後日談:小林・フィーネと勇者たち
謁見の間。
小林は、王妃、フィーネ、そして勇者たち一行が見守る中、窮地に立たされていた。
「……私がしたのは、差し入れで部屋にあった飲み物を持っていっただけですよ?」
そう言って肩をすくめる小林だったが、王妃は鋭い視線で問うた。
「だが、転移魔法を使うように誘導したのであろう?」
「はい……」
小林の肩がしゅんと落ちる。
王妃は深くため息をついた。
「はぁ……」
—
フィーネが一歩前に出て、声を上げた。
「……明日には、脱出の手筈が整っていたのに。先生……」
「え、まじですか。俺、余計なことをしちゃいました?」
「本当に。ノアにも早まったことはしないようにって、言ってあったのに……」
—
その時、勇者の一人、斉藤蓮がふと呟いた。
「……魔法で、誰が犯人かわかる魔法作れば、何も問題なかったんじゃ……?」
確かにと頷く勇者一行にたいして
小林は目を細め、真顔で返す。
「いや、魔法を使えるやつがアイツだけなんだ。
たとえそんな魔法を作れたとしても、ノアをよく思ってない貴族たちは絶対に納得しないさ」
—
「……あら、意外と冷静なのね」
フィーネが驚いたように言う。
「仮にも教師なもんで。頭の回転には、そこそこ自信あるんすよ」
—
王妃・セリーヌが、重々しく言葉を継いだ。
「……頭の回転が良いのであれば、早まったことはしてほしくなかったのう。
この状況でノアを逃がしたとなれば、王妃である私だけでは、反対派を抑えることは難しくなる」
場に再び、重苦しい沈黙が落ちた。
なお、ノアが小林の“首が飛んだ”という知らせを耳にするのは——
この出来事から、実に約三年後のことであった。




