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DANDY〜笑顔〜  作者: kagari
14/18

タイトル未定2025/11/22 21:06

 日曜日の朝、流花は自分の部屋に掃除機をかけていた。

 布団を干すと、食事をするテレビがある部屋に移動し、掃除機をかけようとしたら、部屋には流花の母親が畳に寝転がってテレビを見ていた。

「掃除器かけるからどいて!」

 流花は掃除機のコードを、コンセントにつけながら言った。

「掃除なんて、しなくても良いじゃない」

「早くどいて!」

 冷たく言い放つと、流花は掃除機のスイッチを入れた。低い音と共に、掃除機は動き出した。

 母親はテレビを消すと、ゆっくり立ちあがった。

 その時携帯の着信音が、微かに聞こえた。

「あれ、流花の携帯じゃない?」

 母親の言葉に、流花は掃除機を止めた。

 部屋の中は静かになり、流花の部屋から携帯の着信音が鳴るのが、はっきり聞こえた。

 流花は急いで自分の部屋に行った。

 流花がいなくなると、母親は足で掃除機を部屋の隅に追いやると、再び畳の上に寝転がってテレビを見だした。

 部屋に戻った流花は、充電していた携帯のコードを素早く抜くと、携帯の画面を眺めた。

 画面には、見知らぬ番号があった。

 流花は恐る恐る、携帯の通話ボタンを押した。

「……もしもし」

「白田さんですか?」

「……はい」

「突然すみません。ジェシカのバーテンです」

「えっ、マスター?」

「水田さんから、白田さんの番号を教えてもらいました。勝手なことをして、すみません」

「そうだったんですか!びっくりした」

「あの、白田さんに話があるので、白田さんの都合が良い時に会ってほしいのですが」

「私と?それは、良いけど」

「いつが良いですか?」

「私は、今日でも良いけど」

「じゃあ、十二時ごろどうですか?」

 携帯を切った流花は、慌てて部屋を出た。

 テレビの部屋では、相変わらず畳の上で母親が寝転がって、テレビを見ていた。

 流花は、部屋の隅に置いてあった掃除機を片づけた。

「あれ、掃除しないの?」

 母親の言葉を無視して、流花は自分の部屋に入って行った。



 繁華街にあるハンバーガーショップを覗くと、マスターはテーブル席でコーヒーを飲みながら、本を読んでいた。

「マスター」

 流花の声に、マスターは顔を上げた。

「突然呼び出して、すみません」

 流花は黙ったまま、首を横に振った。

 それぞれハンバーガーと飲み物を買ったマスターと流花は、テーブル席に落ち着いた。

 今日ハンバーガー屋で、落ち合うことを決めたのは流花だった。

 ハンバーガー屋なら、自分で買うことができるからだった。

「こんなところで、良かったですか?」

「ボクは、好きですよ」

 しばらくの間マスターと流花は、黙ったままハンバーガーを食べた。食べ終わった後、流花は切り出した。

「マスター、話ってなんですか?」

「実は、店を手伝ってほしいんです」

「店?マスターの店を?」

「ボクとたきさんの二人で、店を切り盛りするのが大変になってきたので、白田さんに手伝ってもらえると助かります」

「あの、たきさんって?」

「あっ、たきさんは厨房で料理を作っている方です」

「そうなんだ!」

「お客様の注文を受け、料理を運んだり、お皿を下げたり、会計をしたり、ウェイトレスを白田さんにお願いをしたいです」

「私が……」

「お酒を扱う店ですから、学校を卒業してからで構いません」

「どうして、私なんですか?」

「家庭教師のバイトをしていると聞いた時、是非白田さんにお願いをしたいと思ったんです」

「それで」

「仕事は、週末だけです。ボクの勝手で、休むときもありますし。白田さんの都合が良い時だけでも構いません」

「でも、ウェイトレスなんて、私にできるかしら?」

「お願いします」

 頭を下げるマスターに、流花は慌てて言って頭を下げた。

「わかりました。よろしくお願いします」

 しばらく向かい合って頭を下げていたマスターと流花は、顔を上げると顔を見合わせ笑い合った。

 笑いを収めた流花は、真っ直ぐマスターをみつめた。

「あの、聞いても良いですか?」

「どうぞ」

「マスターは、なんて名前なのですか?」

「[[rb:麻生七海 > あそうななみ]]です」

「七海……さん」

「女みたいな名前で、恥ずかしいんですけど」

「どんな字を書くんですか?」

「七つの海です」

「素敵な字!」

「そうですか?白田さんにそう言ってもらえると、嬉しいな」

 思わず照れ笑いをした流花は、さらに質問を続けた。

「マスターに、子供がいましたよね」

「えっ、どうしてそれを!」

「マスターの住んでいるマンションの名前を教えてもらった後、スイとマンションまで行ったんです。その時、マンションから男の子と一緒に出てきたマスターを見たので」

 流花の言葉に驚いたマスターは、じっと流花をみつめた。

「……そうだったんですか」

「勝手なことをして、すみません!」

「少しも気が付きませんでした。それなら、声をかけてくれれば良かったのに」

「だって……」

「大門は……あっ、子供の名前です。大門は、施設にあずけられそうになったところを、ボクが引き取ったんです」

「マスターの息子さんじゃ……」

「違いますよ。言ったでしょ、ボクは独身だって」

「じゃあ、大門君って……」

 流花がそう言った時、マスターは突然立ち上がった。

「すみません、タバコが吸いたいので、場所をかえても良いですか?」

「あっ、はい」

 七海は歩きだし、流花はマスターの広い背中をみつめながら歩いた。

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