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俺の宿命

作者: 三九

 俺の仕事は、荷物を預かること。

 それも主に、本や書類をだ。


 主人は子供だが、俺はそのために生まれてきたのだ。

 文句などあろうはずもない。


 そう、例え主人が、俺を枕代わりにしたり、踏み台代わりにしたり、敵に投げつけるための投てき武器代わりにしてもだ。


 荷物を預かることだけが、俺の仕事ではない。

 いかなるときも主人と共にあること。

 それこそが、俺の仕事だと思っている。


 だから俺は、この身が土に汚れようとも、刃物で切られようとも、はたまた満員バスで押し潰されようとも、主人と共にいられる、それだけで幸せなのだ。


 だが……


 最近、主人は俺を連れて行こうとしなくなった。

 俺を暗く狭い部屋に押し込め、俺ではない違う奴を従えている。


 どういうことだ。

 主人はもう、俺など必要としていないというのか。

 あの、共に過ごした六年間は、主人に何の感慨も抱かせなかったというのか。


 嫌だ、俺はまだ、あなたと共に居たいんだ!

 どうか、どうかもう一度、俺の手を取り、連れていってくれ!


 俺はただ、この暗い場所で待ち続ける。

 主人が、再び俺を使ってくれる日を。


 そんな日は二度と来ないと、心の隅で気付いていながら、使い古された傷だらけの俺は、押入れの中で夢を見続けるだろう。

 ゴミとして捨てられる、その日まで。




END

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― 新着の感想 ―
[一言] ランドセル? とても面白かったです また更新期待しています
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