ギルバートが笑った
大国の暇な王子ギルバートが、悪事に飢えた友人のバークにそそのかされて、制圧した国の王子2人を生け捕りにし、その身柄を自分の手の内にした。
特に兄王子のアランに強い興味を持った。
しかしアランは、何を命じても反抗的な態度をとらず、終始従順である。
だんだんと、つまらない思いをしていたところ、またバークがやってきて、代わりに弟王子のサンと遊んでみたら、と言った。
なるほど、よくみてみると、弟のサンもかなりの美少年。
そうであるならば、とちょっかいをかけようとしたところ、これまで逆らう態度を取ったことのなかったアランが「我が弟にまで手を出すとは耐え難き蛮行」と自らの立場をわきまえず感情を露わにする。
内心では面白いものを発見した、と思ったが、「ふん。お前に指図を受ける筋合いはないその手をどけよ」と軽くあしらえば、アランは激しく怒った。それでも意に介さず、サンへのいたずらを続けていると、今度はなんと涙をこぼして許しを請うではないか。
このような反応をみせるなんて、と驚いてしまい我ながら人の言うことを聞くなど珍しいことではあるが、アランの願いを聞くことにした。
「わかった、弟には手を出さぬ。その代わり、お前も私以外のものと交わるな」と命じると、アランはしばし逡巡するも、必ず弟には危害を加えないでほしいと念を押して受け入れた。
どのようにして泣かそうか、でもたっぷり甘やかすのもよいな、ああああああ、あの激しい感情をどのようにして引き出そうか。
楽しいなあと緩む頬もそのままに、私は野性鹿のごとく美しく引き締まったその体を押し倒した。
のしかかられた衝撃に、アランは息を詰めたがすぐに力を抜くと、その濡れた瞳で私の顔をみた。