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DANDY〜笑顔〜  作者: kagari
7/18

タイトル未定2025/11/21 00:41

 婦人と別れたマスターは、マンションの部屋の鍵をそっと開けた。

 ドアを静かに閉め靴を脱ぐと、部屋の中にそっと入って行った。

 長い廊下の床に小さな明かりが灯っていて、マスターは部屋の入り口のすぐ側の部屋のドアを小さくゆっくり開けた。

 部屋の中には常夜灯のオレンジ色の明かりが、部屋の様子を浮かび上がらせていた。

 ベッドには、年長児の男の子が静かに眠っている。

 マスターは男の子の側に行き、床の上に両肘をつくと、男の子の髪の毛を愛おしそうに撫でた。

 男の子の部屋から出たマスターは、リビング兼キッチンに入って行った。

 リビングの電気をつけ、暖房を入れる。

 リビングが温まるまでの間、マスターはざっとシャワーを浴びて、再びリビングに戻って行った。

 リビングはすっかり温まっていた。

 マスターはキッチンに行き、お湯を沸かした。お湯が沸くまでの間、換気扇の下でタバコ

を吸った。

 お湯が沸くとキッチンにある棚からウイスキーとグラスを出してホットウイスキーを作り、リビングのソファーでタバコを吸いながらホットウイスキーを飲んだ。

 ……酷いことをしたかな……。

 亮に携帯の番号を教えず、店の電話番号を教えたことを、少しだけ反省した。

 しかし、亮に携帯番号を教えたら……どうなるかは、目に見えている。

 だからこそ、敢えて店の電話番号を教えたのだった。



 ホットウイスキーを飲み終えたマスターは自分の部屋に行き、ベッドに上がるとあっという間に眠ってしまった。


七海ななみ!起きてよ、七海!」

 身体揺さぶられながら、マスターは目を覚ました。

 目を開けたものの、すぐ布団をかぶってしまった。

「もう~起きてよ!七海!」

 男の子は言いながら、布団をはぎ取った。

 マスターは目をこすりながら、携帯に手を伸ばした。

 携帯の画面には、七時の文字があった。

「……七時!なんでこんなに早く、起こすんですか!」

 そう言いながら、マスターは布団をかぶろうとした。

 しかし男の子は、それを許さなかった。

「ダメぇ~起きなさい!」

 マスターはベッドに座った格好で、うつむいたまま頭をかき、男の子の方を見てから言った。

「……昨夜は遅くまで、仕事だったんです。今日は、日曜ですよ。ゆっくり寝かせてください」

「おまちさんが、朝ご飯を作っているよ!」

「朝ご飯……いりません。もう少し、寝かせてください」

「ダメッたら!ダメ!」 

 男の子の容赦ない襲撃で、マスターは渋々起き上がった。



 キッチンでは、男の子が言っていた『おまちさん』が、朝ご飯を作っていた。

 おまちは六十代中盤の小柄な婦人で、シャキシャキした態度が、年齢より若く見せていた。

「おまちさん!七海、起きたよ!」

「あら、大門だいもん君ありがとう」

 大門は嬉しそうに大きな目を細め、テーブル席にちょこんと腰掛けた。

 そこへ、パジャマ姿のマスターが大あくびをしながらリビングに入って来た。

 その姿を見たおまちが声を上げた。

「坊ちゃん!なんですか、パジャマのままで」

「今日は、休みなんですよ。自由にさせてください」

「子供みたいなことを、言うんじゃありません。大門君が見ています。早く顔を洗って、着替えてください」

 おまちに急き立てられるように、マスターはリビングを出て行った。



 顔を洗って、トレーナーにジーパン姿のマスターがリビングに入り、テーブル席に座っている大門の隣に座った。

「さぁさ、朝ご飯にしましょう」

 言いながらおまちが、マスターの向かいに座った。

 朝ご飯が済むと、おまちは後片付けをして帰って行った。

「大門、公園に行きますか?」

「うん!」

 マスターと大門は、マンションの側の公園に行くと、サッカーボールをけり始めた。懸命にボールを追いかける大門を、優しく見守るマスター。その姿は、親子そのものだった。


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