タイトル未定2025/11/21 20:29
大手菓子メーカ水田の幹部たちはいろんな店に行き、barに合ったチョコを作る協力を依頼するのに成功した。
「barジェシカの方は、北神君に全て任せる。週末には、チョコのサンプルが届くから、マスターにサンプルのチョコを届けてくれ。その際、マスターの意見を聞くように」
「わかりました」
亮は社長の水田が言った言葉を、手帳に素早く書き留めた。
携帯に手を伸ばしかけた水田の手が、不意に止まった。
「ああ、ジェシカのマスターにサンプルを届ける時、娘も連れてって行ってくれ」
「はい」
素直に返事をした亮だが、胸の内では……この親馬鹿が……と、つぶやいていた。
冬休みも終わり、普段の日常に戻っていた若菜と流花は放課後、繁華街にある若者たちで賑わうデパートにいた。
デパートの中は、バレンタインのディスプレイで華やかだった。
「パパの会社で、barに合ったチョコを作るって言う話覚えてる?」
商品のチョコをながめていた流花に若菜は言った。
「うん。覚えているよ。マスターも協力するんでしょ」
「そうそう。で、チョコのサンプルが出来たんだって。そのサンプルを、北神さんとマスターの店に届けに行くんだけど、シロちゃんも一緒に行かない?」
「う~ん、どうしようかな」
「行こうよ!マスターに、会いたくないの?」
「そりゃあ……ねぇ」
「一緒に行こうよ!」
「誘ってくれて嬉しいけど、遠慮するよ」
「えっ、どうして?」
「私、部外者だもん」
「そんなことない!それ言ったら、私も部外者だよ」
「でも、やっぱり私は部外者だわ。ごめん、スイ!」
「つまんないなぁ」
子供のようにすねる若菜の手を、流花は引っ張った。
「スイ!あのチョコ可愛いよ!」
流花の言葉に、若菜は飾られたチョコを手にした。
「本当だ!可愛い~」
「マスターには、可愛すぎかな?」
言いながらチョコに見入っている流花を、若菜はみつめた。
「シロちゃん」
「ん?」
若菜の声に、流花は顔を上げた。
「マスターにバレンタインのチョコをあげるの?」
「ん~マスターにあげるつもりでいたけど、現実には無理だよね。あ~このチョコ可愛い!」
……たとえシロちゃんでも、マスターを取られたくない……。
無邪気にチョコを見る流花に、若菜は静かな決意をむき出しにしていた。
パソコンの画面をじっと睨んでいた友光ちはるは、大きく伸びをした。
「誤字ってるぞ」
馬場の声に、ちはるはハッとして、間違えた字を打ち直した。
「友光、マスターとはどうなった?」
「どうって、どうもなっていないわよ」
「お前らしくないな」
「アタシらしくないって、それどう言うこと?」
「いつものお前なら、もっとガンガン攻めているのに」
「そうなんだけどね~。な~んか、調子狂うのよね」
ちはるは、ため息交じりに言った。
「あのbarに、行ってみるか?」
「馬場とぉ?」
「す、少しくらいならおごるぞ」
ちはるは、思わず吹きだした。




