タイトル未定2025/11/20 08:05
不機嫌な顔をした役員と開発部の幹部達が、会議室から出て行った。
会議室には、社長の水田と秘書の北神亮が残っていた。
「開発部の皆さん、面白くない顔をしていましたね」
亮が、申し訳なさそうにつぶやいた。
社長の水田が突然、役員と開発部の幹部になんの相談もなく、「barに合ったチョコレートを作るよう」命じたからだ。
役員と開発部の幹部達は、不機嫌な表情になったが、社長の命令とあっては誰もさからうことができない。
亮の言葉を無視するように、水田は言った。
「barに合ったチョコレートを、商品化する。よくそんな企画を思いついたな」
「去年社長と行った、barジェシカがきっかけです」
「ああ、北神君とふらりと入ったな。企画を立ち上げたのは北神君なのに、私が立ち上げたことにしてすまなかった」
「開発部の皆さんの手前、社長が企画を立ち上げたと言うことにした方が良いですわ」
「表向きは私が企画を立てたことになっているが、実際は北神君が企画を立ててくれた。最後まで立ちあってほしい」
「はい」
「いくつかの店を選んでくれ。もちろんマスターの店も候補に入れてくれ」
「はい」
水田は会議室から出て行き、独りになった亮はテーブルの上に乗っている湯呑を片づけた。
マスターの店も候補に入れるよう、社長自ら言ってくれた。
仕事とはいえ、これからは堂々とマスターの店に行くことができる‼
湯呑を片付けていた亮の手が止まった。
マスターは、水田社長の娘水田若菜 みずたわかなの親友、白田流花のことをじっとみつめていた。
……あきらめたくない……。
マスターへの想いは、日に日に増すばかりだった。
まずはマスターの店に行って、自分が立ち上げた企画に協力してもらうようお願いをすることだ。
承諾をもらうことができたら、連絡を取りあうため、携帯番号を聞くことができる!
マスターに近づくことができるのなら、どんなことでもやる覚悟ができた亮だった。




