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夢 の 中
「夏休みはどこに行くの?」
ふと、目の前に男性の顔が映る。隣の髪の長い女性の、顔が曇って見えない。
誰?誰といるの?
必死で目を凝らすと、女性の顔がはっきりして、何と自分の顔になった。
そんな訳はないでしょ!
あなた、また嘘をついてるの?どうして?
嘘…… 嘘…… 嘘ばかり…… もうやめて!
絶叫して、目が覚めた。
ベッドの前に置いた鏡の中に、ぼさぼさ頭の寝起きの私が映る。そう、これが私の姿。彼の隣にいるわけもない。
……またか。
毎日のように見る、幻想。これが日課となってしまった。