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世界はいつまで経っても幸福で。  作者: sHiRal


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幼稚園

多分、ノンフィクションではありません。きっとそう。

幼稚園生の頃は、まだまだ活発でずっと走り回れるくらいの体力がある、至って普通の生意気な子供でした。組の中でも、友達は多い方、というより組全員が友達だと言い張っていたと記憶しています。

しかし、その中に一人だけ友達ではない子供が居ました。

身体が弱く、あまり教室に入れない、小さく、白く、細い女の子でした。僕たちが外で遊んでいる間に、教室で必要なものを取り、別室に戻る。友達になるタイミングというものがそもそもありませんでした。

一時期、その女の子が教室にやってくる時期がありました。

今思えば、先生から教室に行くように強く言われ、無理やりに連れてこられたのだと容易く想像がつきます。しかし、小さかった僕はチャンスだ!と思い、たくさん話しかけました。

場面緘黙症。

人生で最初に覚えた風邪以外の病気の名前です。

とはいえ、その頃から既にそういうものがあることはなんとなく理解していました。分かった気になっていました。なぜなら、僕自身が身体のどこが悪いというわけでも無いのに、定期的に病院に連れて行かれていたからです。診察されるわけでも、熱を測るわけでもない。ただ先生と話したらそれで終わり。

同じようなものなのかと、直感的に理解しました。

仲良く。仲良く。友達。友達。

ある時、その女の子が男の先生に手を引かれ、トイレに連れて行かれるところを目撃しました。入っていったのは男子トイレ。それも園児用ではなく、先生用の男性トイレでした。

しかし、馬鹿な僕でも記憶していた数の少ない幼稚園のルールの中に、“先生用のスペースに近づいてはいけない”というものがありました。そのため、生意気だった僕でも、自らルールを破ろうとするような野蛮な子供になる勇気は出ませんでした。


結局、その日以降、女の子とは卒園するまで出会う事はありませんでした。


翌年、一人の男の先生が幼稚園から居なくなりました。

何があったのかは僕は未だに知りません。

しかし、つまりは“そういうこと”なんだと思います。


僕の頭の中では今でも、

あの時の「女の子が、手を引かれる光景」が時々、呪いのように頭の中で流れています。

これから先もずっと、ただあの時の一瞬が、付き纏う。

それでも。今の僕だったとしても。“ルールを破る勇気を出せない小心者だ”と、“友達を守ることができない小心者だ”と、僕の左右で悪魔と悪魔が囁いています。


多分、フィクションではありません。きっとそう。

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