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久しぶりの……

 絡繰り武者さんに言われて知りましたが、由楽のキャラは「都会のト〇&ソーヤ」に出てくるキャラをパクった訳ではありません。絡繰り武者さんの話じゃ名前&性格殆ど同じだそうですが(性別のみ逆)、作者は「都会のトム&〇ーヤ」は全っっっく読んだ事が無いです(リアルじゃ毎日本を読んでるくせに)。と言うか元ネタは自分が書いてる別作品の「2Dのチーター」に出す(つもりの)ユラクと言うキャラなので、被ったのは偶然です、ハイ!

 ……そこら辺を踏まえた上で読んで下さい。

「――――っ!?」


 急に頭を殴られたかの様に意識が乱暴に覚醒し、痛む頭を押さえ悶絶する。数秒たって回復した頭から手を離し、妙に息苦しいなと思いつつ目を開けて、


「……な、」


 目の前に広がる青い光景に、素っ頓狂な声が漏れ、ついでと言っちゃ何だけど肺の中に溜まっていた空気まで漏れる。

 詰まる所、何故か()()()()()()街にいた。なぜ気づけなかったかと言うと、


 ――何で水の感触がしないんだよ!?


 ……と言う状況だからである。視界は水中にいると主張しているのに、空気中に立っているのと同様の感触しかしない。

 内心で叫びつつ地を蹴って遥か上に見える海面へを浮上する。早く早くと急かす気持ちを抑え付け、やっと到達した海面から顔を出し、立ち泳ぎ状態で周囲を確認した。とりあえずどこか地面に座って状況確認しようと思ったからなのだがーー


「……うそ」


 ……目の届く範囲ぎりぎりのかなたの右方向に、うっすらと陸地らしき物が見えるのみ。陸地に行くなら少なくともあそこへ向かわなければいけないらしい。つまり、


「……これ、遠泳しろってやつ?」


 ・・・、と数秒呆然としてしまってから、うええー、とうんざりした。


 ――……体力無いんだぞ、僕……。


 でも地面に座って落ち着きたいのはやまやまなので、仕方なく泳ぎ始める。水の中にいる感覚が無いのと、25m以上泳ぐのが久し振りすぎて途中数回溺れかけた。しかも水を吸ったのだろう、着衣泳状態なので半端なく服が重い。

 ……数十分後、海水を飲み込み、ゲホゲホ言いつつ這い上がった地面を頼もしく思いつつ大の字で寝転がった。寝転がったまま海とは反対の方を見ると、此処はアマゾン川の周辺ですか~? と言いたくなる様な原生林が広がっている。少なくとも、人が整備していないのは確実。


「……ハァ~……」


 視点を上げ、()()空を見上げ、取り敢えず此処に放り出されてからずっと思っていた一言を吐き出す。


「……またかよ……」


 ◆◇◆◇

 ……と言うのも。以前、()()()()() をした事があるのだ。

 ――この現実と言う物は、実は気付かないだけで幾つものパラレルワールドが寄り集まって成り立っている。

 『パラレルワールド』、と言うと、「ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界」とか、「実在しているか定かでない、存在を確認できず干渉できない不確かな物」とか、「もしも、の世界が具現化した世界」等々言われているが、実際実在しているし行き来もできる。

 そして、本来なら平行世界の存在に気づかないまま一生を終える筈の人が、平行世界に飛ばされる事だってあり得る。今回がいい例だ。


「……最近なかったからおさまったと思ってたんだけどなぁ……」


 そう呟きつつ持ち上げた右手をグッパッと閉じたり開いたりして感触を確かめる。感覚的には自分の体と同じなのだが、これ、自分の体じゃないのだ。

 この平行世界(仮に世界Bとする)に元々いた「柚崎由楽」(もしかしたら柚崎由楽と言う名前じゃないかもしれないが)の体に、自分の世界(世界A)の「柚崎由楽」の精神を突っ込んでいる、と言う感じだ。

 此処に来る直前に垣間見たあの円。

 アレは『平行な(パラレル)虫食い穴(ワームホール)(大抵略してパラワール)』と言い、他のパラレルワールドに人が飛ばされる際、必ず出現するトンネル的な物だ。通過している間に、パラワールは飛ばした者の精神を飛ばす先の人間の肉体に突っ込んでいる。元々この肉体に宿っていた精神は、……ドウナッテルンデスカネー?

 パラワールを通過しなければ別のパラレルワールドに移動する事は出来ないし、逆に言えば、パラワールが出現すれば別の平行世界へ飛ばされる事確定な訳だ。

 去年の夏休み初日、初めて別世界に飛ばされてから。戻っては飛ばされ、戻ってきては飛ばされ……を繰り返していた。夏休みが終わる直前まで続いていたのがぱったり止んだので、もう飛ばされる事はないのかと思っていたのだが、甘かったらしい。

 

「……飛ばされまくるのも、問題なんだけど……」


 自分にとっては、()()()()()

 それを差し引いても、パラワールで飛ばされると言う事は、問題が多いのだ。

 世界Bに飛ばされている間は、世界Aの時間は止まる。ものの、実質的に本人は2~3ヶ月以上(世界Aに戻る条件を満たすのにそれぐらいはかかるのだ)を世界Bで消費する事になるので、戻った時に、認識のズレができてしまう。

 しかも一度飛ばされると、次から次へ飛ばされるようになる――自分の様に。

 更に、飛ばされまくっていると、来るのだ――    が。

 他にもそんな事が大量にあるので、咄嗟に2人を突き飛ばしたものの、結局、突き飛ばした2人の足下にもパラワールが出現していた。つまり、最初から3人とも飛ばされる事確定だったらしい。

 ……2人はパラワールが出現しているのに気付いたのだろうか――、


「――あ~……、大丈夫かな2人とも……」


 ……とても、と~っても不安になってきた。咲は行動力がある割にバカ(本人に言ったら殴られたけど)だし、終は終で中2病(もう中3だから中3病かもしれないが)だ。色々分からないまま暴走してそうだ。

 そもそも、パラワールをこじ開けていないのに別の平行世界に飛ばされる理由は『飛ばされる先の世界の因果律が崩壊しかけていて、その埋め合わせとして呼ばれる』しか無いので、暴走して逆に因果律を壊されると困るのだけれど。世界Aに戻るには、面倒くさい条件をクリアしていく必要があるし、2人とも、飛ばされるのは初めての筈だ。どうにかして連絡しないといけないだろう――とは言っても。


「……連絡方法無いしなぁ……」


 なにせ世界が違う。携帯の電波自体届かないだろうし、届いたら届いたで怖い。まぁ、世界Bの自分が登録していた相手からならかかってきてもおかしくはないが――。

 ――と思っていたので、いきなり左腰のポケットから、

 ピリリリリリリリリイイイイィィィィィン……!

 と電子音が鳴り出した時は心底ビビった。以心伝心? いや違う違う。

 この世界での相手だろうとポケットをまさぐって、


「……あれ?」


 携帯が2つある。この世界のーーつまり世界Bの自分が使っているのであろう物(世界Aの物よりハイテクっぽくて何が何だか状態。以後Bと呼ぶ)と、()()()()()()使()()()()()()(以後A)。しかも、鳴っているのはAの方だった。

 何でこれがここにあるの!? と驚きつつスマホの液晶に表示されている名前を確認して、


「……咲!?」


 更に驚愕。相手は別の平行世界にいる筈の咲だった。ひっぱたく様に通話ボタンを叩き、電話にでる。


『ゆーくーん!!』


「咲!?」


『あ、でたでた。もー、急にどっか行っちゃダメでしょー!!』


「い、いやどっか行った訳じゃ……いやまぁ咲からすればどっか行った様に見えるのか――って、その反応って事は……咲、今何処にいるんだ?」


『ん? 家の近くの公園だよ~(`・ v ・´)vブイッ いやぁゆー君も終ちゃんも急にいなくなったから、坂城ちゃんは怒って帰ったのだ!!o(`ω´*)o』


 ……###。特に会話なのに顔文字がついてる様に話す所がウザい。 ――しかし、咲は気がついてないんだろうか。飛ばされた事に。それとも、本当は飛ばされてない……?


「……えと、咲――」


『そしたらあら不思議! 何とお母さん達はヒキニートになっていたのだよ!!』


「……え?」


『そしてさっき……ちゃんに会ったのだけどネー、……ちゃんは……ちゃんで近寄りがたい性格だったのにも関わらず、何でか気さくになってたのだ! …… どういう事でっしゃろこれ?』


 前言撤回、やっぱり飛ばされてた。興奮しているのか何なのか、早口で、咲が会ったと言う人の名前が聞こえないのだが……。……この様子じゃ終に電話しても(繋がると言う確信は無いけど)こんな様子かもしれない。


「あー……うん、僕みたいに変な所へ飛ばされてないのは良かったけど……咲、状況理解してるの?」


『してる訳ないじゃん(´º∀º`) 何か周囲の性格が変わってるっていうか、入れ替わってるっぽいのは分かるけど』


「……それ、逆転してるのほうが正しいんじゃ?」


『そうそれ』


「……うーん、咲の飛ばされた世界は【性格逆転】かぁ」


 話を聞く限り、咲が飛ばされた平行世界は、世界Aに【住んでいる人の性格が逆転】と言う条件を足した世界らしい。……でも、


「……困ったな、どうやってフラグ立てるのか分からないぞ……」


 そう呟く。【性格逆転】なんて、どういうフラグ――世界Aに戻る為にしなくてはいけない行動条件――を立てなければいけないのか、どんな問題が発生して るのか分からない。 どうしよう。 咲はおそらく状況を理解していない。精々「あれ? 何か皆の性格違うくね?」程度だ。咲がこの突拍子もない話を納得するように説得するに は、どう説明すればいい? 今回咲が巻き込まれたのは、自分が近くにいたのも関係していると思う。巻き込んだ以上、戻してやらないと――とそこで、不意に日が陰った。何気無しに上を向いて、


「……え?」


「naniwositerunnda」


 何故片言。いや片言じゃ無いけど。いや着眼点はそこじゃないだろう!


「う、うわああああぁぁぁぁ!?」


 目の前に現れた170㎝近い身長の――耳の代わりにエラがつき、手と足の指の間には水掻きがついている(一応人型の)()()が凄い怖い表情で 手を伸ばしてきて、咄嗟に体を右へ転がして擦り抜ける。が、その半魚人はこちらの動きに反応してまだ追ってきた。砂浜から離れる様に原生林に走りこむ寸前 海からザバァ、と言う水音がして目だけ向けると、半魚人がわらわらと水中から溢れ出てくる所だった。しかも何か足速いし――!?


『由楽? 何がうわああああぁぁぁぁなの(´º∀º`)?』


「ちょ、咲また後でかけ直す!」


 そう疑問の声を投げかけてくる咲に叫んで通話をブチ切り、追って来るその半魚人の手から逃げる。鬱蒼とした原生林の中をどこまでも、どこまでも走り続けた。


「――飛ばされて早々っ、追っかけられるとかっ、マジでついてない!」


 半漁人のビチャ、ビチャ、という(状況によってはホラーさながらの)足音が、完全に聞こえなくなるまで――。



 以上です。

 次話は……2月末ぐらいまで待って下さい。(リアルじゃ)受験真っ只中なので、正直書いてる暇がないです。

 他の作品を細々と投稿してるかもしれないので、1か月に1回位には覗いて下さると嬉しいです。

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