タイトル未定2025/11/20 08:25
夜の十時を過ぎた頃、水田が自宅に帰ってきた。
その時娘の水田若菜は、リビングでテレビをぼんやり見ていた。
「まだ起きていたのか」
テレビを見ていた若菜に、水田は呆れたように言った。
「眠れなくて」
「ママは?」
「もう寝たよ」
「そうか」
返事をした水田はリビングを出て行った。しばらくすると、スーツ姿からラフな服に着替えた水田がリビングに戻って来た。
ソファーに座ると、水田は若菜に聞いてきた。
「お土産は、マスターに渡したのか?」
水田が夫婦で旅行に行った時、マスターにお土産を買った。
そのお土産を若菜からマスターに渡すように、言ったのだった。
「まだ渡していない」
「なんだ、まだ渡していなかったのか」
「お店が休みだった」
「そうか。近いうち北神君がマスターの店に行くから、その時一緒に行くと良い」
「北神さんがマスターの店に?なんで?」
「仕事でな」
「ふ~ん。わかった!おやすみなさい」
「おやすみ」
自分の部屋に行った若菜は、ベッドの上に上がると布団の中に入った。
布団は、すっかり冷え切っていた。
若菜は布団の中で『マスターにお土産を渡したいので、一緒に行ってください。お願いします。』と亮にラインを送った。
亮とちはると三人で食事をした時、亮が言った言葉を思い出す。
『マスターはあの子のことばかり見てる!わからないの?若菜さんが、一番親しい子よ』
亮が言った一番親しい子とは、若菜の親友流花 のことだ。
……マスターは、シロちゃんのことを見ていたの?何故?……。
若菜がマスターとライン交換をしようとした時、マスターにいいようにはぐらかされた。
それなのに、流花には独身だと言うことや住んでいる場所を教えていた
……何故?もしかして、シロちゃんのことを……。
若菜を悩ませているのは、それだけではなかった。
流花と一緒にマスターが住む、マンションがある場所に行った時だった。
マスターは公園の滑り台で遊んでいた幼稚園くらいの男の子にハグをして、一緒に歩く姿を目撃してしまった。
謎だらけのマスターだが、今更諦めることなどできない。
……たとえシロちゃんでも、マスターは渡さない!……。
ラインの着信音が聞こえ、携帯を見ると亮からのラインが届いていた。
……これで、マスターに会える……
お礼の返信をして、頭から布団をかぶった。
眠気は、なかなかやって来なかった。




