歓声がおこった。音が聞こえなくなる程の大きな声だった。

 やっと今日の夜を迎えられた喜びで、みんなの気持ちが爆発したようだ。

 そう、あたしも。

 

 みんなに負けないくらいの大きな声で、グラスを掲げ、かんぱ~い!と叫んだ。

「はいはい静かに、静かに、聞け、俺の話を! 」

 弦巻先輩は、ぱんぱんぱんと手を叩いた。

 そして、白い紙をぴらぴらと振りかざした。

「このメモに、お前らの出し物が順番通り書いてあ~る。


 さっそく始めるけど、女子には見せられないような、しょうもなさそうなのが、いつもより多いな、今年は!

 まあいいか、それじゃ、1番から、準備はいいか? 」

食堂入り口のところで、1年が大きく両手で丸を作った。


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