タイトル未定2025/11/21 20:55
barに合ったチョコのサンプルが、亮のもとに届いた。
亮はサンプルが届いたことを若菜に連絡して、マスターの店に行く打ち合わせをした。
若菜に連絡をした後、マスターにもチョコのサンプルが届いたことを伝え、サンプルを持って若菜と店に行くことを言った。
亮がチョコのサンプルを持って若菜を待っていると、若菜がやって来た。
肩を並べて夜の繁華街を、亮は若菜と一緒に歩く。
隣を歩く若菜を、チラ見した亮。
サンプルのチョコを口実に、マスターと二人だけで会えると思っていたのに。
大きめのバッグを肩に下げ、黙り込んだまま歩く若菜に亮はとまどった。
……どうしたのかしら?……。
そう思いながらも、何も話しかけることができないまま黙り込んだまま歩き、マスターの店にについてしまった。
店の前にちはると馬場が立っていて、亮は思わず声を上げた。
「馬場さん、友光さん」
「あれ~北神ちゃんと……」
若菜を見て戸惑う馬場に、若菜は名乗った。
「水田若菜です」
「そうだ!若菜ちゃんだ!」
「ぱっつん、どうしたのよ?」
ちはるの問いに亮は答えた。
「仕事で来ました」
「ああ、例のbarに合ったチョコを作るって言うのね。アタシには関係ないから、勝手にやってるわ。馬場、行くよ!」
ちはると馬場は、店の中に入って行った。
「私たちも、入りましょうか」
亮は若菜を促して、店の中に入って行った。
まだ時間が早いせいか、カウンター席の隅に男性客が独りいるだけだった。
先に店の中に入ったちはると馬場は、テーブル席に座って早くもオーダーしていた。
ちはると馬場のテーブル席を離れたマスターが、亮と若菜に気が付いた。
「いらっしゃいませ、お待ちしていました。こちらへどうぞ」
マスターは店の奥にある厨房に、亮と若菜を案内した。
厨房には、六十代前半の小柄で華奢な体つきの婦人がいた。
マスターは、婦人を紹介をした。
「こちら、料理人のたきこさんです」
「はじめまして」
たきこは、はっきりとした口調で挨拶をした。
「たきさん。水田菓子メーカーの秘書の北神亮さんと、社長の娘さんの水田若菜さんです」
亮と若菜は、揃って頭を下げた。
「お二人の噂は、聞いています。お近づきになれて、嬉しいです」
亮と若菜は、照れた顔になった。
「たきさんに、話はしてあります。ボクは店があるので、失礼します。落ち着いたら、参戦させて下さい」
そう言った七海は、厨房から出て行った。
マスターの後姿を、亮は唇を噛みしめてみつめていた。
店に戻ったマスターはカウンターに入ると、ちはると馬場がオーダーしたカクテルを作り始めた。
カクテルが出来上がると、ちはるたちがいるテーブル席へ運んだ。
「お待たせしました」
「マスター試作品のチョコを見ないの?」
「店を空にするわけにはいかないから、後で拝見します」
「ふ~ん。お腹空いちゃったから、何か食べるものがほしいな」
「少々、お待ちください」
マスターはカウンターから、メニューを手にしてちはるたちのテーブル席に戻って来た。
ちはると馬場は、早速メニューを眺めた。
「う~ん、どれも美味しそう!迷っちゃうなぁ」
「俺は、これ!」
「ああ、それも良いなぁ。じゃあ、私も同じもの!」
「かしこまりました」
ちはるたちのテーブル席を離れようとしたマスターを、ちはるは引きとめた。
「マスター!」
「はい?」
「この料理って、マスターが考えるの?」
「いえ、料理人が考えます。料理に関してボクは、ノータッチです」
「どんな料理人?」
「女性です。以前イタリアンレストランの厨房にいた方です。知人に紹介してもらいました。失礼します」
マスターはメニューを持って、ちはると馬場がいるテーブル席を離れた。
馬場は、すぐさまちはるに切り出した。
「おい、聞いたか。料理人は、女だと!そう言えば、見たことがないな。マスターの彼女じゃないのか?」
「まだ、わからないでしょ」
「い~や、もしかすると、奥さんかも!」
「知人の紹介って、言っていたじゃない」
「知人の紹介でつきあって、結婚したかも」
「マスターは、独身だって」
「独身?マスターって、いくつだ?三十は、いっているだろ。彼女くらい、いるだろ」
「馬場、しつこいよ!」
ちはるに言われ、馬場はおとなしくなった。




